ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神

文字の大きさ
75 / 163
からくり奇譚 編

075. 久能城へ

しおりを挟む
「わぁ、凄い。傷が治ってく……」

 ユーゴに施したネルの【祈癒】を見て、春が感嘆の声をあげた。

「こちらからお願いしておいてなんですが、本当に良かったんですか?」

 信衛はユーゴに確認した。

「ああ。構わねぇよ」

 ユーゴはユーゴで打算があった。信衛が顔のきく人物であるならば、ユーゴの探す人物の情報も集めやすいと思ったからだ。

「琴吹殿にはこちらから事情を伝えるとして、飛田屋はどうしましょうか?」

 頭を悩ます信衛にユーゴは伝える。

「大丈夫だ。さっき発見した。しばらく泳がせておこう」

「……? いったいどういう意味です?」

「信衛。このお方が大丈夫というならば大丈夫なのでしょう。私は信じます。貴方も信じなさい」

「は、はい。姉上……?」

 雪の様子が少しおかしいことに信衛は気付いた。
 普段は何かにつけ信衛を甘やかしたり甘えてきたりするのだが、それを自制するように厳しい態度になっている。
 信衛は姉にベタベタされるのが苦手だったので、弟離れが出来たのだろうと嬉しくなった。唐突ではあったが。

「で、お前はいつまで隠れてるんだよ?」

 ユーゴは山門の影に隠れてプルプル震えている人物に声をかけた。

「だ、だって……何かバトル始まってるし、怖いじゃない」

「なにが怖いだよ。お前、条件次第じゃこの中でも最強だろうが」

「逆に水がないと何も出来ないから怖いのよ。ていうか海の中でもアンタには勝てる気がしないんだけど」

 それはいつものセーラー服に着替えたパレアだった。

「人魚の子供たちはどうした?」

「海でアタシの配下を呼び寄せて預けてきたわ。で、これはどういう状況?」

 ユーゴはそろそろ説明が面倒になってきたので、フィールエルが代わりに説明した。

「ふーん。九能城にねぇ。それじゃあアタシもついていく」

「そうか……いや、だめだろ。お前、魔王の仕事はどうするんだ? もともと人魚の子供を取り戻したところで、お前との取引は完了したはずだが」

「いいのよ、別に。仮に一年二年ほっといても問題ないわ。海は今平和だし。それにアンタ達、今回の元凶をとっちめに行くんでしょ? ならアタシがいかないと駄目じゃない。もともとアタシたち海人の問題なんだから」

「あの、この娘もあなた方の仲間ですか? 魔王とは?」

 信衛が突然現れたパレアを訝って、ユーゴに訊いた。

「ん? ああ、こいつは海に入ると、ちょっとはしゃいで元気になっちゃう子なんだ。いるだろ、そういう子。魔王ごっこが最近のマイブームらしくてな。それより、どうやって俺たちは九能城に行けばいいんだ?」

「春ちゃん。悪いけど、この方たちを案内してもらえるかい? 松風空港からなら飛行船が出てるだろうし、拙者と姉上は【スサノオ】と【リッカ】で先に戻って準備しているから」

「いいわよ」

 春が快諾すると、信衛はユーゴに向き直って言う。

「そういえば、お名前はゆうごさんと仰るんですね」

「ん? なんで俺の名前を知ってるんだよ」

「あ」

 と、フィールエルが声を漏らし、口元を手で隠した。
 そういえば先刻、信衛の前でユーゴの名前を口に出した気がする。
 ユーゴはそんなフィールエルの態度で理由を察した。

「まぁいいや。俺はユーゴ・タカトーだ」

「タカトウ? タカトウ・ユウゴさんですか?」

「ヨウゲン式に呼ぶとそうなるな」

「陽元の方ではないのですか?」

「いや、文化は似ているが別の国だ。遠い国だから、名前を言ってもわからないだろうよ」

「そうなんですね。ではこの子の案内で九能までお越しください。お待ちしております」

 信衛と雪の姉弟は、一足先に寺を出ていった。
 別れの際、雪にチラ見されたのが少し気になったユーゴだが、すぐに視線が外れたので、それ以上は気にしないことにした。

「じゃああたしが案内するね。あたしは乙賀春。さっきは戦ってたけど、それはそれってことで一つよろしくね」

 焦げ茶色のくノ一がにっこり笑って挨拶した。
 ユーゴ達もそれぞれ名乗り、ひとまず門前宿へ戻って宿を引き払うことにした。

「それにしてもお兄さん、凄いね。あのユキ姉に勝つ人なんて初めて見たよ。ユキ姉より強いってことは、もう陽元国に敵なしだよね。フィールエルさんは進之助と互角の強さなのにそんなに綺麗なんて羨ましいなぁ。あ、進之助ってのは信衛のちっちゃいころの名前ね。この国じゃ武家の男は十五歳になったら大人と認められて名前が変わるんだ。ネルちゃんはさっきの力は何なの? え、美羅有ミラール教の聖女!? それって聞いたことあるよ。偉い人なんじゃないの? それにしても聖女って大変だね、あんな暗殺者みたいな動きも覚えなきゃいけないなんて。え、ネルちゃんだけ? そうなんだ。パレアちゃんは……」

 道中、春はのべつ幕なしに喋った。とにかくお喋りな性分らしい。くノ一らしいが、これで務まるのかと他人事ながらユーゴ達は心配した。
 宿を引き払ったあと、春が空港へ向かう前にどこかで車を借りる必要があると言った。

「やっぱり自動車があるのか」

 ユーゴが言った。

「あるよ。まだ高価だからお金持ちか役人だけしか所有してないけど。空港まで結構あるし、公用車を借りたいよね」

「さっきから気になってたけど、空港とか飛行船とか、航空技術も随分と発達してるんだな」

 今度はフィールエルが質問した。

「そうだね。他の国の人が来たらいつもびっくりしてるよ」

「なぜ陽元国だけここまで発達しているのでしょうか? 数年前まで鎖国していたとは聞いていましたが……」

「他国と差がつけられたのは、ネルちゃんが言うように鎖国が原因なんだろうけど、ここ数年で急速に発展した一番の要因は、進之助だろうなぁ」

「信衛さんが? どうしてですか?」

「だって、自動車も映写機も航空機も、全部進之助の発明だもの」

「な、なにぃっ!? それは本当か!?」

「え? う、うん。そうだけど。ほら、ちょうどあの姉弟の機巧きこう武人が飛び立つとこだよ。あれも進之助の発明だよ」

 春が指差す先には、いままさに空に向かって上昇する二体の巨大ロボットがあった。

「あの赤い機巧武人が進之助の【スサノオ】で、白いのがユキ姉の【リッカ】だよ」

「マジかよ……」

「凄いでしょ? もう本当、進之助って頭がよくて、栄山のお殿様の覚えもめでたくて───」

 乙女の顔で想い人の功績を称えまくる春の声は、
ほとんどユーゴの耳に入っていなかった。
 ユーゴが探していた人物は、この陽元国の文明を急速に発達させた人物である。
 その人物は異世界人の可能性が高い。
 九能信衛はこの国の文明を発達させた人物である。
 ということは、九能信衛は異世界人の可能性が高い。
 三段論法的にこのような結論に至った。
 くそ……さっきもう少し突っ込んで話をしておくんだった。
 しかし今となっては仕方のないこと。それにどうせ今から会いに行くのだ。焦る必要はないと、ユーゴは自分を落ち着かせる。

「なぁお春ちゃんや」

「なんだい、ゆうごのあんちゃん」

「自動車があればいいんだな?」

「うん。だからいまから松風のお城に───」

「いや、その必要はない」

 港から少し離れた場所である。ここなら良いかとユーゴは異空間からアドヴェンチャー・ガンマを出庫した。

「!?」

 春は両眼が飛び出すほど目を見張った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安
ファンタジー
ごく普通のフリーター・岩倉運命は謎の少年に刺され、命を落としてしまう。そんな岩倉運命だったが、サダメ・レールステンとして転生を果たす…

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

巻き込まれた薬師の日常

白髭
ファンタジー
神に選ばれ、魔素の循環する界へと送り込まれたのは――現代の薬師。 剣も魔法も扱えない彼が憑依したのは、戦闘力ゼロの商人見習いの少年だった。 彼の武器は、知識と経験。商品を生み出し、人脈を築き、産業を広げていく。 「居場所を見つけたい」その願いが、やがて世界を変える力となる。 これは、一人の薬師が紡ぐ研究と開発、そして成長の物語。 【カクヨムでも掲載しています】 表紙は紹介文をもとに、ai【adobe firefly】で作成したものです。(参考程度に……)

「役立たず」と追放されたが、俺のスキルは【経験値委託】だ。解除した瞬間、勇者パーティーはレベル1に戻り、俺だけレベル9999になった

たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ、アレン。お前のような戦闘スキルのない寄生虫は、魔王討伐の旅には連れていけない」 幼馴染の勇者と、恋人だった聖女からそう告げられ、俺は極寒の雪山に捨てられた。 だが、彼らは勘違いしている。 俺のスキルは、単なる【魔力譲渡】じゃない。 パーティメンバーが得た経験値を管理・分配し、底上げする【経験値委託(キックバック)】という神スキルだったのだ。 俺をパーティから外すということは、契約解除を意味する。 つまり――今まで彼らが俺のおかげで得ていた「かさ増しステータス」が消え、俺が預けていた膨大な「累積経験値」が全て俺に返還されるということだ。 「スキル解除。……さて、長年の利子も含めて、たっぷり返してもらおうか」 その瞬間、俺のレベルは15から9999へ。 一方、勇者たちはレベル70から初期レベルの1へと転落した。 これは、最強の力を取り戻した俺が、雪山の守り神である銀狼(美少女)や、封印されし魔神(美少女)を従えて無双し、新たな国を作る物語。 そして、レベル1に戻ってゴブリンにも勝てなくなった元勇者たちが、絶望のどん底へ落ちていく「ざまぁ」の記録である。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...