あの気持ち悪い贈り物は貴方でしたの?

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第三王子

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第三王子と言いましても、面識はございませんし、さっぱりと思っておりますと、旦那様は苦笑いをされてます。

「その様子だと、覚えてないか。」

その言い方ですと、面識があるようでしてよ?

旦那様が、私の手を握ります。恥ずかしいけれど、握り返します。

「覚えてない?私達が初めて会った時のこと。」

初めてお会いした時、まだ私はお茶会にデビューする前でしたわ。お兄様のお友達であったルーカス様と、確かにもう一人、どなたかいらっしゃってましたわ。あの方かしら。金色の髪なんて珍しくもないですし。

ああ、威圧感は凄くあったようで、怖くて近寄れなかったのですわ。あの頃は既に、燃えるような赤毛のルーカス様に心を奪われていたので…あら、カミングアウトしてしまいましたわ。恥ずかしいことですわ。

もしかしてあの方が第三王子なのですか?

それにしても、全く記憶に残らないと言うのもおかしな話ですのね。

仮にも王族ですのに。

「あまり、印象に残っていないのを、喜ぶべきなんだろうね、本当は。」

あら、良いのですか。旦那様は苦しそうなお顔をしていらっしゃいます。

「第三王子は、ずっと人の印象に残らないよう自分の存在感を操作しているんだよ。第一王子や第二王子の影として生きると決めていたからね。それが、最近になって、担ぎ上げられそうになっている不穏な空気を感じたんだよ。第三王子派として、名乗りを挙げそうになっている貴族には、あまりいい噂はなくてね。そこのアンソニー君の父親のミラー伯爵もどうやら第三王子派だよね。君、最初から監視されていたよ。同じ派閥の貴族達からもね。ここらでやめた方が良い。」

アンソニー君と呼ばれた男は、土気色みたいな顔色になって、何も言わなくなった。大丈夫かしら。

「話がそれて、申し訳ない。第三王子は、君を巻き込むことを恐れて、中立派のグレイ侯爵家に保護を頼んだんだよ。そこのマーガレットは、第三王子派が第三王子の動向を見るために送ったスパイなんだけど、表向きは愛妾として、王宮に捨て置かれていて、多分第三王子にも相手にされなくて、王宮内で肩身の狭い想いをしている、とかじゃないのかな。そして、マーガレットに逆恨みした。君、そんなに、おかしな思考していたっけ?前はもう少しまともじゃなかった?」

ルーカスに話しかけられた、マーガレット様は、物凄く怖い顔をなされていて、そんなに単純なことではない、と言われるのかと思っていましたのに。

「そうよ。けれど、悪いのはその女よ。」

お認めになるの?もう少し、粘ってほしいわ。そして、私?

悪いことって何かしら。旦那様の手に力が入りますわ。案外怒ってらっしゃるの。顔に出ないの素敵ですわ。

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