姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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105(終)

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「そう……」

「当主とあなたの元夫は、残った屋敷を切り売りして食いつないでいるみたい」

「……その、彼女がどうなったのかは知っている?元義母の方ではなくて……」

「のこと?」

かつての第二夫人の名を口にした魅音ミオンは焼き菓子をつまみ、少しだけ声を低くして続けました。

「北の関所で捕まったみたいよ。凌家から持ち出した金品を早々に使い果たして……彼女、結局妊娠もしていなかったんですって」

「……やっぱり……」

蘭珠ランジュは驚くこともなく、静かに頷きました。 あの裁判の場での涼珩リャンハンの証言を聞いた時から、薄々感づいていたことでした。

「大した役者よね、結局捕まってたんじゃ意味ないけど……」

話を聞くと、連花リェンホアは役人に捕まった際にも喚いていたとのことですが……

『私は騙されたのよぉ、被害者だって言ってるでしょぉ!?凌家の医者を呼んでってば!』

「……ですって。その町医者……凌家の主治医だった男もすでに診療所を畳んで行方をくらましているらしいけど」

どこから手に入れているのか。魅音ミオンの話は多岐にわたります。

「というか、どこか遠い領地へ転居してしまっているらしいわよ。こっちは足がつかないように周到に準備されていたみたいで、本当に見つからなさそうね」

魅音ミオンは呆れたように肩をすくめました。

連花リェンホアは今、盗難と詐欺の罪で拘束されているといいます。
凌家はただ、怒りと憎しみの矛先を彼女に向けることしかできないようでした。

「……凌夫人も、さぞお怒りでしょう」

「今は屋敷に引きこもって、誰とも会おうとしないらしいわ。自業自得とはいえ、皮肉なものね」

魅音ミオンの話を、蘭珠ランジュはどこか遠い世界の出来事を聞くような心地で聞いていました。

かつて自分を虐げていた人々が、今では自分たちの嘘と無知によって自滅していく。とはいえ、彼女としては当然のものを取り返しただけで、特段の復讐を望んでいたわけではありませんでしたが……

「だとしたら尚更、もう会うことはないんでしょうね」

「そうね。あんな人たちのために、貴女の貴重な時間を使うのはもったいないもの」

魅音ミオンは満足そうに微笑みます。
蘭珠ランジュはようやく、誰に妨害されることもない穏やかな午後を、親しい人と過ごすことが出来るようになったのでした。
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