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第十二章 たがう二人の王子
第百三十八話
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「ヒース! あなたは今、何をしようと!」
ミュアンの言葉でルーファスはマジックアイテムだったのだと気づき問う。
「ハミッシュ様も帰る場所を失った……」
ヒースはボソッと呟く。
「それはどういう事だ? 国で何が起きている?」
「ギデオン様は変わられた! 息子であるハミッシュ様に二人を殺すように命じられました。コーデリア様がハミッシュ様の身を案じて、私に失敗をしたらこれでと奥の手として渡して下さったのです……」
俯き弱弱しくヒースは語った。
「コーデリア様ってたしか、ハミッシュ王子の母親だよな?」
ランフレッドがルーファスに問うと彼は頷く。
「直接お会いした事はないが、たしかそのハズだ」
「戻ればきっと、レオナール様と同じような目に……」
ヒースは呟く。
「失敗したから殺されるって事かよ……」
ランフレッドは、あり得ないという顔で漏らす。
「母さん!」
ティモシーは突然、ミュアンの両肩を掴む!
「これでもまだ何も話してくれないの?! もう母さん一人ではどうにも出来ないよ! ううん。俺達が死んで済む問題じゃなくなってる!」
ミュアンは、ティモシーの言葉に驚く。
「あなた、もしかして死ぬつもりだったの?」
ティモシーは、首を横に振る。
「レオナール王子が俺達のせいで殺される! 俺が母さんの子だと知れたからエクランド国とハルフォード国の仲も壊れた! 母さんは俺にさえ何も話してくれない。どうすれって言うんだよ……」
ティモシーは、ミュアンの肩を掴んだまま俯いた。
「あなたを追い詰めちゃったみたいね……。わかったわ。話すわ。でも、きっと聞いても何も解決出来ないわよ……」
「それでも何も知らないよりは対策が立てられます。父上を呼んでまいります」
ルーファスは、ミュアンにそう返し部屋を出て行った。
レオナールの部屋は緊張に包まれていた。
「では、話してくれますかな?」
グスターファスが言うと、ミュアンは軽く頷いた。
「私の国は隣国サラスチニ国に、十八年前襲われました。両方とも小さなく国でしたから、知らない方も多いかもしれません。父上は私に文献を持たせ逃がしたのです。何とか逃げ切った私は、ここエクランド国に逃げて来ました」
「もしかして、あなたは王女だったのですか?」
驚いて問うグスターファスにミュアンは頷く。
「そうです。王女でした。亡命してきたのです。生きていくために薬師になり、恋に落ちた……。彼は私の我が儘を聞いてくれて、村でひっそりと暮らす事を許してくれました」
「……亡命」
ミュアンの言葉にティモシーはポツリと呟く。やっと戦争の意味がわかった。
「魔術師の組織の狙いはたぶん邪なるモノの封印を解く事だと思われます。封印を解くためには、三カ国に伝わるそれぞれの呪文が必要です。それが解けると魔術師はタダの人間になるのです。ですが……」
「何です?」
グスターファスが訪ねる。
「ハルフォード国の動きがわかりません。二人の息子がいなくなれば、後継ぎがいなくなる。それに自分自身が呪文を教えなければ最終的には防げます。なので、実は本当に襲って来るとは思っていませんでした」
「確かに。策略的な事が伺えますな」
「誰かが裏で糸を引いていると?」
ルーファスが言うと、ミュアンとグスターファスは頷く。
「ヒース。心当たりはないか?」
「……ありません」
ヒースは申し訳なさそうに答えた。
「協定も無に帰された。お変わりになられたのは確かなようだな」
「それもそうですが。ミュアン殿が言われた話だけだと、つじつまが合わないところが多々あるような気もするのですが……」
ルーファスは、チラッとミュアンを見た。
「これが私が知っている事です。他の国でどのように語り継がれていたかは私は知りません。その部分は目を覚ましたら彼に聞くと宜しいでしょう。話してくれればですが……」
ミュアンの言葉に、皆ベットに横たわるハミッシュを見た。
ハミッシュがティモシー達を襲った時、彼は嫌々従っている様子はなかった。だとしたら何も話してはくれないかもしれない。
そして、レオナールの安否も気になるとろこでもあった――。
ミュアンの言葉でルーファスはマジックアイテムだったのだと気づき問う。
「ハミッシュ様も帰る場所を失った……」
ヒースはボソッと呟く。
「それはどういう事だ? 国で何が起きている?」
「ギデオン様は変わられた! 息子であるハミッシュ様に二人を殺すように命じられました。コーデリア様がハミッシュ様の身を案じて、私に失敗をしたらこれでと奥の手として渡して下さったのです……」
俯き弱弱しくヒースは語った。
「コーデリア様ってたしか、ハミッシュ王子の母親だよな?」
ランフレッドがルーファスに問うと彼は頷く。
「直接お会いした事はないが、たしかそのハズだ」
「戻ればきっと、レオナール様と同じような目に……」
ヒースは呟く。
「失敗したから殺されるって事かよ……」
ランフレッドは、あり得ないという顔で漏らす。
「母さん!」
ティモシーは突然、ミュアンの両肩を掴む!
「これでもまだ何も話してくれないの?! もう母さん一人ではどうにも出来ないよ! ううん。俺達が死んで済む問題じゃなくなってる!」
ミュアンは、ティモシーの言葉に驚く。
「あなた、もしかして死ぬつもりだったの?」
ティモシーは、首を横に振る。
「レオナール王子が俺達のせいで殺される! 俺が母さんの子だと知れたからエクランド国とハルフォード国の仲も壊れた! 母さんは俺にさえ何も話してくれない。どうすれって言うんだよ……」
ティモシーは、ミュアンの肩を掴んだまま俯いた。
「あなたを追い詰めちゃったみたいね……。わかったわ。話すわ。でも、きっと聞いても何も解決出来ないわよ……」
「それでも何も知らないよりは対策が立てられます。父上を呼んでまいります」
ルーファスは、ミュアンにそう返し部屋を出て行った。
レオナールの部屋は緊張に包まれていた。
「では、話してくれますかな?」
グスターファスが言うと、ミュアンは軽く頷いた。
「私の国は隣国サラスチニ国に、十八年前襲われました。両方とも小さなく国でしたから、知らない方も多いかもしれません。父上は私に文献を持たせ逃がしたのです。何とか逃げ切った私は、ここエクランド国に逃げて来ました」
「もしかして、あなたは王女だったのですか?」
驚いて問うグスターファスにミュアンは頷く。
「そうです。王女でした。亡命してきたのです。生きていくために薬師になり、恋に落ちた……。彼は私の我が儘を聞いてくれて、村でひっそりと暮らす事を許してくれました」
「……亡命」
ミュアンの言葉にティモシーはポツリと呟く。やっと戦争の意味がわかった。
「魔術師の組織の狙いはたぶん邪なるモノの封印を解く事だと思われます。封印を解くためには、三カ国に伝わるそれぞれの呪文が必要です。それが解けると魔術師はタダの人間になるのです。ですが……」
「何です?」
グスターファスが訪ねる。
「ハルフォード国の動きがわかりません。二人の息子がいなくなれば、後継ぎがいなくなる。それに自分自身が呪文を教えなければ最終的には防げます。なので、実は本当に襲って来るとは思っていませんでした」
「確かに。策略的な事が伺えますな」
「誰かが裏で糸を引いていると?」
ルーファスが言うと、ミュアンとグスターファスは頷く。
「ヒース。心当たりはないか?」
「……ありません」
ヒースは申し訳なさそうに答えた。
「協定も無に帰された。お変わりになられたのは確かなようだな」
「それもそうですが。ミュアン殿が言われた話だけだと、つじつまが合わないところが多々あるような気もするのですが……」
ルーファスは、チラッとミュアンを見た。
「これが私が知っている事です。他の国でどのように語り継がれていたかは私は知りません。その部分は目を覚ましたら彼に聞くと宜しいでしょう。話してくれればですが……」
ミュアンの言葉に、皆ベットに横たわるハミッシュを見た。
ハミッシュがティモシー達を襲った時、彼は嫌々従っている様子はなかった。だとしたら何も話してはくれないかもしれない。
そして、レオナールの安否も気になるとろこでもあった――。
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