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第三章 仕掛けられた罠
第二十六話
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一週間ぶりの調合室のドアを開け、ティモシーは元気よく挨拶をする。
「おはようございます。今日からまた宜しくお願いします」
ランフレッドに言われた通り言うと、三人は振り向いた。だが、その顔は何か様子を伺う感じだ。
「おはよう」
アリックは挨拶を返して来るが……
「無事そうだな」
ダグは、意味不明な言葉を返して来た。
「無事って。手をちょっと怪我しただけだろう?」
ティモシーは、何を言ってるんだと返す。
「いや、毒牙にかからなかったみたいだなって」
「なんだよそれ……」
ダグを少し睨んだあと、ティモシーは席に着く。
「あのさ、エイブさんと一緒だったんだよね?」
何故かアリックは聞き辛そうに聞いて来た。
「うん。そうだけど?」
ティモシーは頷いて答えると、アリックは不安げな顔になる。
「何? 言いたい事があるならハッキリ言って!」
ティモシーはこういう態度をされるもの嫌だった。
「エイブって女にだらしないって噂があるんだ。まあ、王宮内では手を出してないみたいだけどな」
ダグはアリックが言いづらそうなので代わりに伝えるが、またもやティモシーが睨み付けた。
(エイブさんが言っていた噂ってこれか)
あの甘いマスクなら女の方から寄って来るのだろう。本人が言っていたように、変な噂が立ったのに違いないとティモシーは思った。
「知ってるよ」
ティモシーは、そっけなく答える。
「知ってたのか」
ティモシーの答えにダグが意外だなと呟く。
「みんなが誤解してるだけだよ。エイブさんは、そんな人じゃないよ」
ティモシーの言葉に三人は顔を見合わせる。
その噂通りなら今頃もう口説かれているはずだが、この一週間そういう素振りを見せた事はなかった。それどころかちゃんと、一人前の薬師として扱ってくれていた。それに自分のせいで迷惑がかかるとまで言っていたのだ。
なのでティモシーにしてみれば、彼が言っていたように尾ひれはひれが付いて、話が大きくなったのだろうと思ったのである。
「でもティモシー。この話、僕が王宮専属になる前から知ってる話だよ?」
「知ってるって、人から聞いた噂話でだろ?」
アリックの言葉に、ついムッとなり地の話し方になる。
「結局、ティモシーも普通の女の子だったか」
ダン!
ダグの呟きに、ティモシーは怒りでテーブルを叩いた。三人はその行動に驚く。
今までむくれたり睨んだりしてきた事はあったが、ここまで露わにした事はなかった。これはもう彼の虜になっていると三人は確信する。
ティモシーは男なので、三人が思っている様にエイブに恋心など抱いてはいない。ただランフレッドを信頼すると同じぐらい、彼にも信頼を置いていたのである。この一週間でティモシーの心をがっしりと掴んでいた。
なので三人が思った虜というのも、ある意味間違いではないかも知れない。
「はい! そこまで! 仕事始めるわよ」
ベネットが一回パシッと手を打ち、その話は終わりと仕事を始めるように言うと、三人は無言で調合を始める。真面目な仕事ぶりというよりは、気まずい雰囲気だった。
休憩時間になると、ティモシーは一人でサッサと部屋を出て行き、三人はそれを困り顔で見送る。
「大丈夫かな?」
「本人たちの問題だろう?」
アリックが不安げに言うが、ダグはさらっと言う。
「でも絶対ティモシー傷つくよ!」
「今のティモシーに何を言っても無駄だろう?」
「じゃ、ランフレッドさんに……」
アリックも自分が言っても無駄とわかっていた。
「そうしたかったらそうすれば? まあ、あの人だったら何としても止めるだろうけど」
「そうね。でも恋愛は自由だし。きっと今それをすると、私達の信頼関係は崩れるでしょうね。相手はまだ何もアクション起こしていないようだし……」
ベネットも心配するが、ここは見守ろうと提案する。
「まあ、初恋は実らないって言うしな」
三人から見てもティモシーはまだ子供で、今回が初恋だろうと予想をしていた。
「ほんと、他人事だよね?」
「他人事だろう? ティモシーが助けを求めて来たら手を差し伸べてやればいいだけだ」
アリックがムッとしたように言うと、ダグはいつも通りしらっと返した。
そんなやり取りがあった事など知らないティモシーは、どうやったらエイブをわかってもらえるか考えるのだった。
「おはようございます。今日からまた宜しくお願いします」
ランフレッドに言われた通り言うと、三人は振り向いた。だが、その顔は何か様子を伺う感じだ。
「おはよう」
アリックは挨拶を返して来るが……
「無事そうだな」
ダグは、意味不明な言葉を返して来た。
「無事って。手をちょっと怪我しただけだろう?」
ティモシーは、何を言ってるんだと返す。
「いや、毒牙にかからなかったみたいだなって」
「なんだよそれ……」
ダグを少し睨んだあと、ティモシーは席に着く。
「あのさ、エイブさんと一緒だったんだよね?」
何故かアリックは聞き辛そうに聞いて来た。
「うん。そうだけど?」
ティモシーは頷いて答えると、アリックは不安げな顔になる。
「何? 言いたい事があるならハッキリ言って!」
ティモシーはこういう態度をされるもの嫌だった。
「エイブって女にだらしないって噂があるんだ。まあ、王宮内では手を出してないみたいだけどな」
ダグはアリックが言いづらそうなので代わりに伝えるが、またもやティモシーが睨み付けた。
(エイブさんが言っていた噂ってこれか)
あの甘いマスクなら女の方から寄って来るのだろう。本人が言っていたように、変な噂が立ったのに違いないとティモシーは思った。
「知ってるよ」
ティモシーは、そっけなく答える。
「知ってたのか」
ティモシーの答えにダグが意外だなと呟く。
「みんなが誤解してるだけだよ。エイブさんは、そんな人じゃないよ」
ティモシーの言葉に三人は顔を見合わせる。
その噂通りなら今頃もう口説かれているはずだが、この一週間そういう素振りを見せた事はなかった。それどころかちゃんと、一人前の薬師として扱ってくれていた。それに自分のせいで迷惑がかかるとまで言っていたのだ。
なのでティモシーにしてみれば、彼が言っていたように尾ひれはひれが付いて、話が大きくなったのだろうと思ったのである。
「でもティモシー。この話、僕が王宮専属になる前から知ってる話だよ?」
「知ってるって、人から聞いた噂話でだろ?」
アリックの言葉に、ついムッとなり地の話し方になる。
「結局、ティモシーも普通の女の子だったか」
ダン!
ダグの呟きに、ティモシーは怒りでテーブルを叩いた。三人はその行動に驚く。
今までむくれたり睨んだりしてきた事はあったが、ここまで露わにした事はなかった。これはもう彼の虜になっていると三人は確信する。
ティモシーは男なので、三人が思っている様にエイブに恋心など抱いてはいない。ただランフレッドを信頼すると同じぐらい、彼にも信頼を置いていたのである。この一週間でティモシーの心をがっしりと掴んでいた。
なので三人が思った虜というのも、ある意味間違いではないかも知れない。
「はい! そこまで! 仕事始めるわよ」
ベネットが一回パシッと手を打ち、その話は終わりと仕事を始めるように言うと、三人は無言で調合を始める。真面目な仕事ぶりというよりは、気まずい雰囲気だった。
休憩時間になると、ティモシーは一人でサッサと部屋を出て行き、三人はそれを困り顔で見送る。
「大丈夫かな?」
「本人たちの問題だろう?」
アリックが不安げに言うが、ダグはさらっと言う。
「でも絶対ティモシー傷つくよ!」
「今のティモシーに何を言っても無駄だろう?」
「じゃ、ランフレッドさんに……」
アリックも自分が言っても無駄とわかっていた。
「そうしたかったらそうすれば? まあ、あの人だったら何としても止めるだろうけど」
「そうね。でも恋愛は自由だし。きっと今それをすると、私達の信頼関係は崩れるでしょうね。相手はまだ何もアクション起こしていないようだし……」
ベネットも心配するが、ここは見守ろうと提案する。
「まあ、初恋は実らないって言うしな」
三人から見てもティモシーはまだ子供で、今回が初恋だろうと予想をしていた。
「ほんと、他人事だよね?」
「他人事だろう? ティモシーが助けを求めて来たら手を差し伸べてやればいいだけだ」
アリックがムッとしたように言うと、ダグはいつも通りしらっと返した。
そんなやり取りがあった事など知らないティモシーは、どうやったらエイブをわかってもらえるか考えるのだった。
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