王子は真実の愛に目覚めたそうです

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ダミアンの意思

「学園で何か気になることでも?」

王女から聞いた話では、彼は王女に反対する勢力の筈。失言をしないよう、気をつけることにして、とりあえず話を聞くことにする。

「いいえ、学園生活は何不自由なく、過ごさせて貰っています。」

考えを纏めるためだろうか。少し言葉が途切れるが、少しずつ自分の言葉で説明してくれるらしい。

「あのー、失礼ですが、隣国の不名誉な噂は届いていますか?」

「どのことを仰っているかは、分かりかねますがいくつか届いてはいます。」

自嘲気味に笑うこの男にはどう言う顔が隠されているのかわからない。わからないから用心にこしたことはない。

「王女は、命を狙われています。狙っているのは、私の後ろ盾の国王陛下の側妃の実家の侯爵家です。実際、私にも、王女の暗殺の命令が下っています。」

「貴方に婚約者を殺せと?」

「はい。けれど、私はそうしたくない。出来れば逃げ延びてもらいたい。だから、こちらの国で保護していただきたいのです。」

「貴方の身柄はどうなるのでしょう?」

「私はただの駒です。いらなくなったら捨てられるだけのこと。こちらのことは、気にしないで下さい。」

「貴方のことは、王女の敵だと聞いていたのですが。」

「はい。合っています。敵ですよ。」

先ほどとは打って変わって、ニコニコしながら、こちらを見ている。

「私を信用できないと思われていることは重々承知しています。けれど私達にはこれしか方法がありません。私もクロエも、王妃様に恩があり、お返しするためには、必要なことなのです。」

ため息をつくと、申し訳なさそうに、笑う。
今の彼が素か。いや、信じていいのか?

更にため息が出るのを、必死で堪え、質問をする。

「王女をお守りして、その後はどうされます?」

「その後は、王女の思うままに。生きてさえいてくれたら。それが、王妃様の願いです。加えて、これは貴方にお聞きしていいのかはわかりかねるのですが、聞いても?」

頷くと、やはりそれは兄ウィルヘルムの話だ。

「彼の身柄を隣国に持って帰りたいのですが。彼は王子ではない、平民だから、良いですよね?だめでしたか。」

「平民だから、ではないが、良いですよ。思う存分こきつかって頂いて大丈夫です。愚者のフリが上手すぎるので、餌でも何でも役目は果たせると思います。」

あからさまにホッとした顔を見せるダミアンに、探りを入れてみることにする。

「あと、これも、そちらに言っていいかはわからないのですが。」

「何でしょうか。」

「ソフィア・デーツ公爵令嬢の身柄はどうしますか?」

さっきまでニコニコしていたダミアンの顔が固まる。

「ご存知でしたか。」

忌々しくこちらを睨みつけ、大きくため息をつくと、ダミアンは謝罪した。
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