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25 一緒にいられるなら
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◇◇
「ルーカス、少し話があるんだ。」
お風呂を出た後、ベッドの上でルーカスに話を切り出す。
「?何?何か気になったモノでもあった?」
ルーカスは僕の前までやってきて、顎、頬、口と順番に触ってきた。
擽ったかったので首を軽く振ってそれから避けると、それでも追いかけてくる手を掴んで、ルーカスを真っ直ぐ見上げる。
「やっぱり僕、平民になろうと思うんだ。だから、ここを出ていくよ。」
前にこの話題を出したら強く抱きしめられて有耶無耶になってしまったが、今回はそうさせない。
僕が掴んでいる手をギュッと強く握ったら、ルーカスの顔から表情が消えていった。
「……なんで?誰かに何か言われたの?」
「ううん、これは僕がちゃんと考えて決めたんだ。
ルーカス、僕達は兄弟だ。
いつかは自分の力だけで、自分の居場所を作らないといけないだろう?
ルーカスの側にいると、僕はそれが作れないんだ。
お互いいつか一生一緒にいたいと思うパートナーを見つけて……僕達が恵まれなかった幸せな家族を新しく作ってみるのもいいかもしれないと思っているんだ。」
「…………。」
ルーカスは僕の言葉を聞いて色々考えているのか、下を向く。
そのせいで表情が分からず、考えている事も分からなかったが、僕は更に自分の意見をしっかり言った。
「兄弟は血の繋がりがある大事な存在だけど、1番大事にしないといけないのは、きっと新たな家族を一緒に作っていってくれるお嫁さんであるべきだと思う。
だから、僕達は離れて────……。」
「そっか。俺は兄さんの気持ちを分かってなかった。ごめんね、兄さん。不安にして。」
パッ!と顔を上げたルーカスの顔には、笑みが浮かんでいて、僕は安心して胸を撫で下ろす。
どうやら分かってくれた様なので、僕はこれから平民生活に────……。
「じゃあ、結婚しよう、兄さん。
なんでこんな簡単な事、今まで思いつかなかったんだろう。
さっさと結婚しちゃえば、面倒なパーティーになんて出なくていいし、俺達は兄弟でかつ唯一無二のパートナーだ。
新しい家族関係を、これから一緒に築いていこうね。」
「…………はぃ?」
あまりにも予想外の言葉を吐かれ、僕の思考は停止した。
兄弟で結婚?
新しい家族関係を築いていく??
一体何を言っているんだ?ルーカスは。
「ちょ、ちょっと待って……。僕達半分だけど血のつながっている兄弟で、結婚するのは、家族愛じゃなくて恋愛っていうまた別の愛情で────。」
「俺の愛の全ては、兄さんにあるから問題ないでしょ?
俺は兄さんが好きで兄さんだって俺が好き。問題ないよ。」
「いやいや!問題があり過ぎるよ!そういう好きじゃないんだ、恋愛は!」
流石に兄弟に持っている愛情と、男女の恋愛の愛情は別物なのは、愛情をよく知らない僕でも分かる。
それを必死に説明したが、ルーカスはやはりピンとはきてない様子だ。
「う~ん、そりゃあ違うのは知ってるけど……。でもその全部が兄さんに向いているから、一つずつ分離して扱うのは無理だと思うよ。」
「は、はぁぁぁ??いや、だって恋愛は、その……アレとか、コレとか……。」
夫婦の情事を思い浮かべて、ゴニョゴニョと口ごもる。
キスしたりとか抱き合ったりとか……それこそそれ以上の体の触れ合いだって……。
口に出すのが戸惑われる事を考え、顔を赤らめる僕を見て、ルーカスはゆっくりと顔を近づけてきた。
「?」
驚いてルーカスを見上げると、瞳に飛び込んでくるのはルーカスの美しい顔で……。
それはどんどん近づいてきて、やがてピントが合わなくなると────……口に柔らかい何かがくっついたため、また僕の思考が停止した。
え……?コレ、何……???
視線の先にはピントが合っていないボヤけた像のルーカスの顔。そして口にくっつく柔らかいモノ……。
それから導き出された答えが出た瞬間、慌てて顔を離そうとしたが、ルーカスの手が僕の後頭部を掴み、更に強く口を押し付けられたため離れられない!
「~~っ……っ~~っ~っ!!?」
「……っ…………はっ。」
チュッチュッという控えめな水音とお互いの口から漏れる吐息が、耳に嫌でも入ってきて……それが恥ずかしくて恥ずかしくて、顔全体に熱が集まってくるのを感じた。
僕、ルーカスとキスして……?
「……っは……はぁっ……兄さん、兄さん……っ。」
「……っル、ルーカ……っ」
息も絶え絶えな状態で、やっとルーカスは顔を離してくれたが、ドロドロに溶けた飴玉みたいな目で見つめられて背筋が凍りついた。
「……あ、あの────。」
「凄い……。コレ、凄いね。心が暖かくて気持ちよくて……。
心地良い感覚があるのに、まるでグツグツと煮えたぎるマグマの様な痛い感覚も感じる。
体もそれに引っ張られて────……?」
ルーカスは最後はとても不思議そうな顔をしたが、直ぐにまた顔を近づけてきたので────慌ててその顔を両手でとめる。
「……兄さん?何?」
「な、な、なにじゃないよ!い、今……キ、キス……。」
混乱したまま必死に今起きたことを口にすると、ルーカスは何でもないかのように言った。
「うん、キスしたね。」
「────!」
ルーカスの口から改めて聞かされると、一気に血の気が引く。
兄弟でキス……?
あり得ない!
耐え難い背徳感に恐怖を感じて震えているのに、ルーカスはなんにも感じていない様だ。
いや、むしろ凄く幸せそうにすら見えた。
「ルーカス!こんな事、兄弟で……絶対にダメだ!」
「なんで?」
本気で分かっていない様子のルーカス。
駄目だという僕に、ルーカスは落ち着いた様子で話し始めた。
「俺は一生兄さんと一緒にいたいし、どんな手段を使ってもそうするつもり。
兄さんが兄弟だから離れると言うなら、新しく兄さんが俺のお嫁さんになればいい。
俺はどんな関係性だって構わないよ。一緒にいれるなら。」
「…………っ。」
「ルーカス、少し話があるんだ。」
お風呂を出た後、ベッドの上でルーカスに話を切り出す。
「?何?何か気になったモノでもあった?」
ルーカスは僕の前までやってきて、顎、頬、口と順番に触ってきた。
擽ったかったので首を軽く振ってそれから避けると、それでも追いかけてくる手を掴んで、ルーカスを真っ直ぐ見上げる。
「やっぱり僕、平民になろうと思うんだ。だから、ここを出ていくよ。」
前にこの話題を出したら強く抱きしめられて有耶無耶になってしまったが、今回はそうさせない。
僕が掴んでいる手をギュッと強く握ったら、ルーカスの顔から表情が消えていった。
「……なんで?誰かに何か言われたの?」
「ううん、これは僕がちゃんと考えて決めたんだ。
ルーカス、僕達は兄弟だ。
いつかは自分の力だけで、自分の居場所を作らないといけないだろう?
ルーカスの側にいると、僕はそれが作れないんだ。
お互いいつか一生一緒にいたいと思うパートナーを見つけて……僕達が恵まれなかった幸せな家族を新しく作ってみるのもいいかもしれないと思っているんだ。」
「…………。」
ルーカスは僕の言葉を聞いて色々考えているのか、下を向く。
そのせいで表情が分からず、考えている事も分からなかったが、僕は更に自分の意見をしっかり言った。
「兄弟は血の繋がりがある大事な存在だけど、1番大事にしないといけないのは、きっと新たな家族を一緒に作っていってくれるお嫁さんであるべきだと思う。
だから、僕達は離れて────……。」
「そっか。俺は兄さんの気持ちを分かってなかった。ごめんね、兄さん。不安にして。」
パッ!と顔を上げたルーカスの顔には、笑みが浮かんでいて、僕は安心して胸を撫で下ろす。
どうやら分かってくれた様なので、僕はこれから平民生活に────……。
「じゃあ、結婚しよう、兄さん。
なんでこんな簡単な事、今まで思いつかなかったんだろう。
さっさと結婚しちゃえば、面倒なパーティーになんて出なくていいし、俺達は兄弟でかつ唯一無二のパートナーだ。
新しい家族関係を、これから一緒に築いていこうね。」
「…………はぃ?」
あまりにも予想外の言葉を吐かれ、僕の思考は停止した。
兄弟で結婚?
新しい家族関係を築いていく??
一体何を言っているんだ?ルーカスは。
「ちょ、ちょっと待って……。僕達半分だけど血のつながっている兄弟で、結婚するのは、家族愛じゃなくて恋愛っていうまた別の愛情で────。」
「俺の愛の全ては、兄さんにあるから問題ないでしょ?
俺は兄さんが好きで兄さんだって俺が好き。問題ないよ。」
「いやいや!問題があり過ぎるよ!そういう好きじゃないんだ、恋愛は!」
流石に兄弟に持っている愛情と、男女の恋愛の愛情は別物なのは、愛情をよく知らない僕でも分かる。
それを必死に説明したが、ルーカスはやはりピンとはきてない様子だ。
「う~ん、そりゃあ違うのは知ってるけど……。でもその全部が兄さんに向いているから、一つずつ分離して扱うのは無理だと思うよ。」
「は、はぁぁぁ??いや、だって恋愛は、その……アレとか、コレとか……。」
夫婦の情事を思い浮かべて、ゴニョゴニョと口ごもる。
キスしたりとか抱き合ったりとか……それこそそれ以上の体の触れ合いだって……。
口に出すのが戸惑われる事を考え、顔を赤らめる僕を見て、ルーカスはゆっくりと顔を近づけてきた。
「?」
驚いてルーカスを見上げると、瞳に飛び込んでくるのはルーカスの美しい顔で……。
それはどんどん近づいてきて、やがてピントが合わなくなると────……口に柔らかい何かがくっついたため、また僕の思考が停止した。
え……?コレ、何……???
視線の先にはピントが合っていないボヤけた像のルーカスの顔。そして口にくっつく柔らかいモノ……。
それから導き出された答えが出た瞬間、慌てて顔を離そうとしたが、ルーカスの手が僕の後頭部を掴み、更に強く口を押し付けられたため離れられない!
「~~っ……っ~~っ~っ!!?」
「……っ…………はっ。」
チュッチュッという控えめな水音とお互いの口から漏れる吐息が、耳に嫌でも入ってきて……それが恥ずかしくて恥ずかしくて、顔全体に熱が集まってくるのを感じた。
僕、ルーカスとキスして……?
「……っは……はぁっ……兄さん、兄さん……っ。」
「……っル、ルーカ……っ」
息も絶え絶えな状態で、やっとルーカスは顔を離してくれたが、ドロドロに溶けた飴玉みたいな目で見つめられて背筋が凍りついた。
「……あ、あの────。」
「凄い……。コレ、凄いね。心が暖かくて気持ちよくて……。
心地良い感覚があるのに、まるでグツグツと煮えたぎるマグマの様な痛い感覚も感じる。
体もそれに引っ張られて────……?」
ルーカスは最後はとても不思議そうな顔をしたが、直ぐにまた顔を近づけてきたので────慌ててその顔を両手でとめる。
「……兄さん?何?」
「な、な、なにじゃないよ!い、今……キ、キス……。」
混乱したまま必死に今起きたことを口にすると、ルーカスは何でもないかのように言った。
「うん、キスしたね。」
「────!」
ルーカスの口から改めて聞かされると、一気に血の気が引く。
兄弟でキス……?
あり得ない!
耐え難い背徳感に恐怖を感じて震えているのに、ルーカスはなんにも感じていない様だ。
いや、むしろ凄く幸せそうにすら見えた。
「ルーカス!こんな事、兄弟で……絶対にダメだ!」
「なんで?」
本気で分かっていない様子のルーカス。
駄目だという僕に、ルーカスは落ち着いた様子で話し始めた。
「俺は一生兄さんと一緒にいたいし、どんな手段を使ってもそうするつもり。
兄さんが兄弟だから離れると言うなら、新しく兄さんが俺のお嫁さんになればいい。
俺はどんな関係性だって構わないよ。一緒にいれるなら。」
「…………っ。」
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