【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)

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第十一章 彼らの選択

第百二十話

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 日が昇る頃、エイブはエクランド国に入った。

 「なんとか着いた……。うーん、直接王宮に向かうかな」

 エイブは、王宮に向かい移動するが、ある程度近づいた時にふと動きを止めた。

 「あれ? ティモシーさんが外にいる! って、そっちってあの建物の方向? なんで?!」

 何が起きたとティモシーの方に向かうも驚く光景に遭遇する。
 ティモシーにランフレッド、レオナール、それにトンマーゾ四人に向かって魔術が放たれた! エイブはそれを放った人物に目を奪われる。

 「嘘……。クレメンディーナさん……」

 エイブより年上に見える彼女は、凛々しくそこに立っていた。
 その攻撃をティモシーは結界で阻む。エイブはティモシーの魔術の威力を目の当たりにする。

 「あはは。何これ……。ブラッドリーさん、並みじゃないか……」

 その後、経緯を見守っていたが、逃げ出すトンマーゾが放った魔術で辺りが見えなくなった。

 「最後の役目を果たすか……」

 エイブは、スッと倒れたティモシーに近づき精神に話しかけた――。



 「ティモシーさん、大丈夫?」
 「あれ? エイブさん! 生きてた!」

 ティモシーは、驚き喜びの声を上げる。

 「生きてたって何それ……」
 「だって、夢にトンマーゾさんが来たから、俺てっきりエイブさんに何かあったのかと思って!」
 「あの人が君に会いに来たの?!」

 エイブの言葉にティモシーは頷く。

 「まずいな。バレてるのか? よく聞いて! 今、皇帝を発見して伝えて来たから。俺の言葉を信じてくれていれば、助け出されているはずだから。イリスに伝えて!」
 「本当! よかった。あ、今、エイブさんどこにいるの? 前の所じゃないよね?」

 エイブは、目を伏せた。

 「ごめん。言えない。たぶん、俺はこの後殺されるだろうし……。探しに来てはダメだよ」
 「何を言ってるのさ! レオナール王子が何とかしてくれるよ! 俺も一緒に組織と戦うから!」

 その言葉はにエイブはギョッとする。

 「ダメだ! 殺される! 君はイリスを守って! 医者になって彼女の側にいてあげて欲しいんだ!」
 「え? それって……。それエイブさんの役目でしょう?」

 エイブは首を横に振る。

 「俺は医者にはなれないから。だから、俺の代わ……」

 バチッ!
 エイブは、ティモシーとの会話を強制的に中断させられた。見れば、レオナールの部屋の前だった。

 「ここに運ばれたのか……。さようなら、ティモシーさん。後は頼んだよ。俺はもう、彼とは戦えないから……」

 エイブは王宮を出て、自分の体を目指した。暫くするとフッと辺りが暗くなる。

 「体が移動された?」

 何故殺さないと暗闇の中、自分の体を目指した――。
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