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バレた
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離れと温室の改装は恙無く終わった。離れを鳥達のための部屋に、と考えていたのだが南国の鳥だから温室の方が良いのかもしれないと新たに温室を作ってみた。狭くても木の植わっているところで飛び回る方がストレスがないように思えた。
結婚式にも使えるようにも改装した。元々ガーデンパーティーをしたいと思っていたから、ミスティアが楽しく話が出来て、笑い声を思いっきり出せる場所として、温室を選んだ。
温室は園芸の好きな母に頼んで整えてもらった。南国の雰囲気溢れる、彼らの家だ。
パーティーは盛況だった。ミスティアが笑い声をあげることはなかったが、リラックスしてお喋りを楽しんでいた。
結婚式自体は、ミスティアの花嫁姿が綺麗すぎて、本人より自分が狼狽えてしまった。リーゼ嬢から呆れた視線が飛んできて、何故だがひたすら謝っていた。
それでも、本来は来る筈もなかった王太子殿下がちゃっかり参列していたり、それによって警備が強化されたり、中々混乱したまま、あっという間に終わってしまった。
ミスティアを始めて見た親戚一同は言葉を失っていた。
わかるわかる。
ミスティアは、人前に出ることは社交で慣れている様子だったが、身構えなくても良い場に慣れていないみたいだった。
「タイロン家は皆様顔が似ていますね。」
「そうかな?」
「皆様、スタンのように温かなお人柄が滲み出ています。」
「ミスティアも、そのうち似てくるよ。」
初対面では氷の女神の名の通り、感情が読みにくかった彼女も無表情でもだんだんと意思を読み取れるようになってきた。いや、気の所為か?
「私は感情を出すのがとても苦手です。いまでもうまく笑えません。リーゼのように愛らしい笑い方ができたら良かったのですが。」
「え?でも、笑えてたよ?あのリーゼ嬢のパーティの時。」
「え?」
「え?」
……しまった。あの場に居合わせたことはミスティアには内緒だった。
あの時の話については、何故かリーゼ嬢は知っていて、私が隠れて様子を見ていたのも知られていた。
そこでもひたすら謝っていたのだが、ミスティアには言わないで貰えたようだ。
「あ、あのミスティア」
「……ご存じでしたのね。私の笑い声……」
「……うん。女神様達が楽しくおしゃべりしているのかと思った。私はミスティアの笑い声を聞いて、より好きになったんだ。」
「私の笑い声は悪魔みたいだ、と言われていました。気味が悪い。笑うな。と。」
「リーゼ嬢から聞いたよ。王太子殿下は言葉が足りない、とね。彼が言いたかったことは、多分ミスティアが可愛すぎたから、自分以外の者にその笑顔を見せないでくれ、と言う意味だと思う。悪魔だと称したのは子供特有の好きな子に意地悪したい、アレだ。気にしなくてよかったんだよ。」
ミスティアは潤んだ瞳でこちらを見上げている。
結婚したから、何も考えずにひたすらひっついているけれど、これが嫌で泣いてるってことはないよね?
「些細な行き違いだよ。」
って言うか、初夜に別の男の話しなくても良いか。
「私、あれだけ悩んでいたのに、馬鹿みたいですわね。」
「でも彼のおかげでミスティアに会えたからそれだけは感謝しているよ。」
ミスティアは淑女教育の間に何とか笑い声を抑える訓練をしたようだ。けれど、何度やっても無理だった。なら、笑わなければ良いと、考えた結果「氷の女神」と呼ばれるようになったと言う。
「出来れば私には何も隠さず見せて欲しいんだ。それもミスティアの魅力だからね。私は見ての通り、勘が鋭い方ではないから、騙そうと思えば最後まで多分気づかない。でも、ミスティアのことなら全て知りたいんだ。勿論、強制ではないから、誤解しないでね。」
ミスティアは少し困惑した表情を浮かべながら、小さく頷いた。
「できるかわかりませんが、やってみます。」
……ああ、可愛い。
その後、堪え切れずにミスティアに覆いかぶさった後は夢中で、何も覚えていない。
ただミスティアはずっと可愛かった。
結婚式にも使えるようにも改装した。元々ガーデンパーティーをしたいと思っていたから、ミスティアが楽しく話が出来て、笑い声を思いっきり出せる場所として、温室を選んだ。
温室は園芸の好きな母に頼んで整えてもらった。南国の雰囲気溢れる、彼らの家だ。
パーティーは盛況だった。ミスティアが笑い声をあげることはなかったが、リラックスしてお喋りを楽しんでいた。
結婚式自体は、ミスティアの花嫁姿が綺麗すぎて、本人より自分が狼狽えてしまった。リーゼ嬢から呆れた視線が飛んできて、何故だがひたすら謝っていた。
それでも、本来は来る筈もなかった王太子殿下がちゃっかり参列していたり、それによって警備が強化されたり、中々混乱したまま、あっという間に終わってしまった。
ミスティアを始めて見た親戚一同は言葉を失っていた。
わかるわかる。
ミスティアは、人前に出ることは社交で慣れている様子だったが、身構えなくても良い場に慣れていないみたいだった。
「タイロン家は皆様顔が似ていますね。」
「そうかな?」
「皆様、スタンのように温かなお人柄が滲み出ています。」
「ミスティアも、そのうち似てくるよ。」
初対面では氷の女神の名の通り、感情が読みにくかった彼女も無表情でもだんだんと意思を読み取れるようになってきた。いや、気の所為か?
「私は感情を出すのがとても苦手です。いまでもうまく笑えません。リーゼのように愛らしい笑い方ができたら良かったのですが。」
「え?でも、笑えてたよ?あのリーゼ嬢のパーティの時。」
「え?」
「え?」
……しまった。あの場に居合わせたことはミスティアには内緒だった。
あの時の話については、何故かリーゼ嬢は知っていて、私が隠れて様子を見ていたのも知られていた。
そこでもひたすら謝っていたのだが、ミスティアには言わないで貰えたようだ。
「あ、あのミスティア」
「……ご存じでしたのね。私の笑い声……」
「……うん。女神様達が楽しくおしゃべりしているのかと思った。私はミスティアの笑い声を聞いて、より好きになったんだ。」
「私の笑い声は悪魔みたいだ、と言われていました。気味が悪い。笑うな。と。」
「リーゼ嬢から聞いたよ。王太子殿下は言葉が足りない、とね。彼が言いたかったことは、多分ミスティアが可愛すぎたから、自分以外の者にその笑顔を見せないでくれ、と言う意味だと思う。悪魔だと称したのは子供特有の好きな子に意地悪したい、アレだ。気にしなくてよかったんだよ。」
ミスティアは潤んだ瞳でこちらを見上げている。
結婚したから、何も考えずにひたすらひっついているけれど、これが嫌で泣いてるってことはないよね?
「些細な行き違いだよ。」
って言うか、初夜に別の男の話しなくても良いか。
「私、あれだけ悩んでいたのに、馬鹿みたいですわね。」
「でも彼のおかげでミスティアに会えたからそれだけは感謝しているよ。」
ミスティアは淑女教育の間に何とか笑い声を抑える訓練をしたようだ。けれど、何度やっても無理だった。なら、笑わなければ良いと、考えた結果「氷の女神」と呼ばれるようになったと言う。
「出来れば私には何も隠さず見せて欲しいんだ。それもミスティアの魅力だからね。私は見ての通り、勘が鋭い方ではないから、騙そうと思えば最後まで多分気づかない。でも、ミスティアのことなら全て知りたいんだ。勿論、強制ではないから、誤解しないでね。」
ミスティアは少し困惑した表情を浮かべながら、小さく頷いた。
「できるかわかりませんが、やってみます。」
……ああ、可愛い。
その後、堪え切れずにミスティアに覆いかぶさった後は夢中で、何も覚えていない。
ただミスティアはずっと可愛かった。
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