姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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その書類は、形式こそ先ほど夫人が眺めていたものとほとんど同じものを使っていました。
同じ施設内での業績結果を表したものです。
事業内容も似通い、扱っている品だけが異なる、というようなもので……

決定的に違うのは、利益の出し方とその結果でした。
平たく言ってしまえば、そちらに書いてある業績結果は……ほとんど利益が出ていないものを集めていたのです。
それどころか、マイナスを出して資産を切り捨てなければいけないようなものまで並んでいる始末でした。

けれども、それを見て侯爵夫人は満足そうに笑みを見せました。
ともすれば、先ほどの利益が出ている書類を眺めていた時よりも歪んだ喜びを感じているような表情です。

「……そうそう、こういうことでいいんだよ……」

「はあ……」

男性はどこか納得のいかないような顔をしていますが、夫人はその書類もばさ、と卓上へ戻しました。

……持参金は、元手に使ったことで儲けが出ればその分も含めて返還されなければなりません。
けれども、その持参金を元手に使って負債が出てしまったとしたら?

その場合は、負債分も合わせて花嫁だった女性へと返さなければならない、という法でした。
0から先……借金となってしまえば、それはもちろん女性の知るところではありませんでしたが。

持参金を使って損をしてしまった、ということであれば、その負債を減らした金額分だけしか変換する義務がなくなるというのです。


「……そういうことだから、この調子でやっておきなさい。役人が来たらこの書類を見せて説明するんだよ」
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