姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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その時は、その使用人との会話だけで終わったのですが……
後々の時に姑からちくりと釘を刺されました。


蘭珠ランジュさん、今日なんだか庭でふらふらとしていたんですって?』

義母の私室に呼ばれた蘭珠ランジュが、部屋に通されるなり言われた言葉がそれでした。
部屋の案内はどうだったとか、つつがなく過ごしていけそうかしらとか、そういった話をする前に……

『えっ……』

義母はゆったりとした豪勢な椅子に座って手を投げ出し脚を組んで、左右に控えた使用人たちに肌のケアをさせているところでした。
爪先をきれいに磨かせながら、蘭珠ランジュへは視線も寄こさずにため息をつきます。

『やっぱり格下のところから嫁なんてもらうものじゃなかったわ。お庭は外からも見えるのですから……あまり、はしたない真似をしないでちょうだいね?』

『あ……あ…申し訳ありません……ただ、きれいな花が見えて……』

順番としては、道に迷ってしまったのが先だったのだけれど。
決してふらふらとしていたわけでもなく、そもそも庭に居たのもほんの少しの時間で……
けれど、今はもう、そのこともどうでもよくなるような気持ちでした。

急に意地の悪いことを言い出した姑を前にして、人が変わってしまったのか?と感じたほどです。

(あんなにお優しくして頂いていたのに、どうして……)

それは持参金を渡して、婚姻を結び……彼女の生家から贈られる毎月の支援の他に、蘭珠ランジュへの用がなくなったからなのですが。
衝撃を感じている蘭珠ランジュにはまだそのことは気付けず。

ただ、この屋敷の中で自分が歩いていい場所は決められているのだと……そう、日々実感を募らせて行きました。


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