『魔王』へ嫁入り~魔王の子供を産むために王妃になりました~【完結】

新月蕾

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第93話 ほとばしる欲情

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 祖母と話して落ち着いたと思っていた私の体は、ユリウスに抱き締められたせいか火照りを取り戻していた。

「ゆ、ユリウス……」

 赤らんだ顔をユリウスの肩に埋める。
 ユリウスがそんな私の顔を持ち上げる。

「……顔が真っ赤だ。体調は?」

「……変な夢を見たの……あなたじゃないあなたに……その、襲われる夢」

 モゴモゴとしながらも本当のことを言う。

「……夢魔だ」

 ユリウスは顔をしかめた。

「インキュバスだ。あいつは俺に反抗的な方だから……」

「そういえば、アーダーベルトの名前も口にしてたわ……」

「そうか……ところで、ミラベル……こんな服、持っていたか?」

 ユリウスの言葉で、自分の服装が白いワンピースのままなのに気付く。
 そしてその布を胸が押し上げていることも。

「あっ……」

 慌てて胸元を隠す。

「こ、これはその後おばあさまの夢も見て……」

「先々代魔王の王妃様?」

「その時に戴いてきたワンピースなのだけれど……あ、そこのハサミもそう」

「そうか……」

 ベッドに落ちていたハサミをユリウスはサイドボードに置いた。

「…………」

 ユリウスの私を抱く手が変化していく。
 強く、離さないように抱き締めていた手が、輪郭を確かめるように体を撫でていく。

「あ、あの、ユリウス……?」

 問いかけた口をキスで塞がれた。

「ん……」

 そう、そうだ。キスだ。キスがなかったから、私は夢の中のあの男をユリウスじゃないと思ったんだ。

 口を離して、ユリウスは私の顔に手を添えた。

「……ミラベルが、そんな顔をしているから……」

 ユリウスの顔は切なく赤らんでいた。

「お、お仕事は……?」

「もう夕食の時間だ……」

「じゃ、じゃあ食べに行かなくちゃ……」

「その前に……君を、食べたい」

 耳元で囁くと同時に、ベッドに押し倒された。

「ひゃっ……」

「……すまない」

「はう……」

 白地のワンピースに、私の胸が透けている。
 ユリウスは布越しに私の胸に食らいついた。

「あっ……ああっ……!」

 薄い布越しの愛撫は、私の体を火照らせていく。

「ユリウス……っ!」

 ユリウスはワンピースの裾から手を伸ばしてくる。
 ぐちゃぐちゃになっている私の下半身は、下着を着けていなかった。
 そのままユリウスが直接私に触れてくる。

 淫らな水音が寝室に響く。

「んん……」

 私は口を手の平で覆った。

「今更……何を恥ずかしがることがある?」

「だ、だって……」

 夕食をまだ取っていないのだ。
 ニンフやシルフが耳を澄ませているかもしれない。

「うん……じゅうぶんにとろけたな」

 そういうとユリウスはさっさと服を脱ぎ捨てた。
 ユリウス自身はすでにそそり立っていた。

「挿れるぞ、ミラベル」

「はい……」

 消え入りそうな声で返事をする。
 ユリウスの動きが一瞬止まった。

「……嫌なのなら……」

「い、嫌じゃないです……こ、こんなになっちゃってるのに放っておかないでください……」

「うん」

 ユリウスははにかんだように笑うと、私にキスをした。
 キスをしながら器用に私の中にゆっくり入ってくる。

「……っ……っ」

 キスをしながらだとなかなか息がしづらい。
 必死にユリウスの背をかき抱く。
 ユリウスもそれに応えて、私を抱き締める。

 私の中を熱い塊が押し進んでくる。
 私の中は蠢きそれを抱き締める。

「……っ……っ」

 止めどないキスの間、私の中に収まったユリウスから、精が放たれた。
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