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第19章 社員旅行編
第294話 経営統合
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ヒカリの幼い頃からの夢「パティシエへの道」が開かれた。
しかし、それは遥かに遠く長い道のりである。
オレたちは『ルミエール・ド・エトワール』開店プロジェクトを立ち上げ、白紙状態から1つずつ検討することとした。
メンバーは、オレ、ジェスティーナ、アスナ、サクラ、リオナ、ヒカリの6名だ。
店舗設計はオレ、用地確保はアスナ、この世界向けの商品開発はジェスティーナ、サクラ、リオナ、ヒカリの4名が担当する事となった。
最初は王都にある『カフェ・バレンシア』本店に冷蔵ショーケースを置いて『ルミエール・ド・エトワール』の名前でスイーツコーナーを作り、お客さんの反応を見ながら販売する商品を決めていくことにした。
今後の展開が楽しみである。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
エメラルド・リゾート滞在中、ヒカリは、リオナ、トリン、マリンと同じヴィラで寝泊まりすることとなった。
同郷で同い年のリオナと一緒に過ごすことで、この世界の事が色々と学べるし、早く馴染めると思ったからだ。
次の日、ヒカリは朝からリオナたち3人と水着に着替えて波打ち際で水遊びしていた。
ヒカリの水着は、ビーチショップで白のワンピースを購入したそうだ。
露出少な目の清楚系の水着らしいが「中々のプロポーションでしたよ、カイト様」と聞きもしないのにトリンが教えてくれた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次の日、アンジェラ・サエマレスタがオレのオーナー専用室を訪ねて来た。
アンジェラは、サエマレスタ・リゾートの社長であり、エメラルド・リゾートにも出資している有力企業グループの若き女性経営者である。
アクアスター・リゾートとは資本提携を締結しており、アンジェラとも個人的に良好な関係を築いている間柄だ。
「カイト様、ご無沙汰しております」
アンジェラは爽やかな笑顔で、オレの前に現れた。
「アンジェラ、久しぶり。
今日はどんな用?」
「はい、カイト様に折り入ってご相談がありまして…」
「なるほど、ではこちらへお掛け下さい」
オレは、ジェスティーナ達が寛いでいるスカイラウンジの席に手招きした。
「出来れば、カイト様と2人きりでお話したいのですが…」
どうやら、オレ以外に人が居ると話にくい内容らしい。
「あの…、宜しければ私の部屋でお話ししませんか」
アンジェラは、サエマレスタ・リゾートに充てがわれたオーナー専用室へ行こうと誘った。
「分かりました」
「ありがとうございます。
それでは、参りましょう」
オレとアンジェラは17階の彼女の部屋へと向かった。
アンジェラと一緒に部屋に入ると、他には誰も居らず2人きりだった。
この部屋はオレが設計したので、造りは把握していた。
「この部屋の使い勝手はどうですか?」
「はい、とても機能的で使いやすい造りだと思います。
流石はカイト様が設計された部屋だと感心しました」
アンジェラは、自らハーブティーを淹れ、オレと自分の分をテーブルに置き対面の席へ座った。
「話と言うのは何ですか?」
「実は、2つありまして…
まずはビジネスの話から…
会長(アンジェラの祖父)とも話したのですが、サエマレスタ・リゾートをカイト様のグループに加えて頂きたいのです」
「それはまた、唐突な話ですね…
端的に言えば、経営を統合したいと言うことですか?」
「その通りです。
最近、当リゾートを単独で経営していくのは将来的に難しいと感じておりまして…
カイト様が目指しておられる新しいリゾートスタイルの波に乗らなければ、時代に取り残されてしまうと言う危機感を、私も会長も持っているのです」
「その危機感と言うのは、具体的にはどんなものですか?」
「具体的に申し上げれば、ホテルの設備です。
まずサエマレスタ・リゾートのホテルにはエレベーターが有りません。
眺望の良い最上階の部屋をスイートとしておりますが、高い宿泊代金を支払い、汗水垂らして階段を上る人は、エレベーターが当たり前となれば、いなくなると思います」
「確かに、つい最近までは、眺望を得たければ、階段の上り下りは、必須でしたからね」
「他にもあります。
カイト様が設計されたホテルには、どの部屋にもエアコンが当たり前のように設置されています。
一度エアコンの有り難みを知ってしまったお客様は、その内エアコンのないホテルを敬遠するようになるでしょう」
「なるほど…
それは一理ありますね」
「実はエレベーターやエアコンだけじゃ無いんです。
カイト様のホテルにある冷蔵庫や温水洗浄便座、ドライヤー、空気清浄機の他、厨房にある冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、電子レンジやオーブンなどの各種厨房機器など…
私共のホテルには、無い物ばかりです」
「そう言われれば、確かにそうですね」
オレは、現代日本でホテル設計の際に当たり前のように使っていた設備機器をそのままの仕様で使っているが、この世界の人からすれば、どれも未知のテクノロジーなのだ。
「予約管理システムを入れていただく際には、その見返りとして接客の技術指導でお力になれましたが、もう私たちに代わりに提供できるようなモノは何も無いのです。
それならば、潔く頭を下げてグループに入れていただき、設備の供与を受けた方が良いと、会長は申しておるのです。
会長は高齢ですから、そろそろ引退する時期であると自覚しており、サエマレスタ・リゾートをカイト様のグループに加えて頂ければ安心して引退出来ると申しております」
「う~ん、なるほど…
そこまでの覚悟がお有りでしたら、この話お受けしましょう」
「ありがとうございます。
その言葉に会長もきっと安堵することでしょう」
それからオレとアンジェラは、経営統合の具体的な内容について詰めていった。
3時間に及ぶ打合せの結果、下記の通り基本合意した。
◎持株会社アクアスター・ホールディングスを設立し、アクアスター・リゾートとサエマレスタ・リゾートの全株式を移行する
◎アクアスター・リゾート、サエマレスタ・リゾート双方とも会社は存続するが、経営の決定権はアクアスター・ホールディングスが持つ
◎持株会社の社長はオレ、アンジェラが役員として入り、その他は今後検討して決める
◎アクアスター・リゾート以外の会社も株式を持株会社へ移行させ、全て子会社化する
◎サエマレスタ・リゾートの会社名、ホテル名、役員等は現状通りとする
◎カイトの指導の元、サエマレスタ・リゾート全ホテルを順次リノベーションしてエレベーター、エアコンの設置、厨房設備等の更新を実施する
◎アクアスター・リゾートのグループホテルとして王都でサエマレスタ・リゾートのプロモーション活動を行う
◎グループ傘下の各ホテルの人事交流を定期的に実施する
◎上記以外については、アクアスター・リゾート社長のエミリアをメンバーに入れて、改めて打ち合わせする。
「経営統合の件は、概ねこんなところでしょうか。
ところで2つ目の相談って何ですか?」
オレがそう言うと、アンジェラは急にソワソワしだした。
「そ、相談と言うか、個人的なお願いなんですが…」
アンジェラは、何故か顔を赤らめた。
「経営統合するんですから、もう身内も同然じゃないですか、何か言いにくい事なんですか?」
「は、はい、実は最近眠れなくて…」
「何か悩み事があるなら相談に乗りますよ」
「ありがとうございます、実は…」
アンジェラはそこまで言いかけて、一呼吸置き、意を決したように言った。
「ここが…、疼いて眠れないんです」
そう言ってアンジェラは、自分の下腹部に手を当てた。
「えっ!」
オレは、絶句した。
「カイト様、お願いです…
この疼きを沈めて下さい」
しかし、それは遥かに遠く長い道のりである。
オレたちは『ルミエール・ド・エトワール』開店プロジェクトを立ち上げ、白紙状態から1つずつ検討することとした。
メンバーは、オレ、ジェスティーナ、アスナ、サクラ、リオナ、ヒカリの6名だ。
店舗設計はオレ、用地確保はアスナ、この世界向けの商品開発はジェスティーナ、サクラ、リオナ、ヒカリの4名が担当する事となった。
最初は王都にある『カフェ・バレンシア』本店に冷蔵ショーケースを置いて『ルミエール・ド・エトワール』の名前でスイーツコーナーを作り、お客さんの反応を見ながら販売する商品を決めていくことにした。
今後の展開が楽しみである。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
エメラルド・リゾート滞在中、ヒカリは、リオナ、トリン、マリンと同じヴィラで寝泊まりすることとなった。
同郷で同い年のリオナと一緒に過ごすことで、この世界の事が色々と学べるし、早く馴染めると思ったからだ。
次の日、ヒカリは朝からリオナたち3人と水着に着替えて波打ち際で水遊びしていた。
ヒカリの水着は、ビーチショップで白のワンピースを購入したそうだ。
露出少な目の清楚系の水着らしいが「中々のプロポーションでしたよ、カイト様」と聞きもしないのにトリンが教えてくれた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次の日、アンジェラ・サエマレスタがオレのオーナー専用室を訪ねて来た。
アンジェラは、サエマレスタ・リゾートの社長であり、エメラルド・リゾートにも出資している有力企業グループの若き女性経営者である。
アクアスター・リゾートとは資本提携を締結しており、アンジェラとも個人的に良好な関係を築いている間柄だ。
「カイト様、ご無沙汰しております」
アンジェラは爽やかな笑顔で、オレの前に現れた。
「アンジェラ、久しぶり。
今日はどんな用?」
「はい、カイト様に折り入ってご相談がありまして…」
「なるほど、ではこちらへお掛け下さい」
オレは、ジェスティーナ達が寛いでいるスカイラウンジの席に手招きした。
「出来れば、カイト様と2人きりでお話したいのですが…」
どうやら、オレ以外に人が居ると話にくい内容らしい。
「あの…、宜しければ私の部屋でお話ししませんか」
アンジェラは、サエマレスタ・リゾートに充てがわれたオーナー専用室へ行こうと誘った。
「分かりました」
「ありがとうございます。
それでは、参りましょう」
オレとアンジェラは17階の彼女の部屋へと向かった。
アンジェラと一緒に部屋に入ると、他には誰も居らず2人きりだった。
この部屋はオレが設計したので、造りは把握していた。
「この部屋の使い勝手はどうですか?」
「はい、とても機能的で使いやすい造りだと思います。
流石はカイト様が設計された部屋だと感心しました」
アンジェラは、自らハーブティーを淹れ、オレと自分の分をテーブルに置き対面の席へ座った。
「話と言うのは何ですか?」
「実は、2つありまして…
まずはビジネスの話から…
会長(アンジェラの祖父)とも話したのですが、サエマレスタ・リゾートをカイト様のグループに加えて頂きたいのです」
「それはまた、唐突な話ですね…
端的に言えば、経営を統合したいと言うことですか?」
「その通りです。
最近、当リゾートを単独で経営していくのは将来的に難しいと感じておりまして…
カイト様が目指しておられる新しいリゾートスタイルの波に乗らなければ、時代に取り残されてしまうと言う危機感を、私も会長も持っているのです」
「その危機感と言うのは、具体的にはどんなものですか?」
「具体的に申し上げれば、ホテルの設備です。
まずサエマレスタ・リゾートのホテルにはエレベーターが有りません。
眺望の良い最上階の部屋をスイートとしておりますが、高い宿泊代金を支払い、汗水垂らして階段を上る人は、エレベーターが当たり前となれば、いなくなると思います」
「確かに、つい最近までは、眺望を得たければ、階段の上り下りは、必須でしたからね」
「他にもあります。
カイト様が設計されたホテルには、どの部屋にもエアコンが当たり前のように設置されています。
一度エアコンの有り難みを知ってしまったお客様は、その内エアコンのないホテルを敬遠するようになるでしょう」
「なるほど…
それは一理ありますね」
「実はエレベーターやエアコンだけじゃ無いんです。
カイト様のホテルにある冷蔵庫や温水洗浄便座、ドライヤー、空気清浄機の他、厨房にある冷蔵庫、冷凍庫、製氷機、電子レンジやオーブンなどの各種厨房機器など…
私共のホテルには、無い物ばかりです」
「そう言われれば、確かにそうですね」
オレは、現代日本でホテル設計の際に当たり前のように使っていた設備機器をそのままの仕様で使っているが、この世界の人からすれば、どれも未知のテクノロジーなのだ。
「予約管理システムを入れていただく際には、その見返りとして接客の技術指導でお力になれましたが、もう私たちに代わりに提供できるようなモノは何も無いのです。
それならば、潔く頭を下げてグループに入れていただき、設備の供与を受けた方が良いと、会長は申しておるのです。
会長は高齢ですから、そろそろ引退する時期であると自覚しており、サエマレスタ・リゾートをカイト様のグループに加えて頂ければ安心して引退出来ると申しております」
「う~ん、なるほど…
そこまでの覚悟がお有りでしたら、この話お受けしましょう」
「ありがとうございます。
その言葉に会長もきっと安堵することでしょう」
それからオレとアンジェラは、経営統合の具体的な内容について詰めていった。
3時間に及ぶ打合せの結果、下記の通り基本合意した。
◎持株会社アクアスター・ホールディングスを設立し、アクアスター・リゾートとサエマレスタ・リゾートの全株式を移行する
◎アクアスター・リゾート、サエマレスタ・リゾート双方とも会社は存続するが、経営の決定権はアクアスター・ホールディングスが持つ
◎持株会社の社長はオレ、アンジェラが役員として入り、その他は今後検討して決める
◎アクアスター・リゾート以外の会社も株式を持株会社へ移行させ、全て子会社化する
◎サエマレスタ・リゾートの会社名、ホテル名、役員等は現状通りとする
◎カイトの指導の元、サエマレスタ・リゾート全ホテルを順次リノベーションしてエレベーター、エアコンの設置、厨房設備等の更新を実施する
◎アクアスター・リゾートのグループホテルとして王都でサエマレスタ・リゾートのプロモーション活動を行う
◎グループ傘下の各ホテルの人事交流を定期的に実施する
◎上記以外については、アクアスター・リゾート社長のエミリアをメンバーに入れて、改めて打ち合わせする。
「経営統合の件は、概ねこんなところでしょうか。
ところで2つ目の相談って何ですか?」
オレがそう言うと、アンジェラは急にソワソワしだした。
「そ、相談と言うか、個人的なお願いなんですが…」
アンジェラは、何故か顔を赤らめた。
「経営統合するんですから、もう身内も同然じゃないですか、何か言いにくい事なんですか?」
「は、はい、実は最近眠れなくて…」
「何か悩み事があるなら相談に乗りますよ」
「ありがとうございます、実は…」
アンジェラはそこまで言いかけて、一呼吸置き、意を決したように言った。
「ここが…、疼いて眠れないんです」
そう言ってアンジェラは、自分の下腹部に手を当てた。
「えっ!」
オレは、絶句した。
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