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第2章 国交回復の経緯
(10)パトリツィアの気持ち
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「もう決まってしまったことだけど、貴女は僕との結婚は嫌かな」
ディーデリヒはパトリツィアの様子で彼女の気持ちを確信したが、嫌じゃないと言葉にしてほしかった。
ディーデリヒはソファから立ち上がってパトリツィアに跪く。そのほっそりとして爪まで美しく磨き上げられた手を取って口付け、パトリツィアの菫色の瞳をひたすらに見つめた。
パトリツィアは答えあぐねているようで、優しげな薔薇色の唇を開いては閉じを繰り返している。けれど、目は逸らさない。
パトリツィアが深く息を吸って、ゆっくりと吐いた。
「……う、うれしい……です」
聞き取れるか聞き取れないかという声量でなんとか告げたパトリツィアにディーデリヒは思わず立ち上がった。『嫌じゃない』どころか『うれしい』と言ってくれたのだ。
ディーデリヒが嬉しさのあまりパトリツィアをきつく抱き締める。額に一度口付けたところで、ラインマイヤー公爵が応接室へと入ってきた。
ディーデリヒはそっとパトリツィアから手を離して少し距離を取る。
パトリツィアは顔を真っ赤にしたまま呆然とした様子で、父親が入室したことにも使用人たちが戻って来たことにも気づかずソファに座り込んでいた。
ディーデリヒはパトリツィアのその様子に心配になって声をかける。
「パトリツィア、驚かせたしまったかな」
ディーデリヒが優しく声をかけると、パトリツィアははっとして父の姿を認めた。慌てて立ち上がるがよろめいて、それを予想しパトリツィアのそばまで寄っていた侍女が支える。
「パトリツィア、とりあえずお茶を飲んで落ち着きなさい」
父の言葉で気を取り直し、ディーデリヒが応接室に入ったときに淹れられた冷めかけの紅茶を三口ほど飲んだ。
甘やかなウバの香りがパトリツィアの気持ちを落ち着かせる。
「取り乱してしまい申し訳ありません」
パトリツィアは改めて立ち上がり父に会釈をした。
まずラインマイヤー公爵が先ほどまでディーデリヒも座っていたソファに着く。ついでパトリツィアと並んだディーデリヒがパトリツィアを座らせて、自身もその隣に着席した。
パトリツィアの侍女は応接室の角の椅子に控え、使用人二人が手際よく新しい茶器を準備する。今度はセカンドフラッシュのダージリンが淹れられて部屋にさわやかな香りが広がった。
「二人が良い夫婦になれそうで安心した」
「色々とお気遣いいただきありがとうございました」
公爵の心からの言葉にディーデリヒも心底から感謝を述べる。公爵の力がなければ、短期間での国交回復は不可能だった。
ディーデリヒとパトリツィアの婚約もそうだ。
ディーデリヒはパトリツィアの様子で彼女の気持ちを確信したが、嫌じゃないと言葉にしてほしかった。
ディーデリヒはソファから立ち上がってパトリツィアに跪く。そのほっそりとして爪まで美しく磨き上げられた手を取って口付け、パトリツィアの菫色の瞳をひたすらに見つめた。
パトリツィアは答えあぐねているようで、優しげな薔薇色の唇を開いては閉じを繰り返している。けれど、目は逸らさない。
パトリツィアが深く息を吸って、ゆっくりと吐いた。
「……う、うれしい……です」
聞き取れるか聞き取れないかという声量でなんとか告げたパトリツィアにディーデリヒは思わず立ち上がった。『嫌じゃない』どころか『うれしい』と言ってくれたのだ。
ディーデリヒが嬉しさのあまりパトリツィアをきつく抱き締める。額に一度口付けたところで、ラインマイヤー公爵が応接室へと入ってきた。
ディーデリヒはそっとパトリツィアから手を離して少し距離を取る。
パトリツィアは顔を真っ赤にしたまま呆然とした様子で、父親が入室したことにも使用人たちが戻って来たことにも気づかずソファに座り込んでいた。
ディーデリヒはパトリツィアのその様子に心配になって声をかける。
「パトリツィア、驚かせたしまったかな」
ディーデリヒが優しく声をかけると、パトリツィアははっとして父の姿を認めた。慌てて立ち上がるがよろめいて、それを予想しパトリツィアのそばまで寄っていた侍女が支える。
「パトリツィア、とりあえずお茶を飲んで落ち着きなさい」
父の言葉で気を取り直し、ディーデリヒが応接室に入ったときに淹れられた冷めかけの紅茶を三口ほど飲んだ。
甘やかなウバの香りがパトリツィアの気持ちを落ち着かせる。
「取り乱してしまい申し訳ありません」
パトリツィアは改めて立ち上がり父に会釈をした。
まずラインマイヤー公爵が先ほどまでディーデリヒも座っていたソファに着く。ついでパトリツィアと並んだディーデリヒがパトリツィアを座らせて、自身もその隣に着席した。
パトリツィアの侍女は応接室の角の椅子に控え、使用人二人が手際よく新しい茶器を準備する。今度はセカンドフラッシュのダージリンが淹れられて部屋にさわやかな香りが広がった。
「二人が良い夫婦になれそうで安心した」
「色々とお気遣いいただきありがとうございました」
公爵の心からの言葉にディーデリヒも心底から感謝を述べる。公爵の力がなければ、短期間での国交回復は不可能だった。
ディーデリヒとパトリツィアの婚約もそうだ。
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