そう言うと思ってた

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番外編 変わり者のクィール家

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カリナ・クィールは変わり者だ。ある日自分とそっくりな人間が現れて、普通なら困ったり、怖がったりするところ。彼女は「ラッキー」と口にした。

できればずっと侯爵家にいたいと思っていたのに、結婚なんてする気はなかったのに。侯爵では断れない縁談がやって来たからだ。

婚約者の顔は見ていない。カリナの目を引くようなものは何一つない。綺麗な顔をしたお人形。そんな感想しか出て来なかった。

もう一人のカリナは、公爵家に向かう道中で入れ替わるとカリナを逃がしてくれた。カリナは侯爵領でのびのびと過ごし、婚約者に関する面倒ごとは、彼女がしてくれた。

「王都に来たくなれば、いつでも変わるから。」

そう言ってくれたけれど、カリナはそんな気にはならなかった。侯爵領に彼女が現れた時、側にいた長身の男は、カリナにメロメロな様子で、見てる此方が恥ずかしくなったが、羨ましいとは全く思わなかった。

多分自分は貴族令嬢として大切な部分が壊れているのだと思う。

いっそ平民になれば、彼女の邪魔にならないかな、とも思うのに、彼女は「話し相手がいなくなるのが、嫌だからもう少し待って」と言った。

カリナはいつまで経っても彼女がわからない。

今までどうやって生きてきて、どうしてカリナになろうとしているのか、も。そして、本当の名前が何なのか、も。

「カリナの名前は何?」
「カリナよ。」
「それは私の名前でしょ?貴女の本当の名前よ。」

「わからないの?」
カリナは途方に暮れたような顔をしている。
「じゃあ、別の名前を考えてあげる。」
カリナは返事も聞かずに、彼女の名前を考え始めた。

「何がいいかな、うーんと、うーんと。」
考えた候補は全てありきたりでコレ!と言うものがない。可愛い名前と言うと、昔近所に住んでいた猫のミル、とか?

こう言う時すぐに思いつく人を尊敬する。カリナはのんびりと気長に待つと言ってくれた。結局未だに新しい名前は用意できていない。だけど、このままでいいか、とも思っている。

カリナの名前を、あの長身の男性が呼ぶ時、振り返る彼女の顔が凄く可愛くなるのを見ていると、彼女と私のどちらも、本物とか偽物とか関係なく、二人がカリナであると思えるから。

クィール家は二人のカリナにあまり驚いた様子はなかった。彼女がカリナを害そうと言う気がなかったからだが、やはり変わっている。

「カリナちゃんが二人に増えるなんてラッキーね。これで私達、寂しくならないわね。ありがとう。」

「お母様ならそう言うと思ったわ。」



おわり

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感想 11

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みんなの感想(11件)

mikan
2024.04.18 mikan

最後のどんでん返し。面白かったです❗

2024.04.18 mios

良かったです。最後まで読んでいただきありがとうございます!

解除
kokekokko
2024.04.17 kokekokko

私も最後の最後にええ??やられたー!(それは読めなかった!)と、コロンコロンに転がされた感満杯でした。カリナ、お前もか!

天晴です。完結おめでとうございます。

2024.04.17 mios

最初から終わりと話の流れは決めていて、欲を言えばもう少し簡潔にする筈が長くなりました。最後までお読み下さりありがとうございました!

解除
Nina
2024.04.17 Nina

えぇ?
似非カリナは誰?
お酒飲みながら読むんじゃなかった…明日読み直します。

2024.04.17 mios

肝心なところ曖昧にしましてすみません。同盟国出身者はどこにでもいる、みたいな感じにしたくて。お前もかい、って言う。最後までお読み下さりありがとうございます!

解除

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