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蘭珠《ランジュ》が眺めていた書類は離縁に関するもので、持参金の返還を求める日などの報せも含まれています。
それらに目を通しながら、彼女は誰に事情を聴こうかと考えていたのですが……
意外なところからそれは現れました。
使用人が部屋の扉をノックして、客人の来訪を告げに参ります。
「蘭珠お嬢様、お客様がいらしております」
「あら、どなたとも約束はしてなかったけれど……」
しかし、私室にまで来て告げるということは、少なくとも使用人にも名が知れている人物なのだろうと蘭珠は判断して席を立ちます。
けれど、了解を告げる前に部屋の扉は開かれました。
明るい声の調子と共に、飛び込むように一人の少女が入ってきます。
「蘭珠!帰ってきてたのね!」
「魅音。久しぶりね、こちらに来ていたなんて」
少女は蘭珠のいとこでした。
魅音の父と蘭珠の父は兄弟で、二人は事業を共同経営しています。
「びっくりした?使用人には誰が来たか内緒にするように言ってみたの」
「あなたってば……でも、親しい人しか通さないように言いつけてあるわ。魅音に会えて嬉しい」
いたずらっぽく微笑む魅音に、蘭珠の気持ちも明るくなりました。
蘭珠にとっては落ち着く私室ではありますが、戻ってきたばかりと言うこともあって客人をもてなすことには少し不向きかもしれません。
応接間へと揃って移動をしながら、話題に尽きない二人はおしゃべりすることを止めませんでした。
「魅音、あなた、留学していたと聞いたけれど……」
それらに目を通しながら、彼女は誰に事情を聴こうかと考えていたのですが……
意外なところからそれは現れました。
使用人が部屋の扉をノックして、客人の来訪を告げに参ります。
「蘭珠お嬢様、お客様がいらしております」
「あら、どなたとも約束はしてなかったけれど……」
しかし、私室にまで来て告げるということは、少なくとも使用人にも名が知れている人物なのだろうと蘭珠は判断して席を立ちます。
けれど、了解を告げる前に部屋の扉は開かれました。
明るい声の調子と共に、飛び込むように一人の少女が入ってきます。
「蘭珠!帰ってきてたのね!」
「魅音。久しぶりね、こちらに来ていたなんて」
少女は蘭珠のいとこでした。
魅音の父と蘭珠の父は兄弟で、二人は事業を共同経営しています。
「びっくりした?使用人には誰が来たか内緒にするように言ってみたの」
「あなたってば……でも、親しい人しか通さないように言いつけてあるわ。魅音に会えて嬉しい」
いたずらっぽく微笑む魅音に、蘭珠の気持ちも明るくなりました。
蘭珠にとっては落ち着く私室ではありますが、戻ってきたばかりと言うこともあって客人をもてなすことには少し不向きかもしれません。
応接間へと揃って移動をしながら、話題に尽きない二人はおしゃべりすることを止めませんでした。
「魅音、あなた、留学していたと聞いたけれど……」
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