逆ハーENDは封じられました

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本編

兄の想い

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歳の離れた妹が、春を迎えた。最近お近づきになった侯爵家二男の騎士団員だ。お父上は騎士団長で侯爵家当主。あっけらかんとした脳筋ぽい男で正直あまり好きなタイプではなかったが、妹がどうやら相当惚れ込んでいるらしい。未来の義弟になるのなら、今からでも仲良くしておいて損はないはずだ。

妹はある時期まで、非常に大人しく、意思表示も最低限しかしない淑女だった。マナーも勉強もみっちりこなし、どこにでても恥ずかしくないと言われていた。

その妹がある日突然、「よっしゃあああ!」と、変なポーズと共に叫び声をあげた。目が点になると言う現象はこういうことだ。

家族は慌てた。父の取り乱しようといったら酷かった。そばで見ていて痛々しいほどに。

妹の再教育を必死に行った結果、春を掴んだというのなら、大変喜ばしいことだ。

妹は淑女然としていたが、見ているこちらが恥ずかしくなるほど、惚れ込んでいる様子で、相手も愛おしくて堪らないと言った様子が、微笑ましいと同時に羨ましく思える。

貴族の婚姻といえば、まだまだ政略結婚が多い。その中で、良いご縁があって、大好きな相手に嫁げるのだから、絶対に何があっても、彼を離すんじゃないぞ、と心の中で応援する。

婚約者となったその日に、彼から妹宛にたくさんの贈り物が届いた。

「何が良いかわからなかったから。」

彼は、そう言ったらしい。いや、限度があるだろ!

妹はやんわりと断ったらしい。強く言うと落ち込んでしまうから、と。

面倒くさいな、何か。


男爵家と言っても、名門の令嬢だから、そんなに早く相手を決めなくても良いんだぞ?

今更ながら、兄として、妹に言い聞かせればよかった。しち面倒くさい男を一本釣りしなくても、アリシアなら、どうにでもなっただろうに。

アリシアの身につけているブレスレットに見覚えがある。あれは、呪いのブレスレットではないだろうか。

妹は嬉しそうに、彼に貰ったと、教えてくれた。冷や汗をかいたのは、彼が私の目をじっと見たからだ。それ以上言うなよ、と無言の圧力がかかる。

はい、言いません。と言うか、怖くて言えません。どちらかと言うと、彼が怖いのではなく、同じく気づいてそうな両親の無言の圧が凄いからだ。

皆、これが良い縁談だと知っているから水を差すようなことはしない方が良いよな。

でも、アリシアに対して少しどころかかなり罪悪感を感じてしまう。

アリシア、兄は意気地がないが、お前を愛しているよ。本当に本当だ。だから許してくれ。権力に抗えない無力な兄を許してほしい。
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