王子は真実の愛に目覚めたそうです

mios

文字の大きさ
14 / 45

違和感①

しおりを挟む
「いや、失礼しました。確信はありませんでした。手の内を晒すと、全て憶測です。」

私は申し訳なく、思った。カマをかけたことを謝る。

「いつからお気づきでしたか。」
一瞬、ダミアンが泣きそうな顔になる。

「最初に来られた時ですかね。何故だか違和感があったのですよ。王女に本来ついていた護衛が別の人に付いていたように見えたので。あれは、デーツ公爵令嬢を守るため、でしょう?」

本来一番に守られて然るべき王女と同じくらい守られていた侍女に違和感を感じたのは偶々だった。

「彼女は今回王女の侍女として、隣国を脱出しました。」

公爵令嬢が身分を偽って、隣国へ出奔したと言う事実。

「王女も亡命の供に侍女を指名しましたしね。あれは本来なら王女ではなく、侍女に扮した公爵令嬢を逃す為でしょうか。」

「……それも憶測でしょうか?」

「ええ、憶測ついでに、彼女が命を狙われている理由も何となくわかります。」

額に手を当てて、何かを考えている彼は、私に向き直り、訴えた。

「再度、貴方に謝らなくてはなりません。」

「騙して協力させようとしたことにですか?」

笑いかけると、ダミアンは脱力し、顔を手で覆った。

「彼女は、デーツ公爵令嬢は、第一王子の婚約者ですが、二人にはどうしても結婚できない理由があるのです。」

「第一王子が平民の女に骨抜きになっていると言うのは嘘ですか?」

「噂はあります。証言や証拠もあります。だが、嘘です。第一王子は、ソフィア様のことを、大切にされています。」


「……第一王子は、ソフィア嬢を逃したのですね。」

「ええ、命より大切な人だから、と。」




ダミアンの話は、概ね憶測通りだった。

ダミアンとクロエの叔母は、側妃となり第一王子を産んだが、第一王子の父親は、国王陛下ではない。

ソフィアの父親と、第一王子の父親は同じで、二人は異母兄妹になる。


「第一王子は、自分が陛下の血を継いでいないと知っているのですか?」

「全てご存知です。ですから、自分が問題を起こし、第二王子に王位を譲りたいと考えておいでです。」

聞いて、納得した。隣国のあのわちゃわちゃ感は、色々な人が策略を、一度に引き起こした結果だということが。

それに、あちらの第一王子は、案外まともな人らしい。うちのとは大違いだ。

「ソフィア様の命を狙うのは口封じですか?」

「ええ、多分。あとは……嫉妬も幾分あるのかもしれません。」

そう言われてしっくり来た。自分が喉から手が出るほど欲しいものを、簡単に手にしている存在が憎い、と言う感情には覚えがあるから。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています

木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。 少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが…… 陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。 どちらからお読み頂いても話は通じます。

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

【完結】契約結婚だったはずが、冷徹公爵が私を手放してくれません!

22時完結
恋愛
公爵家の没落を救うため、冷徹と名高い公爵ヴィンセントと契約結婚を結んだリリア。愛のない関係のはずが、次第に見せる彼の素顔に心が揺れる。しかし契約の期限が近づく中、周囲の陰謀や彼の過去が二人を引き裂こうとする。契約から始まった偽りの結婚が、やがて真実の愛へと変わる――。

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

大嫌いな従兄と結婚するぐらいなら…

みみぢあん
恋愛
子供の頃、両親を亡くしたベレニスは伯父のロンヴィル侯爵に引き取られた。 隣国の宣戦布告で戦争が始まり、伯父の頼みでベレニスは病弱な従妹のかわりに、側妃候補とは名ばかりの人質として、後宮へ入ることになった。 戦争が終わりベレニスが人質生活から解放されたら、伯父は後継者の従兄ジャコブと結婚させると約束する。 だがベレニスはジャコブが大嫌いなうえ、密かに思いを寄せる騎士フェルナンがいた。   

お母様!その方はわたくしの婚約者です

バオバブの実
恋愛
マーガレット・フリーマン侯爵夫人は齢42歳にして初めて恋をした。それはなんと一人娘ダリアの婚約者ロベルト・グリーンウッド侯爵令息 その事で平和だったフリーマン侯爵家はたいへんな騒ぎとなるが…

【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!

雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。 しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。 婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。 ーーーーーーーーー 2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました! なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!

処理中です...