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違和感②
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「ジャンヌ、とても似合っている。天使みたいだ。」
慣れない褒め言葉に、どんどん顔が赤くなるのがわかる。第一王子の婚約者として、公爵令嬢として、出来て当たり前の人生だった。辛いことや悲しいこともあったのに、全く思い出せない。
婚約者が第一王子のウィルヘルムから第ニ王子のルーカスに変わってから、人生が一変した。ウィルヘルムとルーカスは、最初は仲の悪い兄弟ではなかったが、いつからか取り返しのつかない程に仲が悪くなっていた。
ウィルヘルムは私を形だけの婚約者として、好きになることはなかった。それは彼だけを責められない。私も同じだったから。お互いに歩み寄らない関係は一人の女性に寄って、完膚なきまでに破壊される。
私はルーカスにたくさんの恩がある。一つは、彼ならば、他にも婚約者としてふさわしい令嬢がいくらでもいたのに、私を拾ってくれたこと。それについては、彼に言うと、不機嫌になってしまうから、あまり言えない。
不機嫌なまま、甘く囁かれて、罰ゲームのような甘々な時間に突入してしまうからだ。側に誰がいようとも、人目も気にせず、スイッチが入るから、私が我慢できない。恥ずかしさで死にそうになる。
そして、さらに一つ。これは当たり前なのかもしれないけれど、私が彼を必要以上にフォローしなくても良いということ。
これは、ウィルヘルムの尻拭いばかりして疲れ切っていた生活を送っていたのに、ルーカスに変わった途端、負担が減ったことによる。
寧ろ、私の負担を減らすため、奔走してくれていて、ありがたい。
至れり尽くせりで、私はすっかり甘えてしまった。私は彼にどのような恩返しができるのだろう。
彼を幸せにしたい。それはこれから継続して叶え続けたい目標でもある。お互いに支え合って生きることができたら、私の罪悪感も薄まることだろう。
王女のお茶会には、ルーカスと、私しかメンバーがいなかった。王女の後ろから見慣れない美女が顔を出す。
質素な格好をしているが、綺麗なご令嬢だ。
案の定、隣国の公爵令嬢として、ご挨拶された。
話には聞いていたが、百聞は一見にしかず、と言う言葉があるが、それは今のようなことを言うのだと知った。
私はどこか頭の中で、思い込んでいた。
婚約者に裏切られ、理不尽な恨みから狙われて、命からがら逃げて来たご令嬢。少し自分と似ているとさえ思っていた。
ソフィア・デーツ公爵令嬢は、確かに気の毒な目にあい、それを健気に耐えているご令嬢だった。
けれど、どこかに違和感を覚える。ルーカスを見上げると、優しい目をして微笑んでくれるが、徐々に目が据わっていく。
彼女は美しいカーテシーをして、こちらに挨拶をする。どこもおかしなところはない。公爵令嬢として恥ずかしい振る舞いはしていない。
彼女は、ルーカスを見るなり、とても嬉しそうに駆け寄った。感謝を伝えて、にこやかに話している。
彼の側に私がいるのに、一切目線を合わせない。
私は改めて彼女に挨拶すると、彼女からは穏やかに挨拶を返される。
その後、和やかに時間は過ぎていく。
腰に回したルーカスの腕に力が入る。耳元で囁かれて腰が砕けそうになるが、必死で耐えた。
「絶対に私から離れないで。」
本気の声色にハッとする。やはり、ルーカスも同じように違和感を覚えている。
私はしっかりと頷き、彼に体を寄せた。
慣れない褒め言葉に、どんどん顔が赤くなるのがわかる。第一王子の婚約者として、公爵令嬢として、出来て当たり前の人生だった。辛いことや悲しいこともあったのに、全く思い出せない。
婚約者が第一王子のウィルヘルムから第ニ王子のルーカスに変わってから、人生が一変した。ウィルヘルムとルーカスは、最初は仲の悪い兄弟ではなかったが、いつからか取り返しのつかない程に仲が悪くなっていた。
ウィルヘルムは私を形だけの婚約者として、好きになることはなかった。それは彼だけを責められない。私も同じだったから。お互いに歩み寄らない関係は一人の女性に寄って、完膚なきまでに破壊される。
私はルーカスにたくさんの恩がある。一つは、彼ならば、他にも婚約者としてふさわしい令嬢がいくらでもいたのに、私を拾ってくれたこと。それについては、彼に言うと、不機嫌になってしまうから、あまり言えない。
不機嫌なまま、甘く囁かれて、罰ゲームのような甘々な時間に突入してしまうからだ。側に誰がいようとも、人目も気にせず、スイッチが入るから、私が我慢できない。恥ずかしさで死にそうになる。
そして、さらに一つ。これは当たり前なのかもしれないけれど、私が彼を必要以上にフォローしなくても良いということ。
これは、ウィルヘルムの尻拭いばかりして疲れ切っていた生活を送っていたのに、ルーカスに変わった途端、負担が減ったことによる。
寧ろ、私の負担を減らすため、奔走してくれていて、ありがたい。
至れり尽くせりで、私はすっかり甘えてしまった。私は彼にどのような恩返しができるのだろう。
彼を幸せにしたい。それはこれから継続して叶え続けたい目標でもある。お互いに支え合って生きることができたら、私の罪悪感も薄まることだろう。
王女のお茶会には、ルーカスと、私しかメンバーがいなかった。王女の後ろから見慣れない美女が顔を出す。
質素な格好をしているが、綺麗なご令嬢だ。
案の定、隣国の公爵令嬢として、ご挨拶された。
話には聞いていたが、百聞は一見にしかず、と言う言葉があるが、それは今のようなことを言うのだと知った。
私はどこか頭の中で、思い込んでいた。
婚約者に裏切られ、理不尽な恨みから狙われて、命からがら逃げて来たご令嬢。少し自分と似ているとさえ思っていた。
ソフィア・デーツ公爵令嬢は、確かに気の毒な目にあい、それを健気に耐えているご令嬢だった。
けれど、どこかに違和感を覚える。ルーカスを見上げると、優しい目をして微笑んでくれるが、徐々に目が据わっていく。
彼女は美しいカーテシーをして、こちらに挨拶をする。どこもおかしなところはない。公爵令嬢として恥ずかしい振る舞いはしていない。
彼女は、ルーカスを見るなり、とても嬉しそうに駆け寄った。感謝を伝えて、にこやかに話している。
彼の側に私がいるのに、一切目線を合わせない。
私は改めて彼女に挨拶すると、彼女からは穏やかに挨拶を返される。
その後、和やかに時間は過ぎていく。
腰に回したルーカスの腕に力が入る。耳元で囁かれて腰が砕けそうになるが、必死で耐えた。
「絶対に私から離れないで。」
本気の声色にハッとする。やはり、ルーカスも同じように違和感を覚えている。
私はしっかりと頷き、彼に体を寄せた。
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