ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

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からくり奇譚 編

071. 九能信衛、推して参る

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 天空から降下した巨大ロボットは、どこか奉ヶ崎まつりがさきの外れに着地した。 
 電灯や撮影機材など、陽元国は科学が発達していると思ったが、まさか巨大ロボットまで開発していたとは。

「すげぇな……アレはまた後で調査するか。でも、いまはロボットよりも───」

 くるっと錦兵衛の方を向いたユーゴに、「ひぃっ」と短く悲鳴を上げた錦兵衛。すっかり怯えきっている。

「そんなビビるなよ。まるで俺が虐めているみたいじゃねぇか」

「「 まるで? ようだ? 」」

 ユーゴの言葉に、聖女二人が己の耳を疑った。

「なんだよお前ら。何か文句あるのかよ。……まぁいい。おいおっさん。もう観念しろよ。お前が人魚の子供たちを売ろうとしてた取引相手を吐け。全部だ」

「そ、それは言えん!」

 険しい顔をして、錦兵衛はそっぽを向いた。

「そうか、なら仕方ない。なぁ錦兵衛。アンタ、蛇が嫌いなんだってな?」

 蛇。その言葉に錦兵衛の全身が強張った。

「俺、海を渡った隣の国、メナ・ジェンドってところの大統領と知り合いでさ。午前中ちょっとそいつに会いに行ったんだよ」

瑪瑙国メナ・ジェンドに、午前中……? 何を世迷い言を。彼の国と、どれだけの距離があると思っておる」

「まぁ聞けよ。俺はそいつに蛇を操れる人材を紹介してもらってな、午前中はその人材と街中を回って蛇を呼び集めてもらってたんだよ。それがこちら」

 ユーゴは【無限のシークレットもちゃ箱フロンティア】を開き、一つの大きなかめを取り出した。

「わっ!?」

「きゃあ!?」

「ひぃっ!?」

 フィールエル、ネル、錦兵衛は悲鳴を上げて仰け反った。
 さもありなん。龜のなかには、ウジャウジャと無数の蛇が蠢いていたのだから。

「いまからこの龜の中にお前をぶち込む」

「「「 !? 」」」

 ユーゴ以外の全員がビビり倒した。これは聖女二人も聞いていなかったのだ。なんたる非道。

「そして一人分の情報を白状するたびに、少しずつ引き上げてやる。大丈夫。この蛇は毒をもってないらしいから死んだりしねぇって……たぶん」

 ザッザッと砂利を踏みしめながら、ユーゴが近づいてくる。
 ユーゴに両脇から手を入れられ、錦兵衛は龜の方へと引き摺られていく。

「わ、儂は言わん! 決して口を割らんぞ!」

 そして錦兵衛の身体が持ち上げられる。

「け、決して……ぎゃああああああああああっ‼︎」


 一時間後。
 龜に入れた瞬間気絶した錦兵衛の覚醒を待って尋問開始。
 なかなかしぶとく口を割らなかったが、着物の袂から蛇を一匹入れてやったらとうとう白状しだした。
 一人の名を出すと、それが呼び水となって後はスラスラと出てきた。しかし四人目だけは何故か、頑として言わなかった。

「根性あるなぁ。それともそいつはよほどヤバい相手なのか?」

「あの御方だけは駄目だ!」

「いままで名前が出てこなかったが、映像に写っていた駒井っておっさんなんだろ? あ、あれは使いっ走りか。でもそいつを辿っていけば……」

「ならぬ! それだけはならぬ! 貴様、この国が大きく割れることになるぞ!」

「なんだって?」

 誇大な表現をしているのかと思ったユーゴだが、錦兵衛の思いの外真剣な表情に真実味を感じた。
 これは予想以上に手こずりそうだ。
 どうやって情報を引き出そうか……。

「ユーゴ、誰か来る!」

 ユーゴの思考は、フィールエルの警告によって中断させられた。
 瞬間、ユーゴの背後の草むらから誰かが飛び出してきた。
 獣より早くユーゴに襲いかかるが、しかし、ユーゴは寸前で躱した。
 襲撃者は着地と同時に回転し、次いで刀で横一文字に斬りかかる。
 白刃取り───いや、二本目の刀が迫っている。
 ユーゴはバックステップで刀の間合いから遠のいた。
 そこでユーゴは、初めて襲撃者を正面から眺める。
 男だ。しかもまだ少年。帯刀を許されているということは、武士であることは間違いない (この陽元国が近世日本と同様の習慣があるとすればだが)。
 刀を二本両手に持って立つ若侍は、怜悧な眼でユーゴを見据えている。

「おい少年。丸腰の相手にいきなり斬りかかるとは卑怯じゃねぇか。しかも背後から。武士道はどうした?」

「背後からの斬撃も、心眼にて片手白刃取りをするほどの武芸者だと聞いたので、これくらいしなければ太刀打ちできないと思いました。しかし驚きました。琴吹左門殿から凄腕と聞いてはいましたが、まさかこれほどまでとは……」

 琴吹左門とは飛田屋にいた奉行所の侍だ。つまり、この若侍は琴吹から要請を受けてユーゴ達を追いかけてきたのだ。

「いやいや、お前も強いよ、少年。いやマジで」

 ユーゴは久しぶりに緊張感を持った。動作の速度、無駄のない動き、斬撃の鋭さ、どれをとっても一流だ。
 フィールエルやベルタリオ級の戦闘力だろう。気を抜けばユーゴとて無事では済まないかもしれない。

「少年ではなく、拙者の名前は九能信衛と申します」

 対して信衛の方も緊張感が漲り、冷や汗が流れた。
 信衛は道場剣術も習ったが、それ以上に己が頼りにしているのが数多の修羅場を潜って身につけた実践剣術である。
 命の遣り取りをする戦場では、如何にして敵を打ち取るかが何より重要。先ほどの奇襲もそうして磨いてきた実力の粋を集めたものだったが、それでも掠りさえしなかった。
 こうして対峙している今も、目の前に立つ黒装束の男からは圧倒的な気配が伝わってくる。これは松風の侍が束になっても敵わないわけだ。
 ごくりと生唾を呑み込み、信衛は告げる。

「九能藩藩主、九能信衛、推して参る!」

 信衛は疾風の如き突きを放つ。
 だが、キィン! という金属同士の衝突音。
 ユーゴと信衛の間に割り込んできた人物が、その手にした剣で刀を受け止めたのだ。

「無手の相手に刀は感心しないな。ここはボクが相手しよう」
 
 信衛はまたも驚いた。必殺の突きを受け止められたことに。そしてそれが凄腕の黒装束ではなく、女子だったということに。
 桃色の布で顔半分を覆っているが、声、体型、短い裾からのびるけしからん太腿。間違いなく女子だ。
 信衛は顔を赤くした。

「おいユー……黒風、見て欲しい」

「なんだよ桃風」

「この少年がボクの太腿を見た時の顔を。赤くなって可愛いじゃないか。これがボクのような美少女を見た時の正しい反応だ」

「知らねーよ。……ん?」

 妙にドヤ顔で言ったフィールエルにユーゴは素っ気なく返し、更にツッコミの追撃を入れようとしたが、強い気配が更に二つ、廃寺に近づいてきているのを感じた。
 朽ちかけた寺の山門を潜って境内に入ってくる人影が二つ。
 一人は巫女装束に四本の刀を差した、はっとするような黒髪の美少女。
 もう一人は桃風のようなくノ一装束に、手甲脚絆をつけた焦げ茶色の髪をした活発そうな美少女。
 しかしこの二人、発するオーラが尋常ではない。
 闘気? 殺気? いや、もっとおどろおどろしい気配だ。
 ユーゴは最近、この手の寒気を催す気配をよく感じるのを思い出した。
 フィールエルやネルが時折ユーゴに向けるものに酷似している。
 しかし新たに現れた少女二人のそれはユーゴではなく、信衛に向けて発せられている。

「進ちゃん……いや、信衛。貴方は若くとも九能藩を治める大名なのですよ? そのようなはしたない女の腿に気を取られるなど、自覚が足らぬ証拠。恥を知りなさい!」

「進之助! あたしという者がありながら、他の女に色目を使うなんて許せない!」

 黒髪の巫女も活発そうなくノ一も、信衛に冷たい視線を向けている。

「いや、姉上、春ちゃん。これは違います! というか、いまはそれどころではありません!」

 慌てて弁解する信衛少年に、ユーゴはなんだか親近感とシンパシーを覚えた。

──────to be continued

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