タカシの異世界無双計画 ~銃と仲間と異世界と~

マイきぃ

文字の大きさ
30 / 138
第3章 準備を整えよう

第30話 任務の受注

しおりを挟む
 この状況で、アポロスを無視して逃げるわけにはいかない。とりあえず、おれはアポロスに近づいた。

「君の名はたしか……タカシでよかったかな」

 さわやかな声で、アポロスは話しかけてくる。

「あ、はい」

 ますます、ここから立ち去れない雰囲気だ。

「君のうわさは聞いてるよ。ハマジリ村で失踪した娘を助けてあげたんだってね。あと少し遅かったら命がなかったそうだよ」

「い、いやー。おれも少しは役に立ったのかな……ハハハ」

 こういう雰囲気は苦手だ。

「ところで君、聞いたところによると、SSSクラス任務の魔女討伐をしようとしているんだってね」

「あ、はい。おれのパーティーは今のところ3人。非戦闘員が2人だから、人数は足らないです」

「なるほどね。わたしのパーティーは、全部で16人いるんだ。主戦力は、わたしとそこにいる『パイストス』」アポロスは先程場を仕切っていた正装の体の小さい男を指さす。「そして、今ここにはいないが魔法使いの『アルミス』残りは親衛隊と一般兵だ。どうだ、わたしと組まないか?」

 とてもいい話が飛び込んできた。だが……。

「それだと、一人足りない」

 任務の受注条件は20人。戦えるのはおれとメイデンとファリスの3人。ソエルは今回、この数に入れることはできない。困り果てたところに、アポロスが一言添えてきた。

「非戦闘員のどちらかを冒険者登録してしまえばいいと思うんだ。本業の邪魔になるなら期間申請で大丈夫なはずだ」

「期間申請? そんなものがあったのか」

 確かに、それならギルドの定例会や強制任務に狩りだされて、迷惑を被ることもなさそうだ。

「まあ、組む条件としては、戦果をわたしが頂き、君はSSSクラス任務達成の権利を得る。いい条件だとは思わないか?」

 こちらに不利な条件だが、これは願ってもないチャンスだ。このアポロスという男は、勇者になるための戦果を上げる。おれはSSSクラス任務達成の権利を得る。利害は一致している。おれはアポロスに一言添えた。

「その条件、飲ませてもらう」

 その言葉を聞いたアポロスは、目を丸くして驚いていた。

「欲がないな……恐れ入ったよ。まあ……よろしく頼む」

 アポロスは、右手を出し握手を求めてきた。おれはその手を取り、アポロスと固い握手を交わした。交渉成立だ。

「じゃあ、人数の件はそれで頼むよ。任務の日が待ち遠しいな。楽しみに待つことにするよ」

 そう言うと、彼はパイストスと共に、この場を立ち去った。何人かの町娘たちは、アポロスの後を追った。いわゆる追っかけというやつだろう。

 人混みが散った後、メイデンとミツユスキーがおれの元にやってきた。

「さすがです、タカシ様。これで任務に挑戦できますね」

「おめでとうございます! 備品はわたしの方で揃えておきますからご心配なく」

 2人は、称賛してくれた。

「まあ、結果オーライだ。メイデン……この事を賢者ソエルにも伝えておいてくれないか」

「はい、わかりました」

「そういえば、ファリスはどこだ?」

「ああ、ファリスさんなら、ギルドの訓練場で見かけました」

 ミツユスキーが答える。

「ちょっと声をかけてくる」

 おれは、訓練場へと足を延ばした。

 ──ギルドの訓練場──

 ファリスは、訓練場で、自分の背丈を超える炎のように赤い大剣を振るっていた。剣が振るわれる度に、剣先から小さな炎がほとばしる。

 おれは、ファリスに任務を受注したことを伝えた。

 ファリスは、剣の素振りを止め、「大将、おめでとうっス」と、額の汗を拭って、おれに声をかけた。

「それは新しい剣か」

「はい、前のがダメになったんで、ミツユスキーの旦那に頼んでレア物を一本用意してもらったっス。『大剣《焔》』業物っス」

 ファリスは、嬉しそうに大剣を見せた。だが、すぐに落ち込んだ表情で語り始める。

「あっしのせいであんな奴に目を付けられるなんて……大将、申し訳ないっス」

「アランの事か」

「そうっス。私事に巻き込んだ形になったっス」

「まぁ、気にしても始まらない。敵対する可能性がある事がわかったなら対策を練っておけばいいだけの話だ」

 ──まあ、一度おれはアランを撤退に追い込んでいるからな。

「大将、気遣い感謝するっス。あっしも大将を見習って前向きに考えるっスよ」

「まあ、前向きってわけでもないんだけどな」

 おれとファリスは、つまらない話を軽く笑い飛ばした。

 その後、ミツユスキーとケンタ君を、期間申請で冒険者登録し、SSSクラス任務を受ける人数を確保したおれたちは出発の準備を終えた。あとは、出発の日を待つだけとなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-

いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、 見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。 そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。 泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。 やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。 臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。 ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。 彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。 けれど正人は誓う。 ――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。 ――ここは、家族の居場所だ。 癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、 命を守り、日々を紡ぎ、 “人と魔物が共に生きる未来”を探していく。 ◇ 🐉 癒やしと涙と、もふもふと。 ――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。 ――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...