8 / 13
思ってたのと違う
しおりを挟む
「だって、ずるいじゃない。苦労もせず、生まれた所が恵まれてるだけで、ルーカスだって、第三王子だって。マーガレット、マーガレット。私とは似ても似つかないって言うくせに、私を呼ぶだけ呼んで、あんたの昔話聞かされるとか、何の罰ゲームよ。あんたに会いに行きたいくせに、私で我慢してるのよ。何でも叶えられるはずの王族のくせに、何も持たないで、我慢して。何で、あの人が我慢ばかりしてるのに、あんた達はそんなに、幸せでいられるの?自分達のことしか考えないでいられるの?何であの人は、自分の幸せを諦めなきゃいけなかったの?」
あら?何だか思ってたのと違うわね。
貴女、良い方だったの?
私は何を聞かされているのかしら。
旦那様も無の表情をされているわね。
ん?これは何の話だったかしら。
この方、第三王子が好きなのに、相手をされなくて悲しいではなくて、第三王子が幸せになれないのが、悲しいって言ってるのよね。
あら、やっぱり良い方じゃない。
それで、私を恨むのはよくわからないけれど。
「あの、それでしたら、貴女が幸せにして差し上げたら?」
「だから、私には無理だって言ってるじゃない。マーガレットって言う名前は、あの人には何の役にも立たないし、寧ろ苦しめるだけだもの。」
はらはらと涙が次々に出てくるわ。なーんだ。この方、ちっとも悪い方じゃないじゃない。悪者を言い負かしたかったのに。
彼女に近づくのを、旦那様は戸惑いながらも止めたりはされなかった。
かわりにため息をついて、ぶつぶつと何かを呟いていた。
私は、彼女にハンカチを渡し、背中を撫でると、涙が更に溢れてきた。止めようとしたのに、更に泣くなんて。やっぱり嫌がらせなのかしら。
旦那様も近づいてきたわ。
「こんな筈ではなかったけれど、まあ、いいか。」そう言って顔を上げた。
「出て来難くなりましたが、どうぞ。」
「まあ、そう言うな。」
長身の人懐こい笑顔を宿した方がいらっしゃった。ああ、この方が。
私はご挨拶をして、まだ泣いているマーガレット様に目を向ける。
彼は、少し傷ついた様な瞳を、彼女に向けて跪いた。
「帰ろう。マーガレット。」
まさか愛妾を連れ戻すために、第三王子が来られるなんて、皆不思議そうな顔をしているわ。
私も同じ気持ち。第三王子を見たら、何か思うことがあるのかしら、とか思ったけれど、そうはならなかった。
拍子抜けだわ。
マーガレット様はヨロヨロと立ち上がった。第三王子の顔が少し甘くなったみたい。
何だ、気にして損したわ。十分相思相愛じゃないの。
あら?何だか思ってたのと違うわね。
貴女、良い方だったの?
私は何を聞かされているのかしら。
旦那様も無の表情をされているわね。
ん?これは何の話だったかしら。
この方、第三王子が好きなのに、相手をされなくて悲しいではなくて、第三王子が幸せになれないのが、悲しいって言ってるのよね。
あら、やっぱり良い方じゃない。
それで、私を恨むのはよくわからないけれど。
「あの、それでしたら、貴女が幸せにして差し上げたら?」
「だから、私には無理だって言ってるじゃない。マーガレットって言う名前は、あの人には何の役にも立たないし、寧ろ苦しめるだけだもの。」
はらはらと涙が次々に出てくるわ。なーんだ。この方、ちっとも悪い方じゃないじゃない。悪者を言い負かしたかったのに。
彼女に近づくのを、旦那様は戸惑いながらも止めたりはされなかった。
かわりにため息をついて、ぶつぶつと何かを呟いていた。
私は、彼女にハンカチを渡し、背中を撫でると、涙が更に溢れてきた。止めようとしたのに、更に泣くなんて。やっぱり嫌がらせなのかしら。
旦那様も近づいてきたわ。
「こんな筈ではなかったけれど、まあ、いいか。」そう言って顔を上げた。
「出て来難くなりましたが、どうぞ。」
「まあ、そう言うな。」
長身の人懐こい笑顔を宿した方がいらっしゃった。ああ、この方が。
私はご挨拶をして、まだ泣いているマーガレット様に目を向ける。
彼は、少し傷ついた様な瞳を、彼女に向けて跪いた。
「帰ろう。マーガレット。」
まさか愛妾を連れ戻すために、第三王子が来られるなんて、皆不思議そうな顔をしているわ。
私も同じ気持ち。第三王子を見たら、何か思うことがあるのかしら、とか思ったけれど、そうはならなかった。
拍子抜けだわ。
マーガレット様はヨロヨロと立ち上がった。第三王子の顔が少し甘くなったみたい。
何だ、気にして損したわ。十分相思相愛じゃないの。
23
あなたにおすすめの小説
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月るるな
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
その結婚、承服致しかねます
チャイムン
恋愛
結婚が五か月後に迫ったアイラは、婚約者のグレイグ・ウォーラー伯爵令息から一方的に婚約解消を求められた。
理由はグレイグが「真実の愛をみつけた」から。
グレイグは彼の妹の侍女フィルとの結婚を望んでいた。
誰もがゲレイグとフィルの結婚に難色を示す。
アイラの未来は、フィルの気持ちは…
公爵令嬢の何度も繰り返す断罪
アズやっこ
恋愛
私は第一王子の婚約者の公爵令嬢。
第一王子とは仲が良かったと私は思っていた。それなのに一人の男爵令嬢と出会って第一王子は変わってしまった。
私は嫉妬に狂い男爵令嬢を傷つけた。そして私は断罪された。
修道院へ向かう途中意識が薄れ気が付いた時、また私は過去に戻っていた。
そして繰り返される断罪…。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 主人公は乙女ゲームの世界とは知りません。
〈完結〉貴方、不倫も一つならまだ見逃しましたが、さすがにこれでは離婚もやむを得ません。
江戸川ばた散歩
恋愛
とある夏の避暑地。ローライン侯爵家の夏屋敷のお茶会に招待された六つの家の夫妻及び令嬢。
ゆったりとした時間が送れると期待していたのだが、登場したこの日の主催者であるローライン夫妻のうち、女学者侯爵夫人と呼ばれているルージュの口からこう切り出される。「離婚を宣言する」と。
驚く夫ティムス。
かくしてお茶会公開裁判の場となるのであった。
【完結】私は王子様の運命の相手だけど、そのことは誰にも言ってはいけない
雪野原よる
恋愛
ずっと王子の護衛騎士として仕えている男装の私は、王子のたった一人の「運命」でもある。なのに、国王陛下の厳命により、この事実は、この想いは隠し通さねばならない──
※シリアスに見せかけたコメディです。
※ネタバレ:王子が滅茶苦茶ブチ切れます。
それは確かに真実の愛
宝月 蓮
恋愛
レルヒェンフェルト伯爵令嬢ルーツィエには悩みがあった。それは幼馴染であるビューロウ侯爵令息ヤーコブが髪質のことを散々いじってくること。やめて欲しいと伝えても全くやめてくれないのである。いつも「冗談だから」で済まされてしまうのだ。おまけに嫌がったらこちらが悪者にされてしまう。
そんなある日、ルーツィエは君主の家系であるリヒネットシュタイン公家の第三公子クラウスと出会う。クラウスはルーツィエの髪型を素敵だと褒めてくれた。彼はヤーコブとは違い、ルーツィエの嫌がることは全くしない。そしてルーツィエとクラウスは交流をしていくうちにお互い惹かれ合っていた。
そんな中、ルーツィエとヤーコブの婚約が決まってしまう。ヤーコブなんかとは絶対に結婚したくないルーツィエはクラウスに助けを求めた。
そしてクラウスがある行動を起こすのであるが、果たしてその結果は……?
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
これからもあなたが幸せでありますように。
石河 翠
恋愛
愛する男から、別の女と結婚することを告げられた主人公。彼の後ろには、黙って頭を下げる可憐な女性の姿があった。主人公は愛した男へひとつ口づけを落とし、彼の幸福を密やかに祈る。婚約破棄風の台詞から始まる、よくある悲しい恋の結末。
小説家になろうにも投稿しております。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる