離婚が決まった日に惚れ薬を飲んでしまった旦那様

しあ

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5、こんな事になるなんて。

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「ヒューバート様、ロザベリーナです。なんの御用でしょうか?」


ヒューバート様の部屋の前で問いかければ、扉がすぐに開いて中からヒューバート様がガウン姿で顔を出す。


「待っていた。さぁ、中に入ってくれ」
「あの、御用は…?」
「用という程ではないが、俺たちは夫婦なのだから、一緒に寝るのは当然だろ?」
「それって…」


まさか同じベッドで寝ようだなんて仰らないわよね?


「今日は疲れただろうし、早く寝よう」
「でしたら私は部屋に戻りますわね」
「なにを言っているんだ、共に寝るに決まっているだろ」


まさか本当にそのつもりをされていたなんて…!
いけないわ。ヒューバート様とは距離を取ると決めたのに、これでは離れられなくなるわ。


「今までは別々に寝ていましたわよね?急にその習慣を変えなくても良いのではないでしょうか」
「ああ、今までの俺は本当に愚かだった。こんなにも愛しい妻と共に眠らなかったなんて、愚かとしか言いようがない」
「いえ、そんなことはないかと…」


ヒューバート様は私の事を愛してはいなかったし、女性と共にいることを極端に嫌っていた。
今一緒に寝たとして、目覚めた時に惚れ薬の効果が切れていたら、私はどうなるのかしら。
突き飛ばされて衛兵を呼ばれるかもしれないわ。


未来の私の為にも、一緒に寝たりなんてしたくないわ。なんとか回避しないと。


「旦那様は今、惚れ薬の効果で私を愛していると錯覚されている状態です。ですので、正気に戻った旦那様の為にも、いつも通り別々に夜を過ごした方が良いかと」
「惚れ薬か…確か医者もそんな事を言っていたが、俺のロズを愛する気持ちは嘘偽りない本心だ」


そんな真剣な眼差しで言わないでください。本気にしてしまいそうになるのだから。


「いえ、それは偽りです。ヒューバート様の本心ではありません。ですから、今も明日からも、今まで通りお互いに干渉せずに過ごしましょう」
「そんなことは出来ない!俺の今の感情は惚れ薬によるものだとしても、今の俺は君が愛おしくて仕方ないんだ!だから頼む、どうか俺と共に居てくれ…!」


そんなの、ズルいわ…。
好きな人からそんな切なそうに見られたら、つい望み通りにしてしまいそうになるじゃない。


「今夜…だけですからね」


今日は惚れ薬を飲んで目覚めた初日だから、色々と混乱なさっているのかもしれない。
だから、今夜だけ。今夜だけは旦那様の隣で夜を過ごそう。


「ああ!ありがとうロズ、愛している…」


流れるように口付けをされ、そのまま私達はベッドへと倒れ込む。
ヒューバート様の隣では眠れないかもしれないという心配は、ヒューバート様の身体が覆いかぶさって来た時には消え去っていた。


日中はヒューバート様の言動に翻弄され、夜は違う意味で翻弄され、疲れきった私が次に目を覚ました時には、既に日が高く昇っていた。


寝過ぎてしまったわ!


慌てて飛び起きようとするけれど、腰になにか暖かいものが巻き付いていて思うように起き上がれない。
なんだか背中も暖かい…?


「昨日は疲れただろうから、まだ寝ていても大丈夫だぞ」
「っ!」


声を聞いて振り返りば、一糸まとわぬ姿で布団を着たヒューバート様と目が合う。


「きゃ、きゃあー!」
「おい、そんなに驚くことはないだろ。あんなにも楽しんでいたのに」
「お、おやめ下さい…!」


ヒューバート様の言葉で次々と昨夜の記憶が蘇ってきて全身が熱くなる。
そんな私を見て、ヒューバート様は愛おしそうに目を細める。


「おはよう、ロズ。君は朝から可愛いな」
「おはよう、ございます…」


この方は朝から何を仰っているのかしら。
そんな蕩けるような笑顔でそんなことを言われたら、身体の熱が全然冷めてくれないではありませんか。


「とりあえず、服を着ましょうか…」
「何故だ?俺としてはこのまま1日過ごすのもやぶさかではないぞ」


そう言って私を強く抱き締めてくる。
肌と肌が触れ合って、ヒューバート様の体温が直接感じられるので、おかしな気分になってしまいそうになる。


「破廉恥ですわ!それに、お仕事もあるでしょうし、早く服を着ましょう」
「俺の妻はつれないな。そういう所も魅力の一つだから、ロズの言う通り今回は服を着ようか」


今回だなんて、次回なんてありませんわ。
今夜からはいつも通り別々の部屋で就寝するのですから。


そう思っていたけれど、今夜もその後もヒューバート様の切ない表情に負けて共に寝てしまう。
そしてそれが1週間も続けば抵抗することもなく、同じベッドで寝るのが日課となっていた。



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