こんな小物で本当に良いのですか?

mios

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こんな小物の婚約者

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聖女様はお勉強が嫌いだ。教育係が虐める、と泣きついて、勉強を回避した。私達が虐める、と泣きついて男性達に庇護された。自尊心ばかり高い小物の男性ばかりを籠絡して、それの何が楽しいの?

ちゃんと勉強すれば、我が国と帝国が歩んできた歴史がわかる。平和で豊かな我が国と戦争ばかりの帝国と、どちらが大国でどちらに住む民の満足度が高いか、など。

聖女様は男好きだ。見目の良い男ならば性格は二の次で良いらしい。婚約者ミカエルの周りにいるのはそんな小物ばかり。勿論、ミカエルは別だけど。

聖女様は馬鹿にしていた女である侯爵令嬢の言うことを信じて、帝国に乗り込んだ。皇太子に魅了魔法を掛けようとして、捕まり、処刑された。

帝国の皇太子は、女嫌いなのよね。唯一近くにいれるのは、幼馴染の婚約者カトリーヌ様だけ。

彼は気の強い、守ってくれる女性が好きなの。理由は守ってほしいから。

きっと今頃、彼らはこれみよがしに愛を確かめ合ったりしてるのでしょうけど。


ミカエルの笑顔に憂いがなくなってホッとする。聖女様の香水は頭が痛くなるような甘ったるい香りだったから、いつも会うたびに顔色が悪かった。

ミカエルのことは信じているけれど、正直腹が立っていたのは事実。彼の側近や護衛が今更になって、許しを乞おうとしているけれどミカエルはさておき私は決して許さない。

第一王子以上に大切なものは彼らにはないはずよ。そんなことに今まで気が付かなかったなんて、そんな怠慢があって良いはずはない。

聖魔法は百年ぶり、と言われていたけど、事実は少し違う。自らを聖女だと宣言したのが百年ぶりと言うだけだ。

聖魔法は、前の所持者が亡くなれば別の者に移るものだ。

聖女様であったアリーヤ嬢が処刑されたのか、次の所持者に選ばれたのは、レイラだった。だけど、レイラはそれを公言しない。

だって、宣言したところで煩わしいことが増えるだけだもの。

国民達は聖女がいなくなって残念、と言うよりはあの我儘女のご機嫌取りをしなくてホッとしているし、あの人、どれだけ嫌われていたのよ。

もし、またレイラが聖女だと名乗り出ると面倒なことになるのが目に見えている。

聖女様は小物を手放した。ならば、その小物を拾っても文句は言われないだろう。

教えてほしい、とは言われたが、いまだに本当のことは言えない。婚約者を小物扱いした酷い女をミカエルはきっと許してくれるだろうけど。

……だって、絶対に奪われたくなかったのですもの。


終わり
読んでいただきありがとうございました。       mios
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