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第49話 フランシスク視点
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私が彼の浮気を知ったのは、偶然だった。
ユゲット嬢の浮気現場を押さえようと、クラブを張っていた時に偶然見かけたのだ。
相手の女性は誰だかわからなかったが、確かにガストン・ルトルンだった。
彼に気を取られたお陰で、クラブから出てきてすぐにに捕らえる事ができず、浮気相手の子息には逃げられ、結局彼女との婚約破棄に時間が取られる事になった。
けど、クラブからは出て来たのだから証拠は十分だ。
私は、魔が差したのだと思う。
密告と言う手段をせずとも、自身の婚約を白紙にしてから彼女達に告げればよかったんだ。
そうすれば、レネット嬢の両親は死なずにすんだ。
馬車の事件の一端は、私にもある。
あの事件の日、母親が倒れて叫んだアンナ嬢をはっきりと見て気が付いた。ガストン子息と居た令嬢だと!
あの時の衝撃は、忘れられない。
罪悪感と恐怖。もう彼女とは、婚約出来ない……。
そう思って、プロンテヌ侯爵に手紙を書いた。
返信はすぐに来た。罵りの言葉が書かれているかと思って読んでみると、協力の依頼とユゲット嬢との婚約を破棄した後にレネット嬢の婚約を考えても良いと言う内容で、驚いた。
彼女は、私の初恋の人だ。
でも諦めた。いやはずだった。
それが、相手が浮気をしている。私と同じく婚約破棄が出来る! そう思ってしまった。
良心からではなく下心で密告をしたと書いたのに、許してくれると言う。
だから婚約破棄をした後に、あの時にはすでに文官になる気持ちの方が強かったけど、経営家になる為にと乗り込んだ。
私が手にしたい証拠は、馬車の管理内容だった。
グリンマトル伯爵はきちんとした方で、馬車の点検を定期的に受けていて、ちょっとした事でも補修などを行っている。
そして、あの事件の数日前に定期点検を受けていたのを確認。
その後、点検先に行き更に確認も取った。
ぬかるんでいたからと、車輪が外れる事はない。
検証の結果、衝突した弾みに車輪が外れたのではなく、車輪が緩んでいた為にぬかるみで車輪が外れたとわかった。
事故ではなく事件だと確信が出来たが、犯人がわかったわけではない。
馬車が一台しかないが御者は二人雇っており、遠出以外は一人しか乗り込まない。
なので解雇された元御者にも話を聞く事が出来た。
あの日、出かける予定はなかったが、前日に伝えられたと言う。そして、前日にはガストン子息が訪れていたという話も聞けた。
その事からあの事件は、ルトルン伯爵に浮気している事を知られたくないが為に起こした事だろうと推測できる。
婚約破棄をしたくないだけなら、突っぱねればいい。
ただ今も、単独なのかグルなのかがわからない。
だから、細工した決定的な証拠と二人が恋仲の証拠を集めていたのに、恋仲であると自分達で用意した結果になったみたいだ。
けどそれだけだと、殺人には問えない!
私は、話をしながら皆の反応を伺っていた。
「馬車に細工された可能性があると、マスティラン子息から手紙をもらった」
と、プロンテヌ侯爵が語った時にウルミーシュ子爵夫人とガストン子息が反応を示した。
つまり、ウルミーシュ子爵夫人も知っている。
そしてもう一人、ルトルン伯爵も反応を示していた。
どういう事だろうか。
婚約破棄したくないから殺したのだろうか。ルトルン伯爵の命令で?
プロンテヌ侯爵が誓約書を使ったおかげで、彼らがレネットと婚約を解消する事を望んでいなかった事は明白だ。
どうしてそこまで、彼女にこだわるかは謎だけど。
だからと言って殺すだろうか。
ルトルン伯爵は、腹黒い奴だと聞いたけど、バレないように行っており、今までうまくすり抜けて来たとプロンテヌ侯爵が言っていた。
だったら殺人など、起こさないだろう。殺す気がなかったとしても、事故など起こせば内々で処理できなくなる。
ルトルン伯爵の命令ではない。だとすれば、ガストン子息かウルミーシュ子爵夫人だろうな。
だが、実の兄を事故を起こして引き留めようとはしないだろう。そういう話し合いもした形跡もない。
そもそも、グリンマトル伯爵は、ガストン子息の浮気相手がアンナ嬢だとは知らなかったはずだ。
私が、彼女だと知ったのも偶然に過ぎない。
だとすればやはり、ガストン子息なのだろうか。
そして、プロンテヌ侯爵が言う通り、その後、事の真相を知ったウルミーシュ子爵夫人とルトルン伯爵が結託した。
この場を見れば、それが一番しっくりくるかもしれない。
なにせ彼は、青ざめガクガクと震えているのだから――。
ユゲット嬢の浮気現場を押さえようと、クラブを張っていた時に偶然見かけたのだ。
相手の女性は誰だかわからなかったが、確かにガストン・ルトルンだった。
彼に気を取られたお陰で、クラブから出てきてすぐにに捕らえる事ができず、浮気相手の子息には逃げられ、結局彼女との婚約破棄に時間が取られる事になった。
けど、クラブからは出て来たのだから証拠は十分だ。
私は、魔が差したのだと思う。
密告と言う手段をせずとも、自身の婚約を白紙にしてから彼女達に告げればよかったんだ。
そうすれば、レネット嬢の両親は死なずにすんだ。
馬車の事件の一端は、私にもある。
あの事件の日、母親が倒れて叫んだアンナ嬢をはっきりと見て気が付いた。ガストン子息と居た令嬢だと!
あの時の衝撃は、忘れられない。
罪悪感と恐怖。もう彼女とは、婚約出来ない……。
そう思って、プロンテヌ侯爵に手紙を書いた。
返信はすぐに来た。罵りの言葉が書かれているかと思って読んでみると、協力の依頼とユゲット嬢との婚約を破棄した後にレネット嬢の婚約を考えても良いと言う内容で、驚いた。
彼女は、私の初恋の人だ。
でも諦めた。いやはずだった。
それが、相手が浮気をしている。私と同じく婚約破棄が出来る! そう思ってしまった。
良心からではなく下心で密告をしたと書いたのに、許してくれると言う。
だから婚約破棄をした後に、あの時にはすでに文官になる気持ちの方が強かったけど、経営家になる為にと乗り込んだ。
私が手にしたい証拠は、馬車の管理内容だった。
グリンマトル伯爵はきちんとした方で、馬車の点検を定期的に受けていて、ちょっとした事でも補修などを行っている。
そして、あの事件の数日前に定期点検を受けていたのを確認。
その後、点検先に行き更に確認も取った。
ぬかるんでいたからと、車輪が外れる事はない。
検証の結果、衝突した弾みに車輪が外れたのではなく、車輪が緩んでいた為にぬかるみで車輪が外れたとわかった。
事故ではなく事件だと確信が出来たが、犯人がわかったわけではない。
馬車が一台しかないが御者は二人雇っており、遠出以外は一人しか乗り込まない。
なので解雇された元御者にも話を聞く事が出来た。
あの日、出かける予定はなかったが、前日に伝えられたと言う。そして、前日にはガストン子息が訪れていたという話も聞けた。
その事からあの事件は、ルトルン伯爵に浮気している事を知られたくないが為に起こした事だろうと推測できる。
婚約破棄をしたくないだけなら、突っぱねればいい。
ただ今も、単独なのかグルなのかがわからない。
だから、細工した決定的な証拠と二人が恋仲の証拠を集めていたのに、恋仲であると自分達で用意した結果になったみたいだ。
けどそれだけだと、殺人には問えない!
私は、話をしながら皆の反応を伺っていた。
「馬車に細工された可能性があると、マスティラン子息から手紙をもらった」
と、プロンテヌ侯爵が語った時にウルミーシュ子爵夫人とガストン子息が反応を示した。
つまり、ウルミーシュ子爵夫人も知っている。
そしてもう一人、ルトルン伯爵も反応を示していた。
どういう事だろうか。
婚約破棄したくないから殺したのだろうか。ルトルン伯爵の命令で?
プロンテヌ侯爵が誓約書を使ったおかげで、彼らがレネットと婚約を解消する事を望んでいなかった事は明白だ。
どうしてそこまで、彼女にこだわるかは謎だけど。
だからと言って殺すだろうか。
ルトルン伯爵は、腹黒い奴だと聞いたけど、バレないように行っており、今までうまくすり抜けて来たとプロンテヌ侯爵が言っていた。
だったら殺人など、起こさないだろう。殺す気がなかったとしても、事故など起こせば内々で処理できなくなる。
ルトルン伯爵の命令ではない。だとすれば、ガストン子息かウルミーシュ子爵夫人だろうな。
だが、実の兄を事故を起こして引き留めようとはしないだろう。そういう話し合いもした形跡もない。
そもそも、グリンマトル伯爵は、ガストン子息の浮気相手がアンナ嬢だとは知らなかったはずだ。
私が、彼女だと知ったのも偶然に過ぎない。
だとすればやはり、ガストン子息なのだろうか。
そして、プロンテヌ侯爵が言う通り、その後、事の真相を知ったウルミーシュ子爵夫人とルトルン伯爵が結託した。
この場を見れば、それが一番しっくりくるかもしれない。
なにせ彼は、青ざめガクガクと震えているのだから――。
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