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魅了魔法は出来損ない
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「さすがにお困りのようでしたわね。」リーゼ様がおかしそうに笑います。悪い顔を浮かべる天使様は、やはり美しく素敵です。
「公爵家に借金をして中々返さないなんて、私なら恥ずかしくて歩けないわ。」
「本来でしたら伯爵家に対しても、同じだと思うのですが。あの方、男爵家でしょう。」
氷姫の笑顔は凍るほど、冷たいものです。
エリー様は、この前のお茶会でも思いましたが相当お怒りのご様子です。理由が他にあるように思えます。
清々した様子ですもの。
理由は尋ねる気はなかったのですが、視線に気づき、話して下さいました。
「あの方、ダニエル様だけではなくてよ。色々な方に言い寄っているのです。大人しそうな顔をして。私の婚約者にも、ですわ。」
氷姫、エリー様の婚約者は、ジェット侯爵家のヴィクトール様ですよね。ほとんどの魔道具を生み出していると言う。あんな大物に言い寄るなんて世間知らずの域を超えていますわ。
「恐ろしい…」
「普通はそうよね。あの方、どうやら何か仕掛けがあるみたいなの。でも、ヴィクトール様には効かなくて、というより魔道具を買える財のある方には効かないのよ。」
「まさか。」
「そのまさかよ。あの女狐は魅了魔法を使うのよ。とんでもなく、薄い効果のね。」
確かに彼女の味方になっている男達は全て下位貴族。お金も大して自由に扱えない。魅了魔法の意味ありますか、それ。
どうせなら金持ちを誑し込めば良いと思ってたけど、それが不可能だったなんて、驚きです。
ゲームの中では高位貴族も誑し込めていたのに、やはりこの世界は現実なのね。少しホッとしたわ。
前世の推しのカトリーヌちゃんと今のカトリーヌ嬢の性格が違う時点で気づけば良かったわ。そしたら、こんな回り道をしなくて済んだのに。高い授業料と思うことにしましょう。まあ、ユリアーナ様のおかげで既に回収はできたのだけど。
「魅了魔法は、禁術ではないのかしら。」
「効果が高ければ、そうだけど。あの程度なら自衛できない方が責められるわ。」
リーゼ様の言葉に、頷く。
やはりカート子爵家は、自業自得ね。
ダニエルは未だに理解していないようだけど、あのままだったとしても伯爵家を継ぐのは私で、ダニエルはただの配偶者なんだけどな。絶対勘違いしていたと思うのよ。
無事婚約解消してからは、エトワール様の件をお父様に相談した。驚くかと思ったのに、何故かご存知だった。
話はもう届いていて、私がどう思っているか知りたいみたいだった。
「伯爵家の後継のことを気にせずに考えてご覧?」
お父様は優しいお顔で、私に話をされた。エトワール様が好きなら、良いと言う返事を貰えたように思う。後継のこと抜きにしても、身分はやはり考えてしまう。
伯爵位以上なら、王族に嫁ぐことは可能だと、昔誰かに聞いたのだけれど、それがまさか自分の身に降りかかるなど考えても見なかった。
「サラ、これを見たことはあるか?」
お父様は伯爵家に伝わる家宝とも言うべき指輪を私に見せた。
「はい。勿論です。」
キラキラした指輪の輝きが少し強いように思う。
「こちらは、偽物ですよね?」
お父様は、微笑み、頷いた。
「やはり、サラはいい眼を持っているな。」
「これが何か?」
「いいかい、サラ。今後これを持っていると、サラ自身に取引を仕掛けてくる相手が出てきたら私に言いなさい。それは偽物で、ダニエルに盗まれた後、おそらく男爵令嬢によって売られたものだ。本物は私が持っているが、ダニエルはそれを知らない。取引を仕掛けてくるとしたら、それはダニエルの味方ではないが、私達の味方でもない、と言うことだ。だから、そう言って近づく者がいたら、真っ先に私に言いなさい。」
お父様は険しい顔をしたと思ったら、いつもの優しい顔に戻る。
「何もなければ良いのだが、最近は身の程を知らない奴が多すぎる。サラは、私が守るからな。安心していなさい。」
「はい、お父様。」
ダニエルが盗んだ偽物の指輪……信じられないわ。ダニエルってロクなことしないわね。泥棒までするわけ?
エトワール様のことを考えると悩みはつきないけれど、ダニエルなんかと結婚しなくて済むと思うと、喜びで胸がいっぱいになる。
ある意味、カトリーヌのおかげね。感謝するわ。
「公爵家に借金をして中々返さないなんて、私なら恥ずかしくて歩けないわ。」
「本来でしたら伯爵家に対しても、同じだと思うのですが。あの方、男爵家でしょう。」
氷姫の笑顔は凍るほど、冷たいものです。
エリー様は、この前のお茶会でも思いましたが相当お怒りのご様子です。理由が他にあるように思えます。
清々した様子ですもの。
理由は尋ねる気はなかったのですが、視線に気づき、話して下さいました。
「あの方、ダニエル様だけではなくてよ。色々な方に言い寄っているのです。大人しそうな顔をして。私の婚約者にも、ですわ。」
氷姫、エリー様の婚約者は、ジェット侯爵家のヴィクトール様ですよね。ほとんどの魔道具を生み出していると言う。あんな大物に言い寄るなんて世間知らずの域を超えていますわ。
「恐ろしい…」
「普通はそうよね。あの方、どうやら何か仕掛けがあるみたいなの。でも、ヴィクトール様には効かなくて、というより魔道具を買える財のある方には効かないのよ。」
「まさか。」
「そのまさかよ。あの女狐は魅了魔法を使うのよ。とんでもなく、薄い効果のね。」
確かに彼女の味方になっている男達は全て下位貴族。お金も大して自由に扱えない。魅了魔法の意味ありますか、それ。
どうせなら金持ちを誑し込めば良いと思ってたけど、それが不可能だったなんて、驚きです。
ゲームの中では高位貴族も誑し込めていたのに、やはりこの世界は現実なのね。少しホッとしたわ。
前世の推しのカトリーヌちゃんと今のカトリーヌ嬢の性格が違う時点で気づけば良かったわ。そしたら、こんな回り道をしなくて済んだのに。高い授業料と思うことにしましょう。まあ、ユリアーナ様のおかげで既に回収はできたのだけど。
「魅了魔法は、禁術ではないのかしら。」
「効果が高ければ、そうだけど。あの程度なら自衛できない方が責められるわ。」
リーゼ様の言葉に、頷く。
やはりカート子爵家は、自業自得ね。
ダニエルは未だに理解していないようだけど、あのままだったとしても伯爵家を継ぐのは私で、ダニエルはただの配偶者なんだけどな。絶対勘違いしていたと思うのよ。
無事婚約解消してからは、エトワール様の件をお父様に相談した。驚くかと思ったのに、何故かご存知だった。
話はもう届いていて、私がどう思っているか知りたいみたいだった。
「伯爵家の後継のことを気にせずに考えてご覧?」
お父様は優しいお顔で、私に話をされた。エトワール様が好きなら、良いと言う返事を貰えたように思う。後継のこと抜きにしても、身分はやはり考えてしまう。
伯爵位以上なら、王族に嫁ぐことは可能だと、昔誰かに聞いたのだけれど、それがまさか自分の身に降りかかるなど考えても見なかった。
「サラ、これを見たことはあるか?」
お父様は伯爵家に伝わる家宝とも言うべき指輪を私に見せた。
「はい。勿論です。」
キラキラした指輪の輝きが少し強いように思う。
「こちらは、偽物ですよね?」
お父様は、微笑み、頷いた。
「やはり、サラはいい眼を持っているな。」
「これが何か?」
「いいかい、サラ。今後これを持っていると、サラ自身に取引を仕掛けてくる相手が出てきたら私に言いなさい。それは偽物で、ダニエルに盗まれた後、おそらく男爵令嬢によって売られたものだ。本物は私が持っているが、ダニエルはそれを知らない。取引を仕掛けてくるとしたら、それはダニエルの味方ではないが、私達の味方でもない、と言うことだ。だから、そう言って近づく者がいたら、真っ先に私に言いなさい。」
お父様は険しい顔をしたと思ったら、いつもの優しい顔に戻る。
「何もなければ良いのだが、最近は身の程を知らない奴が多すぎる。サラは、私が守るからな。安心していなさい。」
「はい、お父様。」
ダニエルが盗んだ偽物の指輪……信じられないわ。ダニエルってロクなことしないわね。泥棒までするわけ?
エトワール様のことを考えると悩みはつきないけれど、ダニエルなんかと結婚しなくて済むと思うと、喜びで胸がいっぱいになる。
ある意味、カトリーヌのおかげね。感謝するわ。
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