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第八章 惑わす声
第八十話
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ティモシーは、医務室でクルクルと首に包帯を巻かれていた。
ブラッドリーは、流石に上手だ。苦しくもなく緩くもなく巻いて行く。少し前なら、このまま首を絞められるのではないかと、怯えていた事だろう。
「すまなかったな。あのドアは開かない様に施した」
秘密の通路にでるドアの事である。
「うん。あの……ザイダさんってどうなるんだ?」
ブラッドリーはジッとティモシーを見る。危害を加えた相手の心配をするのかという顔である。
「王宮専属は首だろうな」
(トンマーゾさんが、あんな事言わなければ!)
確かにザイダは、ティモシーに危害を加えたが自分を襲うというよりは、エイブに怪我を負わせた相手に復讐する為だった。トンマーゾが彼女を煽らなければ、ここまで大きな事件にならなかったかもしれない。
ティモシーは、悔しさでいっぱいだった。
「ティモシー。そそのかされたからと言っても、自分で判断してやった事だ。彼女が責任を取るのは当たり前だ」
「そうだけど……」
「失礼します」
ノックと同時にそう声が掛けられ、医務室にオーギュストが入って来た。その後にもぞろぞろと……。ダグにアリック、ベネット、ランフレッドもいた。皆ティモシーを心配している様子だ。それも当然で、ダグが彼女を遠ざけたというのに、こういう事態を回避出来なかった。
「すまないな。まさか、こんな手に出るなんて……」
何故かダグがバツが悪そうに言う。いつもの彼らしくない態度に、ティモシーだけではなく周りも驚く。
「え、なんで、ダグさんが謝るの?」
「そうです。彼女がティモシーに近づいたようなので、私も警戒をしていたのですが、ベネットに伝えておくべきでした」
ティモシーの言葉に乗るように、オーギュストが言う。彼は、ザイダがティモシーに近づき、何かする気ではないかと感づいていたのである。
「あ、やっぱり、あれ、ワザとか?」
「だと思われます」
ダグの問いにオーギュストは頷いて答えた。
「あれって何だ?」
「ティモシーとぶつかって、調合ビンのビンが割れたんだ」
ランフレッドの問いに、ダグが素直に答える。
「それって接触を図って来たって事かよ」
「申し訳ない。今回の事は全て私の責任だ。ティモシーがその後、彼女の策で襲われそうになった事を報告しておりませんでした」
ブラッドリーは頭を下げ、オーギュストに今、伝えた。本当は、彼女がその後隠し扉から地下に行き、トンマーゾにそそのかれ、自分に復讐する為にティモシーを利用したという事は言えない。言えるのは、今言った事だけだった。
「ちょっと待て! 俺も聞いてない! ティモシー、お前何故俺に言わなかった!」
「え! いやだって、忙しそうだし。ダグさんが送り迎えしてくれるって言っていたし……」
ランフレッドは、ティモシーの答えに眉を寄せる。彼にしてみれば、ティモシーを守る為に、王宮に泊まらせた。だが、今回もそれが裏目にでた。しかも、ブラッドリーさえ、報告してくれなかったのである。
「今回の事は、連絡がちゃんと取られていなかった。それが原因でしょう。これからは、連絡を密にするようにしましょう。まあ、内部でこんな事が起きるなど、誰も想像しなかった事です。これを教訓にしましょう」
オーギュストがそう締めると、皆頷いた。
ブラッドリーは、流石に上手だ。苦しくもなく緩くもなく巻いて行く。少し前なら、このまま首を絞められるのではないかと、怯えていた事だろう。
「すまなかったな。あのドアは開かない様に施した」
秘密の通路にでるドアの事である。
「うん。あの……ザイダさんってどうなるんだ?」
ブラッドリーはジッとティモシーを見る。危害を加えた相手の心配をするのかという顔である。
「王宮専属は首だろうな」
(トンマーゾさんが、あんな事言わなければ!)
確かにザイダは、ティモシーに危害を加えたが自分を襲うというよりは、エイブに怪我を負わせた相手に復讐する為だった。トンマーゾが彼女を煽らなければ、ここまで大きな事件にならなかったかもしれない。
ティモシーは、悔しさでいっぱいだった。
「ティモシー。そそのかされたからと言っても、自分で判断してやった事だ。彼女が責任を取るのは当たり前だ」
「そうだけど……」
「失礼します」
ノックと同時にそう声が掛けられ、医務室にオーギュストが入って来た。その後にもぞろぞろと……。ダグにアリック、ベネット、ランフレッドもいた。皆ティモシーを心配している様子だ。それも当然で、ダグが彼女を遠ざけたというのに、こういう事態を回避出来なかった。
「すまないな。まさか、こんな手に出るなんて……」
何故かダグがバツが悪そうに言う。いつもの彼らしくない態度に、ティモシーだけではなく周りも驚く。
「え、なんで、ダグさんが謝るの?」
「そうです。彼女がティモシーに近づいたようなので、私も警戒をしていたのですが、ベネットに伝えておくべきでした」
ティモシーの言葉に乗るように、オーギュストが言う。彼は、ザイダがティモシーに近づき、何かする気ではないかと感づいていたのである。
「あ、やっぱり、あれ、ワザとか?」
「だと思われます」
ダグの問いにオーギュストは頷いて答えた。
「あれって何だ?」
「ティモシーとぶつかって、調合ビンのビンが割れたんだ」
ランフレッドの問いに、ダグが素直に答える。
「それって接触を図って来たって事かよ」
「申し訳ない。今回の事は全て私の責任だ。ティモシーがその後、彼女の策で襲われそうになった事を報告しておりませんでした」
ブラッドリーは頭を下げ、オーギュストに今、伝えた。本当は、彼女がその後隠し扉から地下に行き、トンマーゾにそそのかれ、自分に復讐する為にティモシーを利用したという事は言えない。言えるのは、今言った事だけだった。
「ちょっと待て! 俺も聞いてない! ティモシー、お前何故俺に言わなかった!」
「え! いやだって、忙しそうだし。ダグさんが送り迎えしてくれるって言っていたし……」
ランフレッドは、ティモシーの答えに眉を寄せる。彼にしてみれば、ティモシーを守る為に、王宮に泊まらせた。だが、今回もそれが裏目にでた。しかも、ブラッドリーさえ、報告してくれなかったのである。
「今回の事は、連絡がちゃんと取られていなかった。それが原因でしょう。これからは、連絡を密にするようにしましょう。まあ、内部でこんな事が起きるなど、誰も想像しなかった事です。これを教訓にしましょう」
オーギュストがそう締めると、皆頷いた。
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