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4 真逆な男
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「浮気なら……まだ良かったんだけど」
「どういうことだよ?」
「その人は元恋人よ」
「はあ?」
「元恋人には彼の子どもがいるらしいの。彼が遠征から帰ってきたら私は別れるわ」
その話を聞いたテオドールは、ショックを受けていたようだった。
「まだ誰にも言わないで」
「言えるわけがないだろ。こんなこと」
「さっき黄色の薔薇が届いたの。フィン様も彼女とやり直したいんだと思う」
私が目を伏せて、そう伝えると……テオドールはギリッと唇を噛みテーブルを叩いた。
「黄色い薔薇だと? なんだよ、それ。アメリアを馬鹿にしてる」
「……」
「許せない。あいつが帰ってきたら俺がボコボコにしてやる!」
「……ありがとう。でもやめて、お願い」
私がそう伝えると、テオドールは私をじっと見つめた。
「なあ、俺じゃだめか?」
「え?」
「俺は昔からアメリアが好きだ。フィンは真面目で信用できる男だと思っていたし、アメリアがあいつに惚れてるって言うから……諦めたんだ。だけど、こんなことになったら俺は我慢できない」
いきなりテオドールに告白されて、私は驚きを隠せなかった。
「も、申し訳ないけれど、私はテオドールを異性としてみたことはないわ。友達だもの」
「わかってる。だけど、あいつと別れるなら俺を男として意識して欲しい。本気だから」
テオドールは、私の手を握り真剣な顔で見つめてきた。
「……ごめんなさい。私はフィン様が好きなの。きっと別れてもその気持ちは変わらないわ」
「アメリア、だけどあいつは……!」
「ありがとう。でもあなたの気持ちには応えられません」
テオドールは怖い顔でチッと舌打ちをした。私がそのいつもとは違う態度に困惑していると、彼は大きなため息をはいた。
「アメリアは男を見る目がないな。呆れるよ」
「……そうかしら」
「でも、私は君のそういう一途で頑固なところが好きなんだ」
ニコリと優しく微笑み「気が変わったらいつでも言ってくれ」と颯爽と帰って行った。
テオドールが私を好きだなんて思ってもみなかった。彼はとても紳士的で、女性の扱いも慣れている。
舞踏会で会えば『綺麗だよ』とさらりと言い、髪型を変えれば『似合っているね』と褒める。少しの段差でも『どうぞ』と手を差し伸べて、恭しくエスコートをしてくれるような男だ。
「フィン様とは真逆ね」
フィン様に綺麗だと言ってもらったこともなければ、彼が私の髪型の変化に気がついたこともない。エスコートも慣れていないので、さっさと先に行ってしまうこともある。
「どうしてテオドールを好きになれないのかしら」
テオドールを好きになれば幸せになれるだろう。彼はスマートで、人気者で明るい。それに強い騎士だ。なのに……私は無表情で不器用なフィン様のことばかり思ってしまう。
私は想いを断ち切るために、フィン様に手紙を書いた。
私たちお別れしましょう。
あなたが一番好きな人と幸せになってください。
今までありがとうございました。
それだけ書いて黒いチューリップと共に、彼が住んでいる騎士の宿舎に届けてもらった。
今日、彼は遠征先から戻ってくるはずだからだ。ちなみに黒いチューリップの花言葉は『私を忘れて』だ。
「さすがに……最後は顔を見て話したいわね」
この手紙を書けば、私の元に一番に駆けつけて来てくれるだろうという卑怯な考えもあった。まだ私は彼の婚約者なのだ。できれば、遠征後はあの女性よりも先に私の元に来て欲しかった。
「……私って嫌な女」
自分がこんなに嫌な人間だと思ってもみなかった。彼は彼女を子どもを作るほど愛してたが、私とはただの政略結婚だ。
どちらを優先させるかなんて、一目瞭然だ。私に勝ち目はない。
「どういうことだよ?」
「その人は元恋人よ」
「はあ?」
「元恋人には彼の子どもがいるらしいの。彼が遠征から帰ってきたら私は別れるわ」
その話を聞いたテオドールは、ショックを受けていたようだった。
「まだ誰にも言わないで」
「言えるわけがないだろ。こんなこと」
「さっき黄色の薔薇が届いたの。フィン様も彼女とやり直したいんだと思う」
私が目を伏せて、そう伝えると……テオドールはギリッと唇を噛みテーブルを叩いた。
「黄色い薔薇だと? なんだよ、それ。アメリアを馬鹿にしてる」
「……」
「許せない。あいつが帰ってきたら俺がボコボコにしてやる!」
「……ありがとう。でもやめて、お願い」
私がそう伝えると、テオドールは私をじっと見つめた。
「なあ、俺じゃだめか?」
「え?」
「俺は昔からアメリアが好きだ。フィンは真面目で信用できる男だと思っていたし、アメリアがあいつに惚れてるって言うから……諦めたんだ。だけど、こんなことになったら俺は我慢できない」
いきなりテオドールに告白されて、私は驚きを隠せなかった。
「も、申し訳ないけれど、私はテオドールを異性としてみたことはないわ。友達だもの」
「わかってる。だけど、あいつと別れるなら俺を男として意識して欲しい。本気だから」
テオドールは、私の手を握り真剣な顔で見つめてきた。
「……ごめんなさい。私はフィン様が好きなの。きっと別れてもその気持ちは変わらないわ」
「アメリア、だけどあいつは……!」
「ありがとう。でもあなたの気持ちには応えられません」
テオドールは怖い顔でチッと舌打ちをした。私がそのいつもとは違う態度に困惑していると、彼は大きなため息をはいた。
「アメリアは男を見る目がないな。呆れるよ」
「……そうかしら」
「でも、私は君のそういう一途で頑固なところが好きなんだ」
ニコリと優しく微笑み「気が変わったらいつでも言ってくれ」と颯爽と帰って行った。
テオドールが私を好きだなんて思ってもみなかった。彼はとても紳士的で、女性の扱いも慣れている。
舞踏会で会えば『綺麗だよ』とさらりと言い、髪型を変えれば『似合っているね』と褒める。少しの段差でも『どうぞ』と手を差し伸べて、恭しくエスコートをしてくれるような男だ。
「フィン様とは真逆ね」
フィン様に綺麗だと言ってもらったこともなければ、彼が私の髪型の変化に気がついたこともない。エスコートも慣れていないので、さっさと先に行ってしまうこともある。
「どうしてテオドールを好きになれないのかしら」
テオドールを好きになれば幸せになれるだろう。彼はスマートで、人気者で明るい。それに強い騎士だ。なのに……私は無表情で不器用なフィン様のことばかり思ってしまう。
私は想いを断ち切るために、フィン様に手紙を書いた。
私たちお別れしましょう。
あなたが一番好きな人と幸せになってください。
今までありがとうございました。
それだけ書いて黒いチューリップと共に、彼が住んでいる騎士の宿舎に届けてもらった。
今日、彼は遠征先から戻ってくるはずだからだ。ちなみに黒いチューリップの花言葉は『私を忘れて』だ。
「さすがに……最後は顔を見て話したいわね」
この手紙を書けば、私の元に一番に駆けつけて来てくれるだろうという卑怯な考えもあった。まだ私は彼の婚約者なのだ。できれば、遠征後はあの女性よりも先に私の元に来て欲しかった。
「……私って嫌な女」
自分がこんなに嫌な人間だと思ってもみなかった。彼は彼女を子どもを作るほど愛してたが、私とはただの政略結婚だ。
どちらを優先させるかなんて、一目瞭然だ。私に勝ち目はない。
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