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24 決意
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「一体誰だろう?」
そう呟いた瞬間、コンコンと扉を叩く音がした。
「どなたでしょうか?」
リアンがいち早く動き、ドアの前まで移動し尋ねると、相手はそれに答える。
「侯爵家【リゼイン家】の<サラ・ベルジュ・リゼイン>です。本日はこちらにいらっしゃるグレイ様とお話したくまいりました。」
「リゼイン家?!」
扉の向こうにいる人物を知り、僕はとても驚いた。
リゼイン家は、公爵家の下、つまりルーカスと非常に近い身分を持った大貴族で、その活躍は以前から聞いている。
当主の奥様が他国の人間であるため、この国だけではなく他国にも繋がりがあり、王様とてむやみに口を出せないくらいの力がある。
それこそ、リゼイン家を害する事でもあれば、他国と戦争になる事だって……。
「リアン、お部屋にお招きして。」
「しかし……。」
リアンは拒否する様な姿勢を見せたが、これを拒否したら戦争に……?
ゾゾッ!と背筋を凍らせながら、慌てて立ち上がって開けるようにリアンに再度頼むと、リアンは渋々扉を開けた。
すると中に堂々と入ってきたのは、目が覚めるような美少女で、金色の髪を靡かせて僕の前で一度止まる。
「お初にお目にかかります。サラ・ベルジュ・リゼインと申します。
本日は突然のご訪問申し訳ありません。」
「い、いえ。とんでもありません。」
圧倒的な雰囲気に押されながら、完璧な礼を見せられ動揺しながら礼を返した。
金色の髪は綺麗に上にUPされて纏まっていて、肩が大きく出たデザインの流行りのドレスと相まって、整った顔立ちと細く白い首筋の美しさが前面に出る。
更にその美しさを輝かせる様に、シンプルながら非常に良いモノであると思わせるアクセサリーがその身を飾っていた。
なんて綺麗な女性なんだろう……。
素直にその完璧な美に対し見惚れていると、サラ様は優雅な仕草で扇子を広げ口元を隠す。
「本日は失礼ながらルーカス様とのご関係についてお話にまいりましたの。
グレイ様はルーカス様と御兄弟とお聞きしましたが、それは本当でしょうか?」
「は、はい!本当です。」
つい見惚れてしまって、過剰に反応してしまったが、サラは特にそんな僕の反応は気にせず話を続けた。
「そうですか。なんでも御母様が違うそうですね。
ルーカス様は、パーティーに来られるとグレイ様のお話ばかりするんですよ。」
「そうですか……。ハハハ……。」
何言っているんだよ~……ルーカスぅ~。
せっかくお話してくれる人に、僕の話題を出しているらしいルーカス。
それは良くないと素直に思ったので、苦笑いしているとサラ様の視線は次第にきついモノになっていく。
「ルーカス様はどこに行くにもお兄様であるグレイ様を連れて行くそうですが、それについてグレイ様は了承しておられるのでしょうか?
正直普通の御兄弟ならば、そういった事をされないと思うので。」
「……その通りですね。」
日々のルーカスとの距離感、それは僕も違和感を感じている。
そのため第三者からも同じ指摘をされては、肯定するしかできない。
サラ様は苛立ちを感じている様子で、ハァ……と大きなため息をついた。
「グレイ様の鑑定についてもお聞きしました。その上で正直に申し上げますが、これ以上ルーカス様に寄生されるのはお止めになっていただきたいのです。
ルーカス様は、人の身でありながら神と崇められるお方……その隣にはそれに相応しい人間が立つべきだと思います。
無才で何一つ人より優れているモノを持っていない御自分が、ルーカス様のお側に立つ資格があると思っておられますか?」
「お言葉ですが……。」
サラ様の言葉に対し、突然リアンが口を開いたので、慌ててその口を塞ぐ。
「そうですね。私もそう思います。」
サラ様に向かいまた肯定を返せば、サラ様からはフッと鼻で笑う声が聞こえた。
「分かって頂けて嬉しいですわ。ご両親はルーカス様の怒りを買い平民堕ちしたとお聞きしたので、よろしかったらご家族を探し、もう一度一緒に暮らしたらどうでしょう?
今度こそちゃんとした家族として必要とされるといいですね。
ルーカス様という偉大な存在が側に居ないほうが、グレイ様としては幸せだと思います。
比べられる対象がいなければ、無才も少しは世に隠れるでしょうから。
平民の中ならマシな人生をきっと送れると思いますので、これでルーカス様もグレイ様も幸せになれますね。
本当にこの度は勇気を持ってお話して良かったです。」
「……ありがとうございます。」
お互いがお互い無理なくいれれる場所。
それを見つける事。
そしてその地に足をつけ、人生を必死に生きる事。
確かにこれは当たり前の事で、幸せになるために必要な事だ。
僕の人生はどうしたってルーカスと同じ地の上にはない。
「…………。」
何故か顔色がとても悪いリアンの口から手をゆっくり外すと、僕はサラ様に礼をした。
「ルーカスの事を考えての貴重なご意見、誠にありがとうございました。
これからの事を真剣に考えたいと思います。」
「よろしくお願いいたします。
グレイ様の選択が、これからの人生を明るく照らす事を願っております。」
サラ様は僕を心底軽蔑している様な目で睨みつけた後、部屋を堂々と出ていき、部屋の中には重い空気が漂う。
「グレイ様、どうかお気になさらない様……。」
依然顔色が悪いままのリアンが気遣う様にそう言ってきたが、気にするもなにもそれは間違ってないと思うし、サラ様が口にしたのは恐らく殆どの人達が思っている事だと思う。
「元々このままではいけないと思っていたから、ハッキリ言って貰えて良かったよ。
サラ様はきちんと自分の意見を言える素敵な女性だね。
とりあえず、今日は帰ったらルーカスと話し合ってみようと思う。」
「あ、あの……っ!」
リアムは僕を気遣っている様で、必死に何かを伝えようと口をモゴモゴ動かしていたが、僕の心は決まった。
首を振ってリアムの言葉を止めると、リアムにあれやこれやと平民の暮らしについて質問してみる。
僕は生まれてからずっと貴族として閉鎖された世界を生きてきたから、少しでも情報を知っておいた方がいい。
ニコニコ笑う僕に、リアムはやがて諦めたのか、質問に次々と答えてくれる。
その話はとても楽しそうに思えて、僕はルーカスが戻って来るまでその話に胸を踊らせながら過ごした。
そう呟いた瞬間、コンコンと扉を叩く音がした。
「どなたでしょうか?」
リアンがいち早く動き、ドアの前まで移動し尋ねると、相手はそれに答える。
「侯爵家【リゼイン家】の<サラ・ベルジュ・リゼイン>です。本日はこちらにいらっしゃるグレイ様とお話したくまいりました。」
「リゼイン家?!」
扉の向こうにいる人物を知り、僕はとても驚いた。
リゼイン家は、公爵家の下、つまりルーカスと非常に近い身分を持った大貴族で、その活躍は以前から聞いている。
当主の奥様が他国の人間であるため、この国だけではなく他国にも繋がりがあり、王様とてむやみに口を出せないくらいの力がある。
それこそ、リゼイン家を害する事でもあれば、他国と戦争になる事だって……。
「リアン、お部屋にお招きして。」
「しかし……。」
リアンは拒否する様な姿勢を見せたが、これを拒否したら戦争に……?
ゾゾッ!と背筋を凍らせながら、慌てて立ち上がって開けるようにリアンに再度頼むと、リアンは渋々扉を開けた。
すると中に堂々と入ってきたのは、目が覚めるような美少女で、金色の髪を靡かせて僕の前で一度止まる。
「お初にお目にかかります。サラ・ベルジュ・リゼインと申します。
本日は突然のご訪問申し訳ありません。」
「い、いえ。とんでもありません。」
圧倒的な雰囲気に押されながら、完璧な礼を見せられ動揺しながら礼を返した。
金色の髪は綺麗に上にUPされて纏まっていて、肩が大きく出たデザインの流行りのドレスと相まって、整った顔立ちと細く白い首筋の美しさが前面に出る。
更にその美しさを輝かせる様に、シンプルながら非常に良いモノであると思わせるアクセサリーがその身を飾っていた。
なんて綺麗な女性なんだろう……。
素直にその完璧な美に対し見惚れていると、サラ様は優雅な仕草で扇子を広げ口元を隠す。
「本日は失礼ながらルーカス様とのご関係についてお話にまいりましたの。
グレイ様はルーカス様と御兄弟とお聞きしましたが、それは本当でしょうか?」
「は、はい!本当です。」
つい見惚れてしまって、過剰に反応してしまったが、サラは特にそんな僕の反応は気にせず話を続けた。
「そうですか。なんでも御母様が違うそうですね。
ルーカス様は、パーティーに来られるとグレイ様のお話ばかりするんですよ。」
「そうですか……。ハハハ……。」
何言っているんだよ~……ルーカスぅ~。
せっかくお話してくれる人に、僕の話題を出しているらしいルーカス。
それは良くないと素直に思ったので、苦笑いしているとサラ様の視線は次第にきついモノになっていく。
「ルーカス様はどこに行くにもお兄様であるグレイ様を連れて行くそうですが、それについてグレイ様は了承しておられるのでしょうか?
正直普通の御兄弟ならば、そういった事をされないと思うので。」
「……その通りですね。」
日々のルーカスとの距離感、それは僕も違和感を感じている。
そのため第三者からも同じ指摘をされては、肯定するしかできない。
サラ様は苛立ちを感じている様子で、ハァ……と大きなため息をついた。
「グレイ様の鑑定についてもお聞きしました。その上で正直に申し上げますが、これ以上ルーカス様に寄生されるのはお止めになっていただきたいのです。
ルーカス様は、人の身でありながら神と崇められるお方……その隣にはそれに相応しい人間が立つべきだと思います。
無才で何一つ人より優れているモノを持っていない御自分が、ルーカス様のお側に立つ資格があると思っておられますか?」
「お言葉ですが……。」
サラ様の言葉に対し、突然リアンが口を開いたので、慌ててその口を塞ぐ。
「そうですね。私もそう思います。」
サラ様に向かいまた肯定を返せば、サラ様からはフッと鼻で笑う声が聞こえた。
「分かって頂けて嬉しいですわ。ご両親はルーカス様の怒りを買い平民堕ちしたとお聞きしたので、よろしかったらご家族を探し、もう一度一緒に暮らしたらどうでしょう?
今度こそちゃんとした家族として必要とされるといいですね。
ルーカス様という偉大な存在が側に居ないほうが、グレイ様としては幸せだと思います。
比べられる対象がいなければ、無才も少しは世に隠れるでしょうから。
平民の中ならマシな人生をきっと送れると思いますので、これでルーカス様もグレイ様も幸せになれますね。
本当にこの度は勇気を持ってお話して良かったです。」
「……ありがとうございます。」
お互いがお互い無理なくいれれる場所。
それを見つける事。
そしてその地に足をつけ、人生を必死に生きる事。
確かにこれは当たり前の事で、幸せになるために必要な事だ。
僕の人生はどうしたってルーカスと同じ地の上にはない。
「…………。」
何故か顔色がとても悪いリアンの口から手をゆっくり外すと、僕はサラ様に礼をした。
「ルーカスの事を考えての貴重なご意見、誠にありがとうございました。
これからの事を真剣に考えたいと思います。」
「よろしくお願いいたします。
グレイ様の選択が、これからの人生を明るく照らす事を願っております。」
サラ様は僕を心底軽蔑している様な目で睨みつけた後、部屋を堂々と出ていき、部屋の中には重い空気が漂う。
「グレイ様、どうかお気になさらない様……。」
依然顔色が悪いままのリアンが気遣う様にそう言ってきたが、気にするもなにもそれは間違ってないと思うし、サラ様が口にしたのは恐らく殆どの人達が思っている事だと思う。
「元々このままではいけないと思っていたから、ハッキリ言って貰えて良かったよ。
サラ様はきちんと自分の意見を言える素敵な女性だね。
とりあえず、今日は帰ったらルーカスと話し合ってみようと思う。」
「あ、あの……っ!」
リアムは僕を気遣っている様で、必死に何かを伝えようと口をモゴモゴ動かしていたが、僕の心は決まった。
首を振ってリアムの言葉を止めると、リアムにあれやこれやと平民の暮らしについて質問してみる。
僕は生まれてからずっと貴族として閉鎖された世界を生きてきたから、少しでも情報を知っておいた方がいい。
ニコニコ笑う僕に、リアムはやがて諦めたのか、質問に次々と答えてくれる。
その話はとても楽しそうに思えて、僕はルーカスが戻って来るまでその話に胸を踊らせながら過ごした。
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