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4、困ってしまいます。
しおりを挟む早く旦那様から距離を取らないと更に深みにハマって抜け出せなくなってしまうわ。
このままでは別れる決意が揺らいで、みっともなく旦那様に離婚を取りやめて欲しいと縋ってしまいそうになるわ。
今の旦那様の態度はまやかしで、実際には私を愛してなんていない。
その事を忘れないようにしないといけないわ。
間違っても旦那様が私を愛していると誤解しないように。
「もっとキスを送ればどうなるのだろうな…」
「だ、旦那様…。お戯れはこれくらいにされて、お仕事に行かれた方がよろしいですよ」
「戯れか…。俺がこんなにもロズのことを愛してやまないというのにつれないな。そんなつれない奥様にはお仕置が必要だな」
「お仕置、ですか?」
一体何をされるのかしら。
「きゃあ!」
身構えていると、旦那様は私の事を横抱きにしてそのまま部屋を出て外へ足を進める。
「だ、旦那様!何をされるのですか!」
「お仕置だと言っただろ?今日は俺がロズのことをどれほど愛しているか、その身で理解するといい」
「な、なにを仰っているのですか!」
使用人達の目が痛いわ。
昨日離婚が決まったというのに、こんな姿を見れば驚くのも仕方ないわよね。
「俺と共にいるのになにを考えているんだ?」
「旦那様、それは…」
「それより、俺の事は名前で呼べ。夫婦なのだから旦那様なんて他人行儀が過ぎるだろ」
「そう言われましても…」
私達はそのうち夫婦ではなくなってしまいますし、名前を呼ぶなと仰ったのは旦那様ではありませんか。
そう言い返したいけど、今の旦那様に言っても意味の無いことでしょうね。
「俺の名前を呼びたくないのか?」
「いえ、決してそういうわけではなく…」
「では、私の事はヒューバート。もしくはヒューと呼べ」
「でしたら、ヒューバート様と…お呼びします」
「様は要らない。さあ、行くか」
抱き抱えられたまま馬車に乗せられ、そのままヒューバート様の膝の上に座らされて馬車は動き出す。
「お、下ろしてくださいませ」
「ダメだ。ロズは離すとすぐに俺から離れようとするからな」
「そんな事は…」
「あるだろ?」
ツン、と鼻先と鼻先をくっつけられて身体が硬直する。
か、顔が近過ぎます!
お顔がよろしいことをもっと自覚していただくべきですわ…!
こんな事をされ続ければ、ヒューバート様への恋心を消しきれていない私は、すぐに勘違いしてしまいそうになる。
もう虚しい気持ちになんてなりたくないのたから、今すぐにでも彼から離れないと…!
「またそうやって俺から離れようとするだろ。いけない子だ」
「お願いですので、離し下さいませ」
「ダメだ。そんなつれないことを言う口は、塞いでしまおうか…」
「んっ、」
押し退けようとする腕は鍛え上げたヒューバート様の前ではなんの意味もなく、簡単に距離を詰められ口を塞がれる。
すぐに終わると思っていた口付けは、次第に深くなっていき、離れた頃には腰が砕けて大人しくヒューバート様の膝の上で身を任せることしか出来なくたっていた。
あんな貪るような激しい口付けは初めてされたわ。
惚れ薬のせいだとしても、ヒューバート様の愛が激しすぎるわ。
薬が切れるのは1ヶ月程後だけれど、それまで私は正気を保っていられるかしら…。
今でもヒューバート様への気持ちを抑える事が難しいのに、このままじゃ抑えきれなくなって、嘘でもいいからヒューバート様と愛し合いたいと思ってしまうわ。
薬が切れた頃には離婚も成立しているはず。
この先の私達に待ち構えているのは別れしかないのだから、まやかしの愛に惑わされてはいけないわ。絶対に。
だから、どうか私に優しくしないでください。
私にそんな愛おしそうな目を向けないで下さい。
まだ1日が終わっていないと言うのに、街に行ってから帰るまでですごく疲れたわ。
ヒューバート様は人目もはばからず、ことある事に私に愛を囁いて、キスを送ってくるのだもの。
される度に懲りずに胸をときめかせて、拒もうとしても受け入れてしまう自分に嫌気がさす。
こなんじゃ、ヒューバート様への気持ちなんて捨てられるわけがないわ。
明日は、ヒューバート様と会わないように朝から気を付けましょう。
今日はヒューバート様に振り回されて疲れたから、もう早く寝たいわ。
怒涛の一日が終わり、やっと就寝時間になりガウンを脱いで布団をめくる。
「奥様、旦那様がお呼びです」
あとは寝るだけだというのに、こんな時間に一体なんの御用かしら…。
あまりいい予感はしないけれど、ヒューバート様に呼ばれたのなら行くしかない。
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