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フランス政府の仕事
106話 つなぐ命
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7月の中旬のベルリンは25度ぐらいが最高気温で比較的湿度も少なく過ごしやすい、
今日も雲ひとつない、最高の天気であったが、元外務省職員、現外務省清掃員のブルーノは
外務省の建物廻りの清掃を行っていた。
先日、首相や外務大臣の指示でフランスに行き、マリ局長に許しをもらい、
帰国してからすぐに、外務省清掃員として、働いていた。基本的に頭が良いので、
1週間で清掃に関しては、覚えてしまい、これから、毎週、同じことの繰り返しを
しなければならないこと、また、かつての同僚にバカにされる日々に嫌気がさしてきていた。
「お~い、ブルーノ、なに、のんびり掃除しているんだ。そこが終わったら、ロビーの床清掃だぞ」
清掃員の先輩がこれみよがしにブルーノに大きい声で叫んだ。
「わかりました。すぐに終わらせて、そちらに行きます」
汗びっしょりになって、ブルーノは言われた通り働いていた。
だが、ブルーノの精神はこわれかけていた、これから、生きていても何の意味もないことを悟り
、今日の仕事が終わったら、自殺することを考えていた。両親も数年前に亡くなり、
兄妹もおらず、もちろん、友達もいないため、もう、思い残すことはないと考えていた。
「ふ~、人生最後の日が清掃員だとは、本当に最低の人生だったな」
ブルーノは自分自身に独り言をつぶやいた。
そして、仕事が終わり、もう、普通ではない精神状態になっていたせいか、
何気なく歩いていたら、ティアガルテン公園を歩いていた。
そして、ふと、左側を見たら、湖があり、そういえば、ここでフランス治安情報局の
あいつらと出会ったんだなと、思い出していた。そして、湖のほとりに一人の老人が
立っているのが見えた。自分と同じでまるで覇気がなく、今にも倒れそうな感じだった。
「おじいさん、どうしたんですか。ぼ~っとしちゃって」
老人はブルーノの方を見て
「今日、病院に行ってきてな。あと3か月の命だそうだ。全身、ガンに犯され、
手の施しようもないと言われてな。まだ、何とか、歩けるうちに人生最後に
亡くなったあいつと出会った、この公園に来てみたんだ」
そう言うと老人はまた、湖を見てぼーっとした。
ブルーノはまだ3カ月も寿命があるのか、僕は今日で命が亡くなるけどなと思った。
老人は湖を見ながら、
「あんたはえ~のお、若くて、これから、たくさんの楽しい人生が待ち受けていて」
老人はうらやましそうにブルーノを見た。
「いえ、僕の人生は今日で終わりですよ。だから、おじいさんより、早く死にますよ」
「そ~かい、今日で終わりかい。あんたは、どうやらクズ人間のようだな」
「はい、そうです。クズ人間です。バカは死ななきゃ直らないというやつですよ」
ブルーノは不思議とこの老人には、なんでも話せるのが不思議だった。
「ハハハ、自分がバカだと思えるのなら、あんたはバカじゃあるまい、
頭のスイッチの切り替え方を知らんだけじゃろう」
「頭の切り替えスイッチ?」
「そうじゃ、あんた、別の人生を考えたことはないのかい?」
「別の人生?」
「そうじゃ、例えば、有り金全部、銀行からおろして、それをかかえて今の仕事やこの場所から、
とんずらして好きなところに旅行やら、一人で寂しければ、ガイドを雇ったり、
運転手付きの車で好きなところへ行ったり、どうせなら、全部使ってすっきりして死んだ方が
良くないかい?あんたは、随分、お金を貯金しているように見えるからな」
「そりゃあ、僕は、貯金が趣味みたいなもので、かなりお金はあるけど」
「だったら、今の仕事をとんずらして、お金が無くなるまで、遊びまくったらどうだい、
カジノや投資や好きなことに使いまくってから死んだ方がいいだろ」
ブルーノはもう死ぬことだけを考えていたので、そんな自由が許されるわけないと
自分で勝手に思っていた。だが、よく考えたら、どうせ死ぬなら、とんずらして、
行方不明にでもなって、有り金全部使って、好きなことをやりまくって死んだ方がいいなと
思い始めた。
「おじいさん、確かにあなたの言うう通りかもしれない。
今死ぬのも、遊びまくってから、人しれず死ぬのも変わらないもんね」
「ハハハ、やっぱり、お前はバカではないのお」
「さあ、もう行け、こんな老い先短い老人と話していても時間の無駄になるだけじゃ」
「ありがとう、おじいさん、もう少し、生きてみるよ」
ブルーノは久しぶりに笑いながら、おじいさんに挨拶をして、その場を立ち去った。
「フ~、やっと行ったか、全く、マリは散々、ブルーノに厳しい態度を取ったくせに
僕にこんなことをさせて、本当は世界の誰よりもやさしく、思いやりのある女性のくせに、
また、しばらくしたら、様子を見に来るか、本当に世話のやける奴だ」
おじいさんはそう独り言を言うと
「しゅ~」
と音を出して、みるみる若返った。
しばらくして、体が真っ赤になり、一瞬でその場所から消え去った。
今日も雲ひとつない、最高の天気であったが、元外務省職員、現外務省清掃員のブルーノは
外務省の建物廻りの清掃を行っていた。
先日、首相や外務大臣の指示でフランスに行き、マリ局長に許しをもらい、
帰国してからすぐに、外務省清掃員として、働いていた。基本的に頭が良いので、
1週間で清掃に関しては、覚えてしまい、これから、毎週、同じことの繰り返しを
しなければならないこと、また、かつての同僚にバカにされる日々に嫌気がさしてきていた。
「お~い、ブルーノ、なに、のんびり掃除しているんだ。そこが終わったら、ロビーの床清掃だぞ」
清掃員の先輩がこれみよがしにブルーノに大きい声で叫んだ。
「わかりました。すぐに終わらせて、そちらに行きます」
汗びっしょりになって、ブルーノは言われた通り働いていた。
だが、ブルーノの精神はこわれかけていた、これから、生きていても何の意味もないことを悟り
、今日の仕事が終わったら、自殺することを考えていた。両親も数年前に亡くなり、
兄妹もおらず、もちろん、友達もいないため、もう、思い残すことはないと考えていた。
「ふ~、人生最後の日が清掃員だとは、本当に最低の人生だったな」
ブルーノは自分自身に独り言をつぶやいた。
そして、仕事が終わり、もう、普通ではない精神状態になっていたせいか、
何気なく歩いていたら、ティアガルテン公園を歩いていた。
そして、ふと、左側を見たら、湖があり、そういえば、ここでフランス治安情報局の
あいつらと出会ったんだなと、思い出していた。そして、湖のほとりに一人の老人が
立っているのが見えた。自分と同じでまるで覇気がなく、今にも倒れそうな感じだった。
「おじいさん、どうしたんですか。ぼ~っとしちゃって」
老人はブルーノの方を見て
「今日、病院に行ってきてな。あと3か月の命だそうだ。全身、ガンに犯され、
手の施しようもないと言われてな。まだ、何とか、歩けるうちに人生最後に
亡くなったあいつと出会った、この公園に来てみたんだ」
そう言うと老人はまた、湖を見てぼーっとした。
ブルーノはまだ3カ月も寿命があるのか、僕は今日で命が亡くなるけどなと思った。
老人は湖を見ながら、
「あんたはえ~のお、若くて、これから、たくさんの楽しい人生が待ち受けていて」
老人はうらやましそうにブルーノを見た。
「いえ、僕の人生は今日で終わりですよ。だから、おじいさんより、早く死にますよ」
「そ~かい、今日で終わりかい。あんたは、どうやらクズ人間のようだな」
「はい、そうです。クズ人間です。バカは死ななきゃ直らないというやつですよ」
ブルーノは不思議とこの老人には、なんでも話せるのが不思議だった。
「ハハハ、自分がバカだと思えるのなら、あんたはバカじゃあるまい、
頭のスイッチの切り替え方を知らんだけじゃろう」
「頭の切り替えスイッチ?」
「そうじゃ、あんた、別の人生を考えたことはないのかい?」
「別の人生?」
「そうじゃ、例えば、有り金全部、銀行からおろして、それをかかえて今の仕事やこの場所から、
とんずらして好きなところに旅行やら、一人で寂しければ、ガイドを雇ったり、
運転手付きの車で好きなところへ行ったり、どうせなら、全部使ってすっきりして死んだ方が
良くないかい?あんたは、随分、お金を貯金しているように見えるからな」
「そりゃあ、僕は、貯金が趣味みたいなもので、かなりお金はあるけど」
「だったら、今の仕事をとんずらして、お金が無くなるまで、遊びまくったらどうだい、
カジノや投資や好きなことに使いまくってから死んだ方がいいだろ」
ブルーノはもう死ぬことだけを考えていたので、そんな自由が許されるわけないと
自分で勝手に思っていた。だが、よく考えたら、どうせ死ぬなら、とんずらして、
行方不明にでもなって、有り金全部使って、好きなことをやりまくって死んだ方がいいなと
思い始めた。
「おじいさん、確かにあなたの言うう通りかもしれない。
今死ぬのも、遊びまくってから、人しれず死ぬのも変わらないもんね」
「ハハハ、やっぱり、お前はバカではないのお」
「さあ、もう行け、こんな老い先短い老人と話していても時間の無駄になるだけじゃ」
「ありがとう、おじいさん、もう少し、生きてみるよ」
ブルーノは久しぶりに笑いながら、おじいさんに挨拶をして、その場を立ち去った。
「フ~、やっと行ったか、全く、マリは散々、ブルーノに厳しい態度を取ったくせに
僕にこんなことをさせて、本当は世界の誰よりもやさしく、思いやりのある女性のくせに、
また、しばらくしたら、様子を見に来るか、本当に世話のやける奴だ」
おじいさんはそう独り言を言うと
「しゅ~」
と音を出して、みるみる若返った。
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