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十一
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その日の夜。眠りについたラウは、またいつの間にか白い世界に立っていた。昨日もエーリクとこの夢の中で会話をした。ただその時は随分と眠く目を開けることが難しかったが、今回は意識がはっきりとしている。
エーリクは何処だろうか。彼の存在は感じているというのに、肝心の姿がどこにも見えなかった。ラウは白い世界を当てもなく歩き、自分の片割れを探し続けた。彼と話しをしない事には現状で抱えている問題を解決することは出来ない。
「ねえ、エーリク。お願いだから出てきてよ。大事な話があるんだ」
ラヴがそう言えば、この白い夢の世界の大気が淀んだように感じた。ああ、やはり彼は、姿が見えないだけでこの世界にいるのだ。ならばとラウは、姿の見えないエーリクに語りかけた。
「エーリク。このままじゃ、俺たち駄目になってしまうと思うんだ。どこかでお互いに折り合いをつけないと、また不幸になる気がするんだ」
また、どよりと大気が沈んだ。きっと今の言葉にエーリクが怖気づいてしまったのだろう。
「俺は色々と夢を見るうちに、君の事もディーデリックの事も、もう他人とは思えなくなってしまったよ。それに君と話をしたことで、その、なんていうか」
大気が震えている。言い淀むラウの言葉をエーリクが恐れている。違う。違うんだ。決して俺は君を突き放したい訳じゃないんだ。怯えるエーリクの様子を感じ、ラウは王子様にこんな事を言っていいのかと悩んだ自分が馬鹿々々しくなった。そういえば出会いから、王子様にしてはならないような態度をしていたなと思い出したというのもある。
「俺は君の事を兄弟のように思ってるよ。王子様と農民じゃ釣り合わないかもしれないけどさ。それでも俺はそう思ってる。だから君が悲しむのは見たくないし、俺が悲しむ姿も君に見せたくない」
再び大気が震えた。
ラウは自分とエーリク。それにディーデリックの皆が、幸せになれるような道を探したい。全てが丸く収まるという事は出来ないかもしれないけれど。三者が妥協しつつも不幸にならない未来を掴みたい。その為には自分もある適度の犠牲を支払わなければならない。だからか、どこか心の中で知らずと決意をしていた。
「エーリク話し合おう。俺達は話し合わなくちゃいけない」
ラウの背後から強風が吹き荒び、それが治まると彼の目の前には、求めていたエーリクが立っていた。
「――――ラウ」
昨日の勝気な様子とは打って変わり、エーリクの顔は下を向き、苦渋の表情を浮かべていた。きっとこれからの自分の事。ラウの将来。ディーデリックへの恋慕。その他にも様々な思いが彼を苦しめているのだろう。それでもと、ラウは大きく頷いた。
「大丈夫だよエーリク。皆で幸せになろう。俺は君もディーデリックの事も、それからアブドゥルマリクの事も気に入ってるんだ。まあアブドゥルマリクとは、今のところ喧嘩しかしてないけど」
ラウが肩をすくめて茶化す様子を見たエーリクは、ただただ静かに涙をこぼした。
ああ、私は今まさにラウの人生に迷惑をかけている。それだというのに己の欲望を捨てることも出来やしない。これでは私も欲望を向けてきた彼らと同じではないか。
その事に気づくと、エーリクは情けのない己に悲嘆した。
エーリクは何処だろうか。彼の存在は感じているというのに、肝心の姿がどこにも見えなかった。ラウは白い世界を当てもなく歩き、自分の片割れを探し続けた。彼と話しをしない事には現状で抱えている問題を解決することは出来ない。
「ねえ、エーリク。お願いだから出てきてよ。大事な話があるんだ」
ラヴがそう言えば、この白い夢の世界の大気が淀んだように感じた。ああ、やはり彼は、姿が見えないだけでこの世界にいるのだ。ならばとラウは、姿の見えないエーリクに語りかけた。
「エーリク。このままじゃ、俺たち駄目になってしまうと思うんだ。どこかでお互いに折り合いをつけないと、また不幸になる気がするんだ」
また、どよりと大気が沈んだ。きっと今の言葉にエーリクが怖気づいてしまったのだろう。
「俺は色々と夢を見るうちに、君の事もディーデリックの事も、もう他人とは思えなくなってしまったよ。それに君と話をしたことで、その、なんていうか」
大気が震えている。言い淀むラウの言葉をエーリクが恐れている。違う。違うんだ。決して俺は君を突き放したい訳じゃないんだ。怯えるエーリクの様子を感じ、ラウは王子様にこんな事を言っていいのかと悩んだ自分が馬鹿々々しくなった。そういえば出会いから、王子様にしてはならないような態度をしていたなと思い出したというのもある。
「俺は君の事を兄弟のように思ってるよ。王子様と農民じゃ釣り合わないかもしれないけどさ。それでも俺はそう思ってる。だから君が悲しむのは見たくないし、俺が悲しむ姿も君に見せたくない」
再び大気が震えた。
ラウは自分とエーリク。それにディーデリックの皆が、幸せになれるような道を探したい。全てが丸く収まるという事は出来ないかもしれないけれど。三者が妥協しつつも不幸にならない未来を掴みたい。その為には自分もある適度の犠牲を支払わなければならない。だからか、どこか心の中で知らずと決意をしていた。
「エーリク話し合おう。俺達は話し合わなくちゃいけない」
ラウの背後から強風が吹き荒び、それが治まると彼の目の前には、求めていたエーリクが立っていた。
「――――ラウ」
昨日の勝気な様子とは打って変わり、エーリクの顔は下を向き、苦渋の表情を浮かべていた。きっとこれからの自分の事。ラウの将来。ディーデリックへの恋慕。その他にも様々な思いが彼を苦しめているのだろう。それでもと、ラウは大きく頷いた。
「大丈夫だよエーリク。皆で幸せになろう。俺は君もディーデリックの事も、それからアブドゥルマリクの事も気に入ってるんだ。まあアブドゥルマリクとは、今のところ喧嘩しかしてないけど」
ラウが肩をすくめて茶化す様子を見たエーリクは、ただただ静かに涙をこぼした。
ああ、私は今まさにラウの人生に迷惑をかけている。それだというのに己の欲望を捨てることも出来やしない。これでは私も欲望を向けてきた彼らと同じではないか。
その事に気づくと、エーリクは情けのない己に悲嘆した。
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