39 / 105
39
しおりを挟む
「それもこれも、あんたがよくやってくれたからだよ、連花」
「いいえぇ、それも全部お義母様のおかげですものぉ!」
それは暗にして、その連花を連れてきた自分のおかげであると……名門凌夫人は自分を褒めているのでしたが。
連花もそこのところはよく分かっているので、名門凌夫人を持ち上げることを忘れはしませんでした。
名門凌夫人は満足そうに、手の中にある宝石を眺めています。
蘭珠が居たころには何もかもが気に入らなくて、その苛立たしさを買い物へぶつけていた時もありましたが……
今となっては、邪魔者が片付いた……そのすがすがしさに、以前とは違った気持ちで買い物への意欲がわいて来ていました。
「これと……それがいいわね。地金はさっきの中で一番上等なものを頼むよ。それから意匠は……」
「お義母様ぁ、外にこちらの宝石をちりばめるのも綺麗ですわぁ」
「でしたら、このような案はいかがでしょうか」
話はとんとん拍子に進んでいきます。金に糸目はつけない、と宣言されているようなものですから、商人たちも腕を振るって自分たちが出せる最上級のものを見せに来ているのでした。
輝くような美しさを持つ宝石たちをいくつか選んで複数のアクセサリーへ仕立てることを決め、それぞれデザインをどうするのか、ああでもないこうでもないと楽しむ……
専属のデザイナーが持ち込んだ冊子には流行の最先端と取れる図案が並んでいて、どれもこれも魅力的に見えるのでした。
そのような楽しい会が進む中で、ふと連花が呟きます。
「いいえぇ、それも全部お義母様のおかげですものぉ!」
それは暗にして、その連花を連れてきた自分のおかげであると……名門凌夫人は自分を褒めているのでしたが。
連花もそこのところはよく分かっているので、名門凌夫人を持ち上げることを忘れはしませんでした。
名門凌夫人は満足そうに、手の中にある宝石を眺めています。
蘭珠が居たころには何もかもが気に入らなくて、その苛立たしさを買い物へぶつけていた時もありましたが……
今となっては、邪魔者が片付いた……そのすがすがしさに、以前とは違った気持ちで買い物への意欲がわいて来ていました。
「これと……それがいいわね。地金はさっきの中で一番上等なものを頼むよ。それから意匠は……」
「お義母様ぁ、外にこちらの宝石をちりばめるのも綺麗ですわぁ」
「でしたら、このような案はいかがでしょうか」
話はとんとん拍子に進んでいきます。金に糸目はつけない、と宣言されているようなものですから、商人たちも腕を振るって自分たちが出せる最上級のものを見せに来ているのでした。
輝くような美しさを持つ宝石たちをいくつか選んで複数のアクセサリーへ仕立てることを決め、それぞれデザインをどうするのか、ああでもないこうでもないと楽しむ……
専属のデザイナーが持ち込んだ冊子には流行の最先端と取れる図案が並んでいて、どれもこれも魅力的に見えるのでした。
そのような楽しい会が進む中で、ふと連花が呟きます。
88
あなたにおすすめの小説
王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。
ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果
柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。
彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。
しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。
「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」
逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。
あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。
しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。
気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……?
虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。
※小説家になろうに重複投稿しています。
婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~
ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された
「理由はどういったことなのでしょうか?」
「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」
悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる
それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。
腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。
平手打ちされたので、婚約破棄宣言に拳でお答えしました
Megumi
恋愛
婚約破棄を告げられ、婚約者に平手打ちされた——その瞬間。
伯爵令嬢イヴの拳が炸裂した。
理不尽に耐える淑女の時代は、もう終わり。
これは“我慢しない令嬢”が、これまでの常識を覆す話。
婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話
ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。
リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。
婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。
どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。
死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて……
※正常な人があまりいない話です。
白い結婚をめぐる二年の攻防
藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」
「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」
「え、いやその」
父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。
だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。
妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。
※ なろうにも投稿しています。
【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った
冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。
「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。
※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる