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第十一章 彼らの選択
第百二十六話
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「その昔、邪なるモノが発生し、それを鎮める為にハルフォード国とヴィルターヌ帝国は密かに手を組んだ。だが二カ国だけではどうしようも出来なかった。そこで、私の祖国、チミキナスナ国に手助けを求めた。私の国は、魔法陣などに長けていたので目を付けたのでしょう。私の祖国は今は、違う名に変わっておりますがね……」
「では、あの組織の名はあなたの国の名前だったのですか?」
ミュアンの話に驚いて、グスターファスは質問をする。
「私の祖国というよりは、その時代の国名です。そして、私が追われているのは、その事を記した文献を持って国を出たからです。悪事に利用されると思い持ち出した。勿論、もうそんな文献は処分しておりますが、相手は知らずに追いかけている訳です」
「そんな単純な話ではないだろう?」
ミュアンの話に今度はルーファスが意見するとイリステーナが大きく頷いた。
「私の国の文献を処分しようとしたのよ? あなたが持っている文献がほしいなら別の文献があると知れば、取りあえず手に入れようとするでしょう?」
「そんな事は私の知るところではありません」
イリステーナに平然とミュアンは返した。
「ちょっと、母さん……」
ティモシーは慌てた。目の前にいるのは、王族たちだ。
ルーファスとイリステーナは、レオナールを見上げた。何か言わないのかという事である。彼らと目が合ったレオナールは困り顔だ。
「本当の話はして頂けないのでしょうか?」
「本当の話? 嘘などついていません。全て事実です。いえ、文献に書かれていた内容です」
「その内容は、私の国にあった文献と変わらないではないですか!」
イリステーナがそう抗議するとミュアンはほほ笑んだ。
「では、私が嘘を言っていないという事になりますね」
「………」
その返答にイリステーナは、何も返せない。ミュアンの言う通りだからだ。
「さて、話は終わりました。行きましょうティモシー」
「え? ちょ、母さん」
ミュアンは立ち上がると、ティモシーも立たせようと手を引っ張った。
「ミュアンさん。私達にはこの説明で構いません。ですが、ティモシーには、全て話してあげてほしいのですが……。彼には知る権利があると思います」
レオナールは、ミュアンをジッと見つめて言った。
「今、話した事が事実です」
「申し訳ありませんが、あなたの事を少し調べさせて頂きました。勿論、脅すつもりで言っているのではありません。彼には、真実を話してあげてほしいのです」
レオナールとミュアンは、真剣なまなざしで見つめ合う。
「真実を知ってどうします? どうにか出来るのですか?」
「そ、それは……」
「それと、あなたは自分の力量をわかっていて行動していますか? 出来もしないのに首を突っ込まないで頂きたいのですが!」
それを聞いたレオナールは、一瞬驚いた顔を見せ、顔を伏せる。
「……申し訳ありません」
ボソッとレオナールは返した。
「母さん!」
あまりの言いようにティモシーは抗議するようにミュアンを見るが、彼女は険しい顔つきでティモシーを見た。
「行きますよ」
「………」
「ミュアンさん。少し私と二人でお話しして行きませんか?」
ゆっくりと立ち上がったグスターファスがミュアンにそう語り掛ける。
「申し訳ありませんが、私にはもう話す事はありません」
「では、私の話を聞いて下さるだけで結構です。魔術師としてではなく、薬師として私はあなたと会話をしたのですが。いかがでしょうか?」
今度は、グスターファスとミュアンが見つめ合う。
ミュアンは、小さくため息をつく。
「お節介の方が多いですね。わかりました。二人っきりならお話をお聞きます」
「ありがとう。では、場所を移しましょう。私の部屋でゆっくりと」
ルーファスがどけると、グスターファスがドアに向かう。その彼の後をミュアンが歩き部屋を出て行った。他の者は、茫然としてその二人を見つめていた。
「では、あの組織の名はあなたの国の名前だったのですか?」
ミュアンの話に驚いて、グスターファスは質問をする。
「私の祖国というよりは、その時代の国名です。そして、私が追われているのは、その事を記した文献を持って国を出たからです。悪事に利用されると思い持ち出した。勿論、もうそんな文献は処分しておりますが、相手は知らずに追いかけている訳です」
「そんな単純な話ではないだろう?」
ミュアンの話に今度はルーファスが意見するとイリステーナが大きく頷いた。
「私の国の文献を処分しようとしたのよ? あなたが持っている文献がほしいなら別の文献があると知れば、取りあえず手に入れようとするでしょう?」
「そんな事は私の知るところではありません」
イリステーナに平然とミュアンは返した。
「ちょっと、母さん……」
ティモシーは慌てた。目の前にいるのは、王族たちだ。
ルーファスとイリステーナは、レオナールを見上げた。何か言わないのかという事である。彼らと目が合ったレオナールは困り顔だ。
「本当の話はして頂けないのでしょうか?」
「本当の話? 嘘などついていません。全て事実です。いえ、文献に書かれていた内容です」
「その内容は、私の国にあった文献と変わらないではないですか!」
イリステーナがそう抗議するとミュアンはほほ笑んだ。
「では、私が嘘を言っていないという事になりますね」
「………」
その返答にイリステーナは、何も返せない。ミュアンの言う通りだからだ。
「さて、話は終わりました。行きましょうティモシー」
「え? ちょ、母さん」
ミュアンは立ち上がると、ティモシーも立たせようと手を引っ張った。
「ミュアンさん。私達にはこの説明で構いません。ですが、ティモシーには、全て話してあげてほしいのですが……。彼には知る権利があると思います」
レオナールは、ミュアンをジッと見つめて言った。
「今、話した事が事実です」
「申し訳ありませんが、あなたの事を少し調べさせて頂きました。勿論、脅すつもりで言っているのではありません。彼には、真実を話してあげてほしいのです」
レオナールとミュアンは、真剣なまなざしで見つめ合う。
「真実を知ってどうします? どうにか出来るのですか?」
「そ、それは……」
「それと、あなたは自分の力量をわかっていて行動していますか? 出来もしないのに首を突っ込まないで頂きたいのですが!」
それを聞いたレオナールは、一瞬驚いた顔を見せ、顔を伏せる。
「……申し訳ありません」
ボソッとレオナールは返した。
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「行きますよ」
「………」
「ミュアンさん。少し私と二人でお話しして行きませんか?」
ゆっくりと立ち上がったグスターファスがミュアンにそう語り掛ける。
「申し訳ありませんが、私にはもう話す事はありません」
「では、私の話を聞いて下さるだけで結構です。魔術師としてではなく、薬師として私はあなたと会話をしたのですが。いかがでしょうか?」
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ミュアンは、小さくため息をつく。
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「ありがとう。では、場所を移しましょう。私の部屋でゆっくりと」
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