【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)

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第八章 惑わす声

第八十一話

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 「取りあえず、部屋に戻るか」

 ティモシーは頷き、ランフレッドの元に向かう。

 「ブラッドリーさん、何故すぐに報告を上げなかったのです? あなたらしくもない」

 オーギュストは、ブラッドリーに耳打ちするように囁く。
 彼は、ティモシーを治療した後、色々確認やらをしているうちに遅くなり、翌日報告をしようと思ってはいた。
 朝一に報告をすればよかったが、王宮に泊まっている彼も調合の仕事が回って来ていた。倉庫の材料の管理もある。気が付けば、その日も夜が更けていた。それは言い訳にしかすぎないが、つい、報告が後回しになったのである。

 「申し訳ありません。ティモシーが男だと伝えたので、もう手出ししないかと思い。……いえ、報告を後回しに致しました。本当に申し訳ありません」

 ブラッドリーの答えに、オーギュストはチラッとティモシーを見た。男だと言われた所で、あの見た目では信じられないかも知れない。しかも噂は、彼を襲ったっとなっているのだから。
 オーギュストは、エイブがティモシーを襲い、男だとわかり逆上し危害を加えようとした所をランフレッドが止めた。という報告を受けていた。つまり、噂は事実は少し異なるが、それも仕方がないと納得していた。
 今回の事件は、色んな事が重なり起きた事件。そうオーギュストは解釈した。



 ティモシーとランフレッドは部屋に戻り、向かい合って座っていた。レオナールの部屋にあるような立派な物ではないが、この部屋にもソファーとテーブルがあった。

 「まさか、女が襲ってくるとはな……」

 ランフレッドは、魔術師どころか今回は男ですらなかった事に、完全に意表を突かれた。

 「……あのさ。後でブラッドリーさんから聞くと思うけど。ザイダさん、トンマーゾさんに唆 そそのかされたんだ」
 「はぁ? どういう意味だ?」

 ティモシーの意外な言葉に、ソファーにだらしなく身を預けていたランフレッドは、ガバッと上半身を起こし前のめり気味で問う。

 「実は……俺を策に嵌めるのに失敗したザイダさんが逃げたんだけど、その時に隠し扉に逃げ込んで、地下におりちゃったみたい……」
 「はぁ? あれ、そのままだったのかよ!」

 ランフレッドもそれの存在を知っていた。一週間で戻ってくる予定だったので、そのままだったのだろう。

 「ちょっと待て! それも含め俺、何も報告受けてないぞ」

 ランフレッドは、大きなため息をつく。
 ティモシーは、ザイダが話した事をランフレッドに話した。段々と彼の顔は険しくなっていく。

 「悪い、俺。陛下に報告に行ってくるわ」

 話を聞き終えたランフレッドは、立ち上がると「寝てていいから」と言い残し、部屋を出て行った。
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