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第3章 準備を整えよう
第30話 任務の受注
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この状況で、アポロスを無視して逃げるわけにはいかない。とりあえず、おれはアポロスに近づいた。
「君の名はたしか……タカシでよかったかな」
さわやかな声で、アポロスは話しかけてくる。
「あ、はい」
ますます、ここから立ち去れない雰囲気だ。
「君のうわさは聞いてるよ。ハマジリ村で失踪した娘を助けてあげたんだってね。あと少し遅かったら命がなかったそうだよ」
「い、いやー。おれも少しは役に立ったのかな……ハハハ」
こういう雰囲気は苦手だ。
「ところで君、聞いたところによると、SSSクラス任務の魔女討伐をしようとしているんだってね」
「あ、はい。おれのパーティーは今のところ3人。非戦闘員が2人だから、人数は足らないです」
「なるほどね。わたしのパーティーは、全部で16人いるんだ。主戦力は、わたしとそこにいる『パイストス』」アポロスは先程場を仕切っていた正装の体の小さい男を指さす。「そして、今ここにはいないが魔法使いの『アルミス』残りは親衛隊と一般兵だ。どうだ、わたしと組まないか?」
とてもいい話が飛び込んできた。だが……。
「それだと、一人足りない」
任務の受注条件は20人。戦えるのはおれとメイデンとファリスの3人。ソエルは今回、この数に入れることはできない。困り果てたところに、アポロスが一言添えてきた。
「非戦闘員のどちらかを冒険者登録してしまえばいいと思うんだ。本業の邪魔になるなら期間申請で大丈夫なはずだ」
「期間申請? そんなものがあったのか」
確かに、それならギルドの定例会や強制任務に狩りだされて、迷惑を被ることもなさそうだ。
「まあ、組む条件としては、戦果をわたしが頂き、君はSSSクラス任務達成の権利を得る。いい条件だとは思わないか?」
こちらに不利な条件だが、これは願ってもないチャンスだ。このアポロスという男は、勇者になるための戦果を上げる。おれはSSSクラス任務達成の権利を得る。利害は一致している。おれはアポロスに一言添えた。
「その条件、飲ませてもらう」
その言葉を聞いたアポロスは、目を丸くして驚いていた。
「欲がないな……恐れ入ったよ。まあ……よろしく頼む」
アポロスは、右手を出し握手を求めてきた。おれはその手を取り、アポロスと固い握手を交わした。交渉成立だ。
「じゃあ、人数の件はそれで頼むよ。任務の日が待ち遠しいな。楽しみに待つことにするよ」
そう言うと、彼はパイストスと共に、この場を立ち去った。何人かの町娘たちは、アポロスの後を追った。いわゆる追っかけというやつだろう。
人混みが散った後、メイデンとミツユスキーがおれの元にやってきた。
「さすがです、タカシ様。これで任務に挑戦できますね」
「おめでとうございます! 備品はわたしの方で揃えておきますからご心配なく」
2人は、称賛してくれた。
「まあ、結果オーライだ。メイデン……この事を賢者ソエルにも伝えておいてくれないか」
「はい、わかりました」
「そういえば、ファリスはどこだ?」
「ああ、ファリスさんなら、ギルドの訓練場で見かけました」
ミツユスキーが答える。
「ちょっと声をかけてくる」
おれは、訓練場へと足を延ばした。
──ギルドの訓練場──
ファリスは、訓練場で、自分の背丈を超える炎のように赤い大剣を振るっていた。剣が振るわれる度に、剣先から小さな炎がほとばしる。
おれは、ファリスに任務を受注したことを伝えた。
ファリスは、剣の素振りを止め、「大将、おめでとうっス」と、額の汗を拭って、おれに声をかけた。
「それは新しい剣か」
「はい、前のがダメになったんで、ミツユスキーの旦那に頼んでレア物を一本用意してもらったっス。『大剣《焔》』業物っス」
ファリスは、嬉しそうに大剣を見せた。だが、すぐに落ち込んだ表情で語り始める。
「あっしのせいであんな奴に目を付けられるなんて……大将、申し訳ないっス」
「アランの事か」
「そうっス。私事に巻き込んだ形になったっス」
「まぁ、気にしても始まらない。敵対する可能性がある事がわかったなら対策を練っておけばいいだけの話だ」
──まあ、一度おれはアランを撤退に追い込んでいるからな。
「大将、気遣い感謝するっス。あっしも大将を見習って前向きに考えるっスよ」
「まあ、前向きってわけでもないんだけどな」
おれとファリスは、つまらない話を軽く笑い飛ばした。
その後、ミツユスキーとケンタ君を、期間申請で冒険者登録し、SSSクラス任務を受ける人数を確保したおれたちは出発の準備を終えた。あとは、出発の日を待つだけとなった。
「君の名はたしか……タカシでよかったかな」
さわやかな声で、アポロスは話しかけてくる。
「あ、はい」
ますます、ここから立ち去れない雰囲気だ。
「君のうわさは聞いてるよ。ハマジリ村で失踪した娘を助けてあげたんだってね。あと少し遅かったら命がなかったそうだよ」
「い、いやー。おれも少しは役に立ったのかな……ハハハ」
こういう雰囲気は苦手だ。
「ところで君、聞いたところによると、SSSクラス任務の魔女討伐をしようとしているんだってね」
「あ、はい。おれのパーティーは今のところ3人。非戦闘員が2人だから、人数は足らないです」
「なるほどね。わたしのパーティーは、全部で16人いるんだ。主戦力は、わたしとそこにいる『パイストス』」アポロスは先程場を仕切っていた正装の体の小さい男を指さす。「そして、今ここにはいないが魔法使いの『アルミス』残りは親衛隊と一般兵だ。どうだ、わたしと組まないか?」
とてもいい話が飛び込んできた。だが……。
「それだと、一人足りない」
任務の受注条件は20人。戦えるのはおれとメイデンとファリスの3人。ソエルは今回、この数に入れることはできない。困り果てたところに、アポロスが一言添えてきた。
「非戦闘員のどちらかを冒険者登録してしまえばいいと思うんだ。本業の邪魔になるなら期間申請で大丈夫なはずだ」
「期間申請? そんなものがあったのか」
確かに、それならギルドの定例会や強制任務に狩りだされて、迷惑を被ることもなさそうだ。
「まあ、組む条件としては、戦果をわたしが頂き、君はSSSクラス任務達成の権利を得る。いい条件だとは思わないか?」
こちらに不利な条件だが、これは願ってもないチャンスだ。このアポロスという男は、勇者になるための戦果を上げる。おれはSSSクラス任務達成の権利を得る。利害は一致している。おれはアポロスに一言添えた。
「その条件、飲ませてもらう」
その言葉を聞いたアポロスは、目を丸くして驚いていた。
「欲がないな……恐れ入ったよ。まあ……よろしく頼む」
アポロスは、右手を出し握手を求めてきた。おれはその手を取り、アポロスと固い握手を交わした。交渉成立だ。
「じゃあ、人数の件はそれで頼むよ。任務の日が待ち遠しいな。楽しみに待つことにするよ」
そう言うと、彼はパイストスと共に、この場を立ち去った。何人かの町娘たちは、アポロスの後を追った。いわゆる追っかけというやつだろう。
人混みが散った後、メイデンとミツユスキーがおれの元にやってきた。
「さすがです、タカシ様。これで任務に挑戦できますね」
「おめでとうございます! 備品はわたしの方で揃えておきますからご心配なく」
2人は、称賛してくれた。
「まあ、結果オーライだ。メイデン……この事を賢者ソエルにも伝えておいてくれないか」
「はい、わかりました」
「そういえば、ファリスはどこだ?」
「ああ、ファリスさんなら、ギルドの訓練場で見かけました」
ミツユスキーが答える。
「ちょっと声をかけてくる」
おれは、訓練場へと足を延ばした。
──ギルドの訓練場──
ファリスは、訓練場で、自分の背丈を超える炎のように赤い大剣を振るっていた。剣が振るわれる度に、剣先から小さな炎がほとばしる。
おれは、ファリスに任務を受注したことを伝えた。
ファリスは、剣の素振りを止め、「大将、おめでとうっス」と、額の汗を拭って、おれに声をかけた。
「それは新しい剣か」
「はい、前のがダメになったんで、ミツユスキーの旦那に頼んでレア物を一本用意してもらったっス。『大剣《焔》』業物っス」
ファリスは、嬉しそうに大剣を見せた。だが、すぐに落ち込んだ表情で語り始める。
「あっしのせいであんな奴に目を付けられるなんて……大将、申し訳ないっス」
「アランの事か」
「そうっス。私事に巻き込んだ形になったっス」
「まぁ、気にしても始まらない。敵対する可能性がある事がわかったなら対策を練っておけばいいだけの話だ」
──まあ、一度おれはアランを撤退に追い込んでいるからな。
「大将、気遣い感謝するっス。あっしも大将を見習って前向きに考えるっスよ」
「まあ、前向きってわけでもないんだけどな」
おれとファリスは、つまらない話を軽く笑い飛ばした。
その後、ミツユスキーとケンタ君を、期間申請で冒険者登録し、SSSクラス任務を受ける人数を確保したおれたちは出発の準備を終えた。あとは、出発の日を待つだけとなった。
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