10 / 45
クロエの価値
しおりを挟む
クロエは寮に用意された部屋に戻ると大きくため息をついた。予定通りとは言え、人に嫌われるのは傷つく。馬鹿な喋り方は、苦痛だ。慣れないことをすると、頭が痛くなる。
ルーカス第二王子もとい、現王太子に向かって甘えに甘えた口調だったのは、探りだ。こう言う話し方はお嫌いでしたよね?と確認する。叔母からの情報はたまに嘘が混じるので、都度確認をしなければなならない。
情報通り、彼は私を嫌いだと認めた。彼はこの一件で、私をああいうタイプの人間だと判断しただろう。
はじめから、第二王子は、範囲外だ。クロエは自分の立ち位置をわかっている。自分はいつでも切り捨て可能な捨て駒だと。
そこが、兄のダミアンとは違う。
兄は自分から捨て駒になりに行ったけれど、頭のいい兄を捨てるなんて残念なことをあの叔母がする筈はない。もしも切り捨てるなら私の方だ。
私は昔から叔母の駒として、ハニートラップ要員として存在していた。全く、虐待もいいところだ。小さい子供に、男の誑かし方なんて教えるのだから。
叔母は、私に何度も「貴女は私に似てるから、言う通りにするなら何でも望みを叶えてあげるわ。」と言い聞かせた。
まるで、私の望みを知っているかのような言葉に腹が立った。私の望むものは、叔母には絶対に用意できない、と私は知っていたから。
私に与えられた武器は見た目だけ。叔母は、女は笑って甘えていれば、男が守ってくれる、と言う。それは、あの頭の悪い猿の王様の話でしょ。あんな男ならいない方がマシよ。
私はここに、第一王子を探しにきた。第一王子を誑かし、その上で暗殺する。彼を隣国に入れてはならない。それが国王の側妃である叔母の命令。
今まで何の疑問も抱かずに、言いなりになった叔母の望み。
けれど、私はもうその命令を聞くつもりはない。
第一王子を生きたまま、隣国に連れ帰る。
それが、私を助けてくれた王妃様への恩返しだと思うから。
第一王子に近づくのに、第二王子が邪魔だったけれど、どうやら彼は見抜いていたみたいだ。どんな思惑かわからないが、彼は私の為に、第一王子を、戻してくれた。
情報によると、彼は甘え上手な女の子が好きみたい。寝て起きたらまた頭の痛くなる馬鹿な女のフリをしなくては。
私の願いを叶えるために、今苦しむのは仕方のないことだ。いつか願いが叶ったら、懐かしく思い出して、笑える日が来るはずだ。
だから、今はゆっくり眠る。裏切りを知った叔母に殺されたとしても、あの世で笑って過ごせるように、ゆっくり体を休めなければ。
ルーカス第二王子もとい、現王太子に向かって甘えに甘えた口調だったのは、探りだ。こう言う話し方はお嫌いでしたよね?と確認する。叔母からの情報はたまに嘘が混じるので、都度確認をしなければなならない。
情報通り、彼は私を嫌いだと認めた。彼はこの一件で、私をああいうタイプの人間だと判断しただろう。
はじめから、第二王子は、範囲外だ。クロエは自分の立ち位置をわかっている。自分はいつでも切り捨て可能な捨て駒だと。
そこが、兄のダミアンとは違う。
兄は自分から捨て駒になりに行ったけれど、頭のいい兄を捨てるなんて残念なことをあの叔母がする筈はない。もしも切り捨てるなら私の方だ。
私は昔から叔母の駒として、ハニートラップ要員として存在していた。全く、虐待もいいところだ。小さい子供に、男の誑かし方なんて教えるのだから。
叔母は、私に何度も「貴女は私に似てるから、言う通りにするなら何でも望みを叶えてあげるわ。」と言い聞かせた。
まるで、私の望みを知っているかのような言葉に腹が立った。私の望むものは、叔母には絶対に用意できない、と私は知っていたから。
私に与えられた武器は見た目だけ。叔母は、女は笑って甘えていれば、男が守ってくれる、と言う。それは、あの頭の悪い猿の王様の話でしょ。あんな男ならいない方がマシよ。
私はここに、第一王子を探しにきた。第一王子を誑かし、その上で暗殺する。彼を隣国に入れてはならない。それが国王の側妃である叔母の命令。
今まで何の疑問も抱かずに、言いなりになった叔母の望み。
けれど、私はもうその命令を聞くつもりはない。
第一王子を生きたまま、隣国に連れ帰る。
それが、私を助けてくれた王妃様への恩返しだと思うから。
第一王子に近づくのに、第二王子が邪魔だったけれど、どうやら彼は見抜いていたみたいだ。どんな思惑かわからないが、彼は私の為に、第一王子を、戻してくれた。
情報によると、彼は甘え上手な女の子が好きみたい。寝て起きたらまた頭の痛くなる馬鹿な女のフリをしなくては。
私の願いを叶えるために、今苦しむのは仕方のないことだ。いつか願いが叶ったら、懐かしく思い出して、笑える日が来るはずだ。
だから、今はゆっくり眠る。裏切りを知った叔母に殺されたとしても、あの世で笑って過ごせるように、ゆっくり体を休めなければ。
38
あなたにおすすめの小説
差し出された毒杯
しろねこ。
恋愛
深い森の中。
一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。
「あなたのその表情が見たかった」
毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。
王妃は少女の美しさが妬ましかった。
そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。
スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。
お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。
か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。
ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。
同名キャラで複数の作品を書いています。
立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。
ところどころリンクもしています。
※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!
ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています
木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。
少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが……
陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。
どちらからお読み頂いても話は通じます。
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
【完結】契約結婚だったはずが、冷徹公爵が私を手放してくれません!
22時完結
恋愛
公爵家の没落を救うため、冷徹と名高い公爵ヴィンセントと契約結婚を結んだリリア。愛のない関係のはずが、次第に見せる彼の素顔に心が揺れる。しかし契約の期限が近づく中、周囲の陰謀や彼の過去が二人を引き裂こうとする。契約から始まった偽りの結婚が、やがて真実の愛へと変わる――。
お母様!その方はわたくしの婚約者です
バオバブの実
恋愛
マーガレット・フリーマン侯爵夫人は齢42歳にして初めて恋をした。それはなんと一人娘ダリアの婚約者ロベルト・グリーンウッド侯爵令息
その事で平和だったフリーマン侯爵家はたいへんな騒ぎとなるが…
虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。
ラディ
恋愛
一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。
家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。
劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。
一人の男が現れる。
彼女の人生は彼の登場により一変する。
この機を逃さぬよう、彼女は。
幸せになることに、決めた。
■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です!
■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました!
■感想や御要望などお気軽にどうぞ!
■エールやいいねも励みになります!
■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。
※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。
大嫌いな従兄と結婚するぐらいなら…
みみぢあん
恋愛
子供の頃、両親を亡くしたベレニスは伯父のロンヴィル侯爵に引き取られた。 隣国の宣戦布告で戦争が始まり、伯父の頼みでベレニスは病弱な従妹のかわりに、側妃候補とは名ばかりの人質として、後宮へ入ることになった。 戦争が終わりベレニスが人質生活から解放されたら、伯父は後継者の従兄ジャコブと結婚させると約束する。 だがベレニスはジャコブが大嫌いなうえ、密かに思いを寄せる騎士フェルナンがいた。
【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!
雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。
しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。
婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。
ーーーーーーーーー
2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました!
なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる