17 / 20
17 白い薔薇の咲く庭園で
しおりを挟む
舞踏会が開催される広間には、今日も変わらず絢爛豪華な装飾と、優美な人々が揃っていた。ロザリーが入ると、会場中の視線が浴びせられる。
一体彼女は、どこの令嬢かしら? あんな方、昨日までいた? とても素敵な方だわ。
そんな会話がなされていて、ロザリーは心の中で謝罪した。
(ごめんなさい、わたしはただの平民なのに。この格好のせいね。馬子にも衣装ってところだわ)
周囲を騙しているようで気が引ける。ガワばかり見事でも中身は単なる町娘なのだ。居心地の悪さを覚えつつ、踊りに誘う男性たちをなんとか躱しながら、アルフォンスが現れるのを待った。
と、会場の温度がにわかに上がる。王が登場したのだ。なんと傍らに、友好国の姫を伴って。
――お似合いのお二人。
周囲のそんな声を聞いてロザリーの胸がちくりと痛むが、すぐに違和感を知る。
(あの方は、偽者のほうだわ)
現れた王は、アルフォンス本人ではないと気がついた。だってアルフォンスは、あんなに明るく爽やかに笑わない。
この三日のうちに、ロザリーは今のアルフォンスの性格についてなんとなく分かってきた。少し卑屈でひねくれていて、それでも昔と変わらない情熱を、胸の内に秘めている人だった。
(聞きたいことが山程あるのに。そもそもわたしを呼んだのはそちらの方なのに。……わたしのことは、もう忘れてしまったのかしら)
ため息が出かけるのを諌める。嫉妬や失望する権利は自分にはないのだから。
今すぐ彼に会いたい。彼に触れて、その存在を確かめたい。心の底からそう考えて、考えた自分に戸惑った。
(わたし、あの人に、後戻りができないくらいに恋をしてしまったんだ)
悲しくなるほどに、彼を想い焦がれている。止め方なんて分からなかった。恋心なんて、気がついた時には手遅れだ。
背後から声をかけられたのは、ロザリーが心臓の音を諌めるために両手を胸に当てた瞬間だった。
「ロザリー・ベルトレード様」
名前を呼ばれて振り返ると、アルフォンスの側近の一人らしき男性が立っていた。彼は小声で耳打ちする。
「陛下より伝言です。例の場所で待つと」
ロザリーは、会場を飛び出した。
アルフォンスがどこにいるかは分かっていた。ロザリーが迷うこと無く白薔薇庭園に向かうと、初めて会った日と同じように、彼は椅子に座っていた。昨日の戦闘を物語るような怪我はなかった。
彼は憂いを帯びた表情で、悩ましく思案するかのように、やはり前方の、深い穴を見つめていた。
その静かな佇まいを見るだけで、ロザリーの胸には切なさが広がる。
生まれる前からずっと彼を待っていたのだと、それだけを、感じていた。
声を掛ける前に、彼はこちらに目を向けて、ロザリーを見て微かに笑い、立ち上がった。
「おいで」
柔らかな声だった。怒りも、悲しみもないように思えた。
ロザリーは彼の隣に行くと、差し出された腕に、そっと手を添えた。逞しくて温かい。
たったそれだけのことなのに、ずっと待ち望んでいたかのように、体がびくりと震えてしまう。平静さを装って、彼に合わせて歩き始めた。
橙色の太陽が白い薔薇を照らしていた。庭の西は既に陰り、夕闇が夜に姿を変えようとしている。
薔薇園はオフィーリアの記憶の中と同じように広大だ。むしろ更に広がっているようにも思える。手入れをされた薔薇はどれも美しく、その香りに包まれながらしばらく二人は無言で歩いていた。
不快な沈黙ではなかった。アルフォンスが隣にいると思えば、静寂さえも心地が良かった。
先に口を開いたのはアルフォンスの方だった。
「どこから話そうかと、ずっと考えていたんだ。まだ、決めかねているが……」
応じるように、ロザリーは一番の気がかりを尋ねた。
「ジルヴァは――あの人は、どうなったのでしょうか。消えたのですか?」
ジルヴァの名を出した途端、アルフォンスの体が強張る。
「あの男は死んだ」
断固たる口調だった。アルフォンスの態度から、既にジルヴァが消え去ったということは確かだろうと思ったが、それでもロザリーには分からないことが多かった。
「だけど、どうやって? どうやってジルヴァを倒せたんです」
「セオが、あの男とともに自害したからだ。肉体の死に伴って、中にあった魂が消滅した。だからあの男はもうどこにもいない」
ロザリーは不安に駆られて足を止めた。
「でも……だけど、セオさんは生きているんでしょう?」
懇願にも似た口調で尋ねると、アルフォンスは頷いた。
「危ういところではあったが、生きている。今日も話した。消沈はしているが、怪我はない。今は部屋で休ませている」
セオの無事を改めて聞き、ロザリーは心の底から安堵した。彼は大切な友人で、そうしてジルヴァに利用された被害者だった。
「あの時、わたしは死んだのかと思いました。わたしは、結局役立たずでした」
こうして生きていることも、奇跡のように感じる。アルフォンスは首を横に振った。
「役立たずなどとんでもないことだ。君がいたからジルヴァに打ち勝つことができたんだ」
意味が分からず反応できずにいると、アルフォンスは笑った。
「君が私とセオの間に割って入り、セオの剣が君を貫いた。彼はそのことに計り知れない衝撃を受け、一時的にジルヴァの洗脳が解けたんだ。だから彼は、死を選んだ。君の命を、自分の命で贖うために。
……セオを救ったのは君の勇気だ。君は、王以上の器を持っているよ。私達はあの時、自分のことしか考えておらず、本気で互いを殺すつもりだったから。私では、彼を救えなかった」
ロザリーは唇を噛み締めた。あれは勇気などなかったし、褒められる筋合いもない。それでもセオもアルフォンスも生きているということを安堵し喜んでいた。
そうして同時に頭を掠めた疑問があったが、口にする前にアルフォンスが言ったひと言で、引っ込んでしまう。
「弟は君に本気で恋をしていたらしい」
弟、その言葉を反芻する。セオがアルフォンスを兄と呼んだのを、ロザリーも覚えている。
「セオさんは、あなたの……?」
ああ、とアルフォンスは頷いた。
「実弟だ。腹違いではあるが」
ロザリーは二人の瞳を頭の中で並べてみる。二人とも、よく似た青い、美しい目をしていた。アルフォンスは続ける。
「そしてジルヴァも、父が愛妾に産ませた子供だった。王家の恥……というよりは父の恥だ」
「まさか!」
それにはロザリーも目を丸くした。
オフィーリアとして生きていた時も、まるで知らない事実だったからだ。
「我が国では王を継ぐのは正妻の産んだ子のみという伝統があったが、正室に子供ができない場合、王の弟が継ぐことになっていた。弟がいない場合は、近しい親族で、やはり正妻が産んだ子だ。
当時、どのような会議が持たれたのか知らないが、世継ぎ問題は常に喫緊の課題だ。その頃、私の母に子供はいなかったこともあったのだろう。故にジルヴァは王の弟――私の叔父として生きることになった。
私がそれを知ったのは、ジルヴァの死後だ。だが彼はもっと前から知っていたのではないかと思わずにはいられない」
ロザリーもジルヴァのことを考えた。彼があれほど歪んだ感情をアルフォンスに向けたのは、そういった事実も含んでの上だったのだろうか。
一体彼女は、どこの令嬢かしら? あんな方、昨日までいた? とても素敵な方だわ。
そんな会話がなされていて、ロザリーは心の中で謝罪した。
(ごめんなさい、わたしはただの平民なのに。この格好のせいね。馬子にも衣装ってところだわ)
周囲を騙しているようで気が引ける。ガワばかり見事でも中身は単なる町娘なのだ。居心地の悪さを覚えつつ、踊りに誘う男性たちをなんとか躱しながら、アルフォンスが現れるのを待った。
と、会場の温度がにわかに上がる。王が登場したのだ。なんと傍らに、友好国の姫を伴って。
――お似合いのお二人。
周囲のそんな声を聞いてロザリーの胸がちくりと痛むが、すぐに違和感を知る。
(あの方は、偽者のほうだわ)
現れた王は、アルフォンス本人ではないと気がついた。だってアルフォンスは、あんなに明るく爽やかに笑わない。
この三日のうちに、ロザリーは今のアルフォンスの性格についてなんとなく分かってきた。少し卑屈でひねくれていて、それでも昔と変わらない情熱を、胸の内に秘めている人だった。
(聞きたいことが山程あるのに。そもそもわたしを呼んだのはそちらの方なのに。……わたしのことは、もう忘れてしまったのかしら)
ため息が出かけるのを諌める。嫉妬や失望する権利は自分にはないのだから。
今すぐ彼に会いたい。彼に触れて、その存在を確かめたい。心の底からそう考えて、考えた自分に戸惑った。
(わたし、あの人に、後戻りができないくらいに恋をしてしまったんだ)
悲しくなるほどに、彼を想い焦がれている。止め方なんて分からなかった。恋心なんて、気がついた時には手遅れだ。
背後から声をかけられたのは、ロザリーが心臓の音を諌めるために両手を胸に当てた瞬間だった。
「ロザリー・ベルトレード様」
名前を呼ばれて振り返ると、アルフォンスの側近の一人らしき男性が立っていた。彼は小声で耳打ちする。
「陛下より伝言です。例の場所で待つと」
ロザリーは、会場を飛び出した。
アルフォンスがどこにいるかは分かっていた。ロザリーが迷うこと無く白薔薇庭園に向かうと、初めて会った日と同じように、彼は椅子に座っていた。昨日の戦闘を物語るような怪我はなかった。
彼は憂いを帯びた表情で、悩ましく思案するかのように、やはり前方の、深い穴を見つめていた。
その静かな佇まいを見るだけで、ロザリーの胸には切なさが広がる。
生まれる前からずっと彼を待っていたのだと、それだけを、感じていた。
声を掛ける前に、彼はこちらに目を向けて、ロザリーを見て微かに笑い、立ち上がった。
「おいで」
柔らかな声だった。怒りも、悲しみもないように思えた。
ロザリーは彼の隣に行くと、差し出された腕に、そっと手を添えた。逞しくて温かい。
たったそれだけのことなのに、ずっと待ち望んでいたかのように、体がびくりと震えてしまう。平静さを装って、彼に合わせて歩き始めた。
橙色の太陽が白い薔薇を照らしていた。庭の西は既に陰り、夕闇が夜に姿を変えようとしている。
薔薇園はオフィーリアの記憶の中と同じように広大だ。むしろ更に広がっているようにも思える。手入れをされた薔薇はどれも美しく、その香りに包まれながらしばらく二人は無言で歩いていた。
不快な沈黙ではなかった。アルフォンスが隣にいると思えば、静寂さえも心地が良かった。
先に口を開いたのはアルフォンスの方だった。
「どこから話そうかと、ずっと考えていたんだ。まだ、決めかねているが……」
応じるように、ロザリーは一番の気がかりを尋ねた。
「ジルヴァは――あの人は、どうなったのでしょうか。消えたのですか?」
ジルヴァの名を出した途端、アルフォンスの体が強張る。
「あの男は死んだ」
断固たる口調だった。アルフォンスの態度から、既にジルヴァが消え去ったということは確かだろうと思ったが、それでもロザリーには分からないことが多かった。
「だけど、どうやって? どうやってジルヴァを倒せたんです」
「セオが、あの男とともに自害したからだ。肉体の死に伴って、中にあった魂が消滅した。だからあの男はもうどこにもいない」
ロザリーは不安に駆られて足を止めた。
「でも……だけど、セオさんは生きているんでしょう?」
懇願にも似た口調で尋ねると、アルフォンスは頷いた。
「危ういところではあったが、生きている。今日も話した。消沈はしているが、怪我はない。今は部屋で休ませている」
セオの無事を改めて聞き、ロザリーは心の底から安堵した。彼は大切な友人で、そうしてジルヴァに利用された被害者だった。
「あの時、わたしは死んだのかと思いました。わたしは、結局役立たずでした」
こうして生きていることも、奇跡のように感じる。アルフォンスは首を横に振った。
「役立たずなどとんでもないことだ。君がいたからジルヴァに打ち勝つことができたんだ」
意味が分からず反応できずにいると、アルフォンスは笑った。
「君が私とセオの間に割って入り、セオの剣が君を貫いた。彼はそのことに計り知れない衝撃を受け、一時的にジルヴァの洗脳が解けたんだ。だから彼は、死を選んだ。君の命を、自分の命で贖うために。
……セオを救ったのは君の勇気だ。君は、王以上の器を持っているよ。私達はあの時、自分のことしか考えておらず、本気で互いを殺すつもりだったから。私では、彼を救えなかった」
ロザリーは唇を噛み締めた。あれは勇気などなかったし、褒められる筋合いもない。それでもセオもアルフォンスも生きているということを安堵し喜んでいた。
そうして同時に頭を掠めた疑問があったが、口にする前にアルフォンスが言ったひと言で、引っ込んでしまう。
「弟は君に本気で恋をしていたらしい」
弟、その言葉を反芻する。セオがアルフォンスを兄と呼んだのを、ロザリーも覚えている。
「セオさんは、あなたの……?」
ああ、とアルフォンスは頷いた。
「実弟だ。腹違いではあるが」
ロザリーは二人の瞳を頭の中で並べてみる。二人とも、よく似た青い、美しい目をしていた。アルフォンスは続ける。
「そしてジルヴァも、父が愛妾に産ませた子供だった。王家の恥……というよりは父の恥だ」
「まさか!」
それにはロザリーも目を丸くした。
オフィーリアとして生きていた時も、まるで知らない事実だったからだ。
「我が国では王を継ぐのは正妻の産んだ子のみという伝統があったが、正室に子供ができない場合、王の弟が継ぐことになっていた。弟がいない場合は、近しい親族で、やはり正妻が産んだ子だ。
当時、どのような会議が持たれたのか知らないが、世継ぎ問題は常に喫緊の課題だ。その頃、私の母に子供はいなかったこともあったのだろう。故にジルヴァは王の弟――私の叔父として生きることになった。
私がそれを知ったのは、ジルヴァの死後だ。だが彼はもっと前から知っていたのではないかと思わずにはいられない」
ロザリーもジルヴァのことを考えた。彼があれほど歪んだ感情をアルフォンスに向けたのは、そういった事実も含んでの上だったのだろうか。
91
あなたにおすすめの小説
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
王太子は妃に二度逃げられる
たまこ
恋愛
デリンラード国の王太子アーネストは、幼い頃から非常に優秀で偉大な国王になることを期待されていた。
初恋を拗らせ、七年も相手に執着していたアーネストが漸く初恋に蹴りを付けたところで……。
恋愛方面にはポンコツな王太子とそんな彼をずっと支えていた公爵令嬢がすれ違っていくお話。
※『拗らせ王子と意地悪な婚約者』『先に求めたのは、』に出てくるアーネストのお話ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
円満離婚に持ち込むはずが。~『冷酷皇帝の最愛妃』
みこと。
恋愛
「あなたと子を作るつもりはない」
皇帝シュテファンに嫁いだエリザは、初夜に夫から宣言されて首をかしげる。
(これは"愛することのない"の亜種?)
前世を思い出したばかりの彼女は、ここが小説『冷酷皇帝の最愛妃』の中だと気づき、冷静に状況を分析していた。
エリザの役どころは、公爵家が皇帝に押し付けた花嫁で、彼の恋路の邪魔をするモブ皇妃。小説のシュテファンは、最終的には運命の恋人アンネと結ばれる。
それは確かに、子どもが出来たら困るだろう。
速やかな"円満離婚"を前提にシュテファンと契約を結んだエリザだったが、とあるキッカケで彼の子を身ごもることになってしまい──?
シュテファンとの契約違反におののき、思わず逃走したエリザに「やっと見つけた」と追いすがる夫。
どうやら彼はエリザ一筋だったらしく。あれ? あなたの恋人アンネはどうしたの?
※小説家になろう様でも掲載しています
※表紙イラスト:あさぎかな先生にコラージュアートをいただきました
※毎朝7時に更新していく予定です
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
【完結】先に求めたのは、
たまこ
恋愛
ペルジーニ伯爵の娘、レティは変わり者である。
伯爵令嬢でありながら、学園には通わずスタマーズ公爵家で料理人として働いている。
ミゲル=スタマーズ公爵令息は、扱いづらい子どもである。
頑固者で拘りが強い。愛想は無く、いつも不機嫌そうにしている。
互いを想い合う二人が長い間すれ違ってしまっているお話。
※初日と二日目は六話公開、その後は一日一話公開予定です。
※恋愛小説大賞エントリー中です。
政略結婚の作法
夜宮
恋愛
悪女になる。
そして、全てをこの手に。
政略結婚のために身分違いの恋人のいる王太子の婚約者となった公爵令嬢は、妹の囁きを胸に悪女となることを決意した。
悪女と身分違いの恋人、悪女になるはずだった妹の物語。
【完結】王太子妃候補の悪役令嬢は、どうしても野獣辺境伯を手に入れたい
たまこ
恋愛
公爵令嬢のアレクサンドラは優秀な王太子妃候補だと、誰も(一部関係者を除く)が認める完璧な淑女である。
王家が開く祝賀会にて、アレクサンドラは婚約者のクリストファー王太子によって婚約破棄を言い渡される。そして王太子の隣には義妹のマーガレットがにんまりと笑っていた。衆目の下、冤罪により婚約破棄されてしまったアレクサンドラを助けたのは野獣辺境伯の異名を持つアルバートだった。
しかし、この婚約破棄、どうも裏があったようで・・・。
派手にしない工房は、今日もちゃんと続いている
ふわふわ
恋愛
名門でも、流行でもない。
選ばなかったからこそ、残った場所がある。
街の片隅で、小さな工房を営む職人シオンと、帳簿と現実を見つめ続けるリリカ。
派手な宣伝も、無理な拡大もせず、ただ「ちゃんと作る」ことを選び続けてきた二人の工房は、いつの間にか人々の日常の一部になっていた。
しかし、再開発と条件変更という現実が、その場所を静かに揺さぶる。
移るか、変えるか、終わらせるか――
迫られる選択の中で、二人が選んだのは「何も変えない」という、最も難しい決断だった。
特別にならなくていい。
成功と呼ばれなくてもいい。
ただ、今日も続いていることに意味がある。
これは、成り上がらない。
ざまぁもしない。
けれど確かに「生き方」を選びきった人たちの物語。
終わらせなかったからこそ辿り着いた、
静かで、確かな完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる