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23 どうしようか……
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ルーカスが沢山の感情をぶつけてくれて、うまく受け取れない僕の器に無理やりそれをねじ込んでくれた。
そうしたら、ルーカスがいなくなることが怖くて悲しくて、更にルーカスを虐める全てのものに対する怒りも初めて経験できたのだ。
そこには熱量がある。
自分の心に熱が灯るのが────本当に嬉しいと思った。
「僕の心の器に無理やり心を入れてくれたのは、ルーカスだ。本当に心から感謝しているよ。」
自然と笑顔になる僕を見て、リアンは「グレイ様はお強いですね。」と言う。
残念ながら、『強い』という言葉が全く当てはまらない事を伝えようとする前に、リアンは続けていった。
「たまにその無償の愛を、すんなり人に与えられる人間がいます。
ずっとずっと欲しかったものを与えられた人間は……今まで貰えなかった反動か、与えてくれた人に酷く執着します。
あとは元々の性格も影響するんでしょうね。いずれにせよ……相性が悪かった、そう思います。」
「……???」
分かるような分からないような?
リアムの話は中々哲学的なお話が多くて混乱してしまったが、とりあえずルーカスも僕も幸せであると、そういうことだろうか……。
「うん。とりあえずルーカスが幸せならいいんだけど……。でも、少しこのままである事に危機感はあるよ。
だって兄弟はいつかは別々の道を歩かないといけないんだから。
だからルーカスは、これから先一生一緒にいたいなと考える女性を見つけないといけないね。」
「…………そうですね。」
リアンはとても複雑そうな顔をして、色々考え込んでいるようだったが、とりあえず最後はコクリと頷いていた。
リアンに口に出す事で、僕は自分がすべきことを固める事ができた気がする。
『ルーカスと共に人生を歩んでいけるパートナーを見つける事』
ルーカスの歪な心の器に、これでもかと心を詰め込んでくれる人が幸せになるのに必要だ。
そうなれば、ルーカスはもっともっと幸せに────……。
「…………。」
何故か心はチクチクと傷んだが、それは気づかないフリをした。
◇◇
「ルーカス、今日はどんな人がパーティーにいたの?」
僕を置いて出席するパーティーの後、僕は何でもない様子でルーカスにこう質問する。
そのパーティーに出席した時は、沢山の香水の匂いがするので、恐らく沢山の女性とお喋りはしてくるはず。
ドキドキしながら尋ねると、ルーカスはとてもとても嫌そうな顔をして答えた。
「外見ばかり飾り立てた欲望まみれの人間達だよ。
べらべらと自分の事を語るか、俺を褒めるか……いずれにせよ、全部に欲望が見え隠れして気持ち悪い。
本当は出たくないんだけど、兄さんとの穏やかな生活のためには仕方ないかな。」
「そ、そう……。」
嫌なモノを吐き捨てる様にそう言うルーカスからは、好意的なモノは一切見られない。
きっと嫌な人ばかりじゃないとは思うが、中々それを見分けるのは難しいんだろうなとは思う。
僕だって、今まで空気の様に扱ってきた人達が、突然チヤホヤしてきたら……そりゃ警戒するもんね。
「中にはいい人もいるかもしれないから、じっくりお話してみるといいかもよ。
勿論ルーカスがお話してみたいと思ったらいいから。」
「…………。」
ルーカスは黙ったまま僕を見つめ、そのまま強く抱きしめてきた。
「俺は兄さんだけがいい。なのに周りが心底うっとおしいよ。
今の自分をどんなに褒め称えられたって、何も心には響かないんだ。
以前の惨めな自分を受け入れてくれた兄さんしか、もう心の中には入らない。
だから永遠に俺の心の中は兄さんだけ。
どうしたらもっと一緒にいられるんだろうね?」
「ル……ルーカス……くるし……。」
強く抱きしめられすぎてとても苦しい。
そのせいで言っている事がよく聞こえず、バシバシと背中を叩くと、ルーカスは「ごめんごめん。」と言いながら力を弱めてくれた。
そしてそのまま二人で恒例となっているお風呂でお互いの背中を洗い、床につく。
ルーカスはまるで逃さないと言わんばかりに僕の体に腕を絡ませ、朝まで離してはくれなかった。
◇◇
「……どうしようか。」
最近頻繁になってきた僕を置いてのパーティー。
きっと王様は必死なんだろうと思う。
ルーカスは僕が思った以上に国によって必要な人で、そんなルーカスをどうにかしてこの国に根付かせたいという事だ。
「…………ハァ。」
僕は今の現状を思い浮かべ、大きなため息をついた。
道を歩けば常に周りの視線はルーカスに。
その視線は好意、好意、好意……と嫌というほど、ルーカスと懇意になりたいという想いがある。
その中には確かにルーカスに対し欲望を抱いているモノもあったが、心からルーカスを想ってくれているモノもあった。
これからルーカスが幸せな人生を歩むには、そういう人達を大事にしていかないといけない気がする……。
寂しくはなるが、僕にばかりくっついていては、ルーカスのためにならない。
それはずっと想っていて、モヤモヤしながらどうすれば1番いいのか考えてはいたが、行動に起こせずにいた。
「いっそ僕が間接的にお見合いをして、良さそうな人がいたらルーカスに会ってもらうとか……。それか三人でお茶をしたり……いや、これは女性からしたら嫌がられるか。」
「……そうですね、止めたほうがいいと想います。」
今日もリアムが僕にお茶を入れてくれながら、話し相手になってくれる。
八方塞がりな状態に困ってしまい、ついリアム相手に愚痴の様な事を言ってしまった。
「最近、ルーカスに対する周りの行動が活発になってきたね。
綺麗で優しい女性だって、素晴らしい意見を持った男性も沢山いる。
そんな中で、僕だけがルーカスの側にいるのが、実はとても違和感があるんだ。」
「そうですね。確かに人として素晴らしい方々も沢山おられますね。
そういう方々と仲良くされるのは、とても良い事だとは思います。」
リアンに自分の意見を肯定され、そうだよね……と、その必要性を再確認する。
そして、最近自分に向けられる好意的ではない視線についても思い出した。
結局、釣り合いって、お互い一緒にいてストレスがないために必要なモノかも。
ルーカスにとって、一体僕はどういった立ち位置にいれば幸せなんだろう……。
これはずっと考えている事で、モヤモヤモヤモヤと今日も悩んでいると、突然この部屋に近づいてくる足音が聞こえ、リアンと僕は反応する。
軽やかなヒールの音……ルーカスではない様だ。
そうしたら、ルーカスがいなくなることが怖くて悲しくて、更にルーカスを虐める全てのものに対する怒りも初めて経験できたのだ。
そこには熱量がある。
自分の心に熱が灯るのが────本当に嬉しいと思った。
「僕の心の器に無理やり心を入れてくれたのは、ルーカスだ。本当に心から感謝しているよ。」
自然と笑顔になる僕を見て、リアンは「グレイ様はお強いですね。」と言う。
残念ながら、『強い』という言葉が全く当てはまらない事を伝えようとする前に、リアンは続けていった。
「たまにその無償の愛を、すんなり人に与えられる人間がいます。
ずっとずっと欲しかったものを与えられた人間は……今まで貰えなかった反動か、与えてくれた人に酷く執着します。
あとは元々の性格も影響するんでしょうね。いずれにせよ……相性が悪かった、そう思います。」
「……???」
分かるような分からないような?
リアムの話は中々哲学的なお話が多くて混乱してしまったが、とりあえずルーカスも僕も幸せであると、そういうことだろうか……。
「うん。とりあえずルーカスが幸せならいいんだけど……。でも、少しこのままである事に危機感はあるよ。
だって兄弟はいつかは別々の道を歩かないといけないんだから。
だからルーカスは、これから先一生一緒にいたいなと考える女性を見つけないといけないね。」
「…………そうですね。」
リアンはとても複雑そうな顔をして、色々考え込んでいるようだったが、とりあえず最後はコクリと頷いていた。
リアンに口に出す事で、僕は自分がすべきことを固める事ができた気がする。
『ルーカスと共に人生を歩んでいけるパートナーを見つける事』
ルーカスの歪な心の器に、これでもかと心を詰め込んでくれる人が幸せになるのに必要だ。
そうなれば、ルーカスはもっともっと幸せに────……。
「…………。」
何故か心はチクチクと傷んだが、それは気づかないフリをした。
◇◇
「ルーカス、今日はどんな人がパーティーにいたの?」
僕を置いて出席するパーティーの後、僕は何でもない様子でルーカスにこう質問する。
そのパーティーに出席した時は、沢山の香水の匂いがするので、恐らく沢山の女性とお喋りはしてくるはず。
ドキドキしながら尋ねると、ルーカスはとてもとても嫌そうな顔をして答えた。
「外見ばかり飾り立てた欲望まみれの人間達だよ。
べらべらと自分の事を語るか、俺を褒めるか……いずれにせよ、全部に欲望が見え隠れして気持ち悪い。
本当は出たくないんだけど、兄さんとの穏やかな生活のためには仕方ないかな。」
「そ、そう……。」
嫌なモノを吐き捨てる様にそう言うルーカスからは、好意的なモノは一切見られない。
きっと嫌な人ばかりじゃないとは思うが、中々それを見分けるのは難しいんだろうなとは思う。
僕だって、今まで空気の様に扱ってきた人達が、突然チヤホヤしてきたら……そりゃ警戒するもんね。
「中にはいい人もいるかもしれないから、じっくりお話してみるといいかもよ。
勿論ルーカスがお話してみたいと思ったらいいから。」
「…………。」
ルーカスは黙ったまま僕を見つめ、そのまま強く抱きしめてきた。
「俺は兄さんだけがいい。なのに周りが心底うっとおしいよ。
今の自分をどんなに褒め称えられたって、何も心には響かないんだ。
以前の惨めな自分を受け入れてくれた兄さんしか、もう心の中には入らない。
だから永遠に俺の心の中は兄さんだけ。
どうしたらもっと一緒にいられるんだろうね?」
「ル……ルーカス……くるし……。」
強く抱きしめられすぎてとても苦しい。
そのせいで言っている事がよく聞こえず、バシバシと背中を叩くと、ルーカスは「ごめんごめん。」と言いながら力を弱めてくれた。
そしてそのまま二人で恒例となっているお風呂でお互いの背中を洗い、床につく。
ルーカスはまるで逃さないと言わんばかりに僕の体に腕を絡ませ、朝まで離してはくれなかった。
◇◇
「……どうしようか。」
最近頻繁になってきた僕を置いてのパーティー。
きっと王様は必死なんだろうと思う。
ルーカスは僕が思った以上に国によって必要な人で、そんなルーカスをどうにかしてこの国に根付かせたいという事だ。
「…………ハァ。」
僕は今の現状を思い浮かべ、大きなため息をついた。
道を歩けば常に周りの視線はルーカスに。
その視線は好意、好意、好意……と嫌というほど、ルーカスと懇意になりたいという想いがある。
その中には確かにルーカスに対し欲望を抱いているモノもあったが、心からルーカスを想ってくれているモノもあった。
これからルーカスが幸せな人生を歩むには、そういう人達を大事にしていかないといけない気がする……。
寂しくはなるが、僕にばかりくっついていては、ルーカスのためにならない。
それはずっと想っていて、モヤモヤしながらどうすれば1番いいのか考えてはいたが、行動に起こせずにいた。
「いっそ僕が間接的にお見合いをして、良さそうな人がいたらルーカスに会ってもらうとか……。それか三人でお茶をしたり……いや、これは女性からしたら嫌がられるか。」
「……そうですね、止めたほうがいいと想います。」
今日もリアムが僕にお茶を入れてくれながら、話し相手になってくれる。
八方塞がりな状態に困ってしまい、ついリアム相手に愚痴の様な事を言ってしまった。
「最近、ルーカスに対する周りの行動が活発になってきたね。
綺麗で優しい女性だって、素晴らしい意見を持った男性も沢山いる。
そんな中で、僕だけがルーカスの側にいるのが、実はとても違和感があるんだ。」
「そうですね。確かに人として素晴らしい方々も沢山おられますね。
そういう方々と仲良くされるのは、とても良い事だとは思います。」
リアンに自分の意見を肯定され、そうだよね……と、その必要性を再確認する。
そして、最近自分に向けられる好意的ではない視線についても思い出した。
結局、釣り合いって、お互い一緒にいてストレスがないために必要なモノかも。
ルーカスにとって、一体僕はどういった立ち位置にいれば幸せなんだろう……。
これはずっと考えている事で、モヤモヤモヤモヤと今日も悩んでいると、突然この部屋に近づいてくる足音が聞こえ、リアンと僕は反応する。
軽やかなヒールの音……ルーカスではない様だ。
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