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第46話 ☆復讐回②
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「た、助けてナードッ!! 私殺されちゃうぅっッ……!」
巨大竜に噛み付かれたままセシリアが悲鳴を上げる。
ナードはそんな声を聞きながら、自身の魔法ポーチに手を伸ばしていた。
「い、痛いッ!! し、死ぬッ!? 死んじゃうからあぁぁぁっ…………ぅぐぎゃ!?」
ジャッジメントワイバーンの錨のように太い牙が、セシリアの腹をぐちゃりと抉り、その瞬間、大量の血しぶきが流れ落ちる。
「ギュゴオオォッッ!!」
最高の獲物を捕らえたかのように、ジャッジメントワイバーンはセシリアの体をかみ砕き、おいしそうに咀嚼していた。
牙の間からは、目を覆いたくなるような血が流れている。セシリアはなす術もなく絶命した。
「お、あった。これだ」
そんな光景が間近で繰り広げられていることにも我関せずといった様子で、ナードはマイペースに魔法ポーチの中から何かを取り出す。
「ギュゴオオオオオオオオッッ~~~!」
「……あれ? もう死んじゃったの?」
セシリアの亡骸を口に含みながら、ジャッジメントワイバーンが咆哮する。
今度はナードを食ってかかろうとしていた。
が。
「〝輝きを紡ぐ再生の光よ 奇跡を生み出し命をもたらし エデンの名のもとに朽ちた肉体を蘇らせよ――《ニルオール》〟」
ナードは高速で詠唱して、セシリアをすぐに蘇生させた。
「ヒッ……!?」
当然、体は捕らえられたままなので、ジャッジメントワイバーンの関心は再びセシリアへと向く。
「……い、嫌あぁっ! 助けるならちゃんと助けてよナードぉっ!」
「助ける?」
「さっきはちゃんと助けてくれたじゃないッ……!」
「いや、助けたわけじゃないよ。君には囮になってもらうから、わざと生かしておいたんだ」
「え……!?」
そう言ってナードは、今しがた魔法ポーチから取り出した物をセシリアの前にかざす。
「それは……とりかえの杖!? な、なんでナードが…………ぐぎゃぁぁっ!?」
ジャッジメントワイバーンの鋭い牙が、再びセシリアの腹部を激しく抉る。
「奪われたものは、きちんと返してもらわないとね」
想像を絶する痛みを受けるセシリアの耳に、そんなナードの声が届くはずもなかった。
◇
ダコタを打ちのめした翌日。
僕は最後の決着をつけるために、セシリアが住むアパートを訪ねていた。
けど、セシリアは留守だった。
また出直そうって思って、その場を後にしようとしたら
(え……? ちょっと待って。あれって)
窓越しから部屋の中を覗くと、そこに見覚えのある物が置かれていることに気付いた。
それは、成人の儀式で大司祭様が手にしていたとりかえの杖だった。
「なんでこんな物を、セシリアが……」
しかも、そのすぐ近くには、ピンクの容器も置かれていて。
その容器にも見覚えがあった。
暴眠草の秘水って言って、ボス魔獣を眠らせる際に使用するアイテムで普通では入手できない物。
特にとりかえの杖は、大司祭様以外が所持するのは許されないっていう神器だ。
お互いのユニークスキルを交換するっていう、間違った使い方をすれば、最悪な結果を生み出しかねない非常にナイーブな物だったりする。
ふとその時。
僕はダコタが口にしていた言葉を思い出した。
〝あいつはな、またてめーとパーティー組みたがってんだよ〟
何か良くないものを感じ取った僕は、その足で大司祭様のもとまで向かった。
◇
「〝輝きを紡ぐ再生の光よ 奇跡を生み出し命をもたらし エデンの名のもとに朽ちた肉体を蘇らせよ――《ニルオール》〟」
もう一度、高速詠唱でセシリアを蘇生させる。
「い、嫌ぁぁぁ……」
ジャッジメントワイバーンの口の中で、セシリアは意識を朦朧とさせたまま大声で訴えていた。
「ちゃんと助けてよぉ……ナード!! 早くこいつ倒してッ……! もうこんなの、辛くて耐えられないわぁ……!!」
「それは、僕のユニークスキルをちゃんと返してもらってからだよ」
「っ!?」
「君がとりかえの杖を持っていることは知ってた。だから、大司祭様に直接訊ねたんだ。どうしてそんな物をセシリアが持っているのかって。そしたら、渋々だけど本当のことを話してくれたよ。君が何をたくらんでいるのかもね」
「う、うそ……」
「もちろん、たくさんお金を払っちゃったけどね。でも、大司祭様がお金で動く人だってことは、君が一番よく分かってたんじゃない? だから、言ってみたんだ。僕もとりかえの杖がほしいって」
ノエルには悪いことをしてしまった。
大司祭様に大金を積むのに、結局、天空のティアラを質屋へ預けることになって。
「でも、【エクスハラティオ炎洞殿】をクリアすれば、同じくらいの金貨が手に入るわけだし。それで天空のティアラは取り戻すこともできるから……って、あれ? 話聞いてる?」
僕がそう投げかけても、セシリアの声は返ってこない。
「ギュゴオオォギュゴオオォッ!」
またもジャッジメントワイバーンに捕食され、セシリアの顔や体はぐちゃぐちゃで、血まみれのドロドロだ。あれだけ輝いていた美貌も今は見る影もない。
「また死んじゃったのか。これ、結構MP使うんだけどなぁ……」
そう愚痴をこぼしつつも、僕は三度目の《ニルオール》を唱えて、セシリアを生き返らせる。
「……も、もういやぁぁっ!! こんなの耐えられない……ッ! 私が本当に悪かったですぅっ……! だから、ナード! お願いします……助けてくださいぃっ……!!」
血まみれの顔を涙でくしゃくしゃにしながら、ついにセシリアは謝罪の言葉を口にした。
でも。
この程度じゃ、僕の復讐は終われない。
事前に採取しておいたB級魔光石を、とりかえの杖の上段部分にはめて聖者の法衣を羽織る。
そこでようやく、ジャッジメントワイバーンに捕食されているセシリアの方を向いた。
「ユニークスキル奪ってごめんなさひぃぃっ……! これからはなんでもしますからあぁぁっ!! 見捨てないでえぇぇっ……!!」
「ダコタもそうやって命乞いしてたよ」
「ダ、ダコタぁ……?」
「僕に挑んできたから、徹底的に打ちのめしておいた。多分、もう立ち直ることはできないんじゃないかな」
「ほ、本当にごめんなさい……ッ!! 私が間違ってましたぁぁっ……! パーティーから追放してしまって、申し訳ございませんんっっ……! 裏切ってごめんなさいぃっ! なんでもするから……だから、お願い! 助けてよぉぉぉッ……!!」
「だったら、最初から僕を裏切るようなことはしないでほしかったな」
「い、痛いぃっ……ナードォ!! このままだと私、体ぐちゃぐちゃで、本当に死んじゃうからぁぁっ……嫌ぁっッ!! まだ死にたくないのぉぉッ……ナードッお願い!! 助けてえぇぇッ!!」
「気安く僕の名前を呼ばないでくれる? もう用済みなんだからさ。目障りだし、早く死んでよ」
「ッ!!? ぐぎぎゃああああああぁああああぁぁぁ!!??」
セシリアが食い殺される時間を使って祝詞を読み上げる。
「――全知全能にして我らがエデンの父よ。今こそ神の御業を示し、我と汝の力を入れ替えよ。〝ユニークスキル交換〟」
とりかえの杖を振り下ろして最後の一文を唱えると、僕の体は眩い光に包まれた。
なんとかギリギリのところで間に合ったみたいだ。
ゴリゴリゴリゴリィィッ!!
ちょうどそのタイミングで、ジャッジメントワイバーンは血まみれとなったセシリアの頭を粉々に砕いて、まるごと飲み込んでしまう。
「ギュゴオオオオオオオオオオッッ~~~!!」
「っ、おっと!」
シュッ!
巨大な尻尾による攻撃を回避する。
これまで捕食に夢中になっていたジャッジメントワイバーンは、今度は僕に狙いを定めたようだ。
足元に転がる溶岩に気を使いながら、一旦間合いを取ってビーナスのしずくに触れる。
「……よし。ちゃんと戻ってる」
改めてランダム状態上昇の効果を確認した。
「えっと、今日のバフは<物理攻撃10倍ダメージ>だから……。ちょうどいい機会だし、あの武器使ってみようかな」
そのまま<両手剣術>の技一覧を水晶ディスプレイに表示させる。
-----------------
◆初級技-オーバーストライク/消費LP30
内容:敵1体に物理攻撃(小)を与える
威力120ダメージ
消費MP7
◆中級技-皇殺斬/消費LP75
内容:敵1体に物理攻撃(中)を与える
威力410ダメージ
消費MP21
◆上級技-セイクリッドエクスカリバー/消費LP120
内容:敵1体に物理攻撃(大)を与える
威力1,310ダメージ
消費MP63
◆奥義-烈刃滅七閃/消費LP240
内容:敵1体に物理攻撃(特大)を与える
威力2,780ダメージ
消費MP126
(解放条件:初級技~上級技をすべて習得する)
-----------------
「そっか。奥義を覚えるには、初級技から上級技まで全部習得する必要があるんだ。じゃ、ここは一気に……――!?」
ドガァァァアアーーーーーンッッ!!
こちらが操作している隙を狙って、ジャッジメントワイバーンが《ファイナルボルケーノ》を撃ち込んでくる。
「ギュゴオオオッ、ギュゴオオオッッ!」
「ッ、さすがシルワ最強の魔獣だけあるね。危ない危ない」
すぐに距離を取って《フルキュア》を唱える。
それから水晶ディスプレイを高速で操作して、<両手剣術>の初級技から上級技まで一気に覚えてしまうと、奥義を解放した。
『《烈刃滅七閃》を習得しました』
「これで準備は整ったかな。そろそろ終わりにさせてもらうよ! 《ディフェンスクラッシュ》!」
「ギュゴオオォォォッ!」
まずは相手の防御力を下げると、攻撃を回避しながら《超集中》と《サードライズ》を詠唱する。
そして、すべてのお膳立てを終えてから、魔法ポーチの中から魔剣デュエルヴァーミリオンを取り出した。
「ギュゴオオオオオオオッッ~~~!!」
真っ黒な翼を揺らしながら、ものすごい勢いで突進をしてくるジャッジメントワイバーンに、大剣を振りかざす。
むき出しの牙の奥から、燃え盛る炎が吐き出されるその瞬間、<両手剣術>奥義を繰り出した。
「その身に流れる漆黒の力ですべてを討滅せよッ! 両手剣術奥義――《烈刃滅七閃》!!」
ジュバァァァァアアァァンンンッッーーーー!!!
魔剣デュエルヴァーミリオンを力の限り振り抜くと、炸裂した衝撃波が巨大竜の体躯を真っ二つに斬り裂く。
「ギュゴオオオオオォォッッ~~~!?」
大爆発の轟音とともに、ジャッジメントワイバーンは一瞬のうちにして闇の彼方へと消え去った。
すべてが終わった後。
大剣を下ろして、その場に転がったA級魔光石に目を落とす。
そして、すべてが消え去ったフロアに目を向けると、言葉がぽつりとこぼれ落ちた。
「さよなら。僕の初恋の人」
巨大竜に噛み付かれたままセシリアが悲鳴を上げる。
ナードはそんな声を聞きながら、自身の魔法ポーチに手を伸ばしていた。
「い、痛いッ!! し、死ぬッ!? 死んじゃうからあぁぁぁっ…………ぅぐぎゃ!?」
ジャッジメントワイバーンの錨のように太い牙が、セシリアの腹をぐちゃりと抉り、その瞬間、大量の血しぶきが流れ落ちる。
「ギュゴオオォッッ!!」
最高の獲物を捕らえたかのように、ジャッジメントワイバーンはセシリアの体をかみ砕き、おいしそうに咀嚼していた。
牙の間からは、目を覆いたくなるような血が流れている。セシリアはなす術もなく絶命した。
「お、あった。これだ」
そんな光景が間近で繰り広げられていることにも我関せずといった様子で、ナードはマイペースに魔法ポーチの中から何かを取り出す。
「ギュゴオオオオオオオオッッ~~~!」
「……あれ? もう死んじゃったの?」
セシリアの亡骸を口に含みながら、ジャッジメントワイバーンが咆哮する。
今度はナードを食ってかかろうとしていた。
が。
「〝輝きを紡ぐ再生の光よ 奇跡を生み出し命をもたらし エデンの名のもとに朽ちた肉体を蘇らせよ――《ニルオール》〟」
ナードは高速で詠唱して、セシリアをすぐに蘇生させた。
「ヒッ……!?」
当然、体は捕らえられたままなので、ジャッジメントワイバーンの関心は再びセシリアへと向く。
「……い、嫌あぁっ! 助けるならちゃんと助けてよナードぉっ!」
「助ける?」
「さっきはちゃんと助けてくれたじゃないッ……!」
「いや、助けたわけじゃないよ。君には囮になってもらうから、わざと生かしておいたんだ」
「え……!?」
そう言ってナードは、今しがた魔法ポーチから取り出した物をセシリアの前にかざす。
「それは……とりかえの杖!? な、なんでナードが…………ぐぎゃぁぁっ!?」
ジャッジメントワイバーンの鋭い牙が、再びセシリアの腹部を激しく抉る。
「奪われたものは、きちんと返してもらわないとね」
想像を絶する痛みを受けるセシリアの耳に、そんなナードの声が届くはずもなかった。
◇
ダコタを打ちのめした翌日。
僕は最後の決着をつけるために、セシリアが住むアパートを訪ねていた。
けど、セシリアは留守だった。
また出直そうって思って、その場を後にしようとしたら
(え……? ちょっと待って。あれって)
窓越しから部屋の中を覗くと、そこに見覚えのある物が置かれていることに気付いた。
それは、成人の儀式で大司祭様が手にしていたとりかえの杖だった。
「なんでこんな物を、セシリアが……」
しかも、そのすぐ近くには、ピンクの容器も置かれていて。
その容器にも見覚えがあった。
暴眠草の秘水って言って、ボス魔獣を眠らせる際に使用するアイテムで普通では入手できない物。
特にとりかえの杖は、大司祭様以外が所持するのは許されないっていう神器だ。
お互いのユニークスキルを交換するっていう、間違った使い方をすれば、最悪な結果を生み出しかねない非常にナイーブな物だったりする。
ふとその時。
僕はダコタが口にしていた言葉を思い出した。
〝あいつはな、またてめーとパーティー組みたがってんだよ〟
何か良くないものを感じ取った僕は、その足で大司祭様のもとまで向かった。
◇
「〝輝きを紡ぐ再生の光よ 奇跡を生み出し命をもたらし エデンの名のもとに朽ちた肉体を蘇らせよ――《ニルオール》〟」
もう一度、高速詠唱でセシリアを蘇生させる。
「い、嫌ぁぁぁ……」
ジャッジメントワイバーンの口の中で、セシリアは意識を朦朧とさせたまま大声で訴えていた。
「ちゃんと助けてよぉ……ナード!! 早くこいつ倒してッ……! もうこんなの、辛くて耐えられないわぁ……!!」
「それは、僕のユニークスキルをちゃんと返してもらってからだよ」
「っ!?」
「君がとりかえの杖を持っていることは知ってた。だから、大司祭様に直接訊ねたんだ。どうしてそんな物をセシリアが持っているのかって。そしたら、渋々だけど本当のことを話してくれたよ。君が何をたくらんでいるのかもね」
「う、うそ……」
「もちろん、たくさんお金を払っちゃったけどね。でも、大司祭様がお金で動く人だってことは、君が一番よく分かってたんじゃない? だから、言ってみたんだ。僕もとりかえの杖がほしいって」
ノエルには悪いことをしてしまった。
大司祭様に大金を積むのに、結局、天空のティアラを質屋へ預けることになって。
「でも、【エクスハラティオ炎洞殿】をクリアすれば、同じくらいの金貨が手に入るわけだし。それで天空のティアラは取り戻すこともできるから……って、あれ? 話聞いてる?」
僕がそう投げかけても、セシリアの声は返ってこない。
「ギュゴオオォギュゴオオォッ!」
またもジャッジメントワイバーンに捕食され、セシリアの顔や体はぐちゃぐちゃで、血まみれのドロドロだ。あれだけ輝いていた美貌も今は見る影もない。
「また死んじゃったのか。これ、結構MP使うんだけどなぁ……」
そう愚痴をこぼしつつも、僕は三度目の《ニルオール》を唱えて、セシリアを生き返らせる。
「……も、もういやぁぁっ!! こんなの耐えられない……ッ! 私が本当に悪かったですぅっ……! だから、ナード! お願いします……助けてくださいぃっ……!!」
血まみれの顔を涙でくしゃくしゃにしながら、ついにセシリアは謝罪の言葉を口にした。
でも。
この程度じゃ、僕の復讐は終われない。
事前に採取しておいたB級魔光石を、とりかえの杖の上段部分にはめて聖者の法衣を羽織る。
そこでようやく、ジャッジメントワイバーンに捕食されているセシリアの方を向いた。
「ユニークスキル奪ってごめんなさひぃぃっ……! これからはなんでもしますからあぁぁっ!! 見捨てないでえぇぇっ……!!」
「ダコタもそうやって命乞いしてたよ」
「ダ、ダコタぁ……?」
「僕に挑んできたから、徹底的に打ちのめしておいた。多分、もう立ち直ることはできないんじゃないかな」
「ほ、本当にごめんなさい……ッ!! 私が間違ってましたぁぁっ……! パーティーから追放してしまって、申し訳ございませんんっっ……! 裏切ってごめんなさいぃっ! なんでもするから……だから、お願い! 助けてよぉぉぉッ……!!」
「だったら、最初から僕を裏切るようなことはしないでほしかったな」
「い、痛いぃっ……ナードォ!! このままだと私、体ぐちゃぐちゃで、本当に死んじゃうからぁぁっ……嫌ぁっッ!! まだ死にたくないのぉぉッ……ナードッお願い!! 助けてえぇぇッ!!」
「気安く僕の名前を呼ばないでくれる? もう用済みなんだからさ。目障りだし、早く死んでよ」
「ッ!!? ぐぎぎゃああああああぁああああぁぁぁ!!??」
セシリアが食い殺される時間を使って祝詞を読み上げる。
「――全知全能にして我らがエデンの父よ。今こそ神の御業を示し、我と汝の力を入れ替えよ。〝ユニークスキル交換〟」
とりかえの杖を振り下ろして最後の一文を唱えると、僕の体は眩い光に包まれた。
なんとかギリギリのところで間に合ったみたいだ。
ゴリゴリゴリゴリィィッ!!
ちょうどそのタイミングで、ジャッジメントワイバーンは血まみれとなったセシリアの頭を粉々に砕いて、まるごと飲み込んでしまう。
「ギュゴオオオオオオオオオオッッ~~~!!」
「っ、おっと!」
シュッ!
巨大な尻尾による攻撃を回避する。
これまで捕食に夢中になっていたジャッジメントワイバーンは、今度は僕に狙いを定めたようだ。
足元に転がる溶岩に気を使いながら、一旦間合いを取ってビーナスのしずくに触れる。
「……よし。ちゃんと戻ってる」
改めてランダム状態上昇の効果を確認した。
「えっと、今日のバフは<物理攻撃10倍ダメージ>だから……。ちょうどいい機会だし、あの武器使ってみようかな」
そのまま<両手剣術>の技一覧を水晶ディスプレイに表示させる。
-----------------
◆初級技-オーバーストライク/消費LP30
内容:敵1体に物理攻撃(小)を与える
威力120ダメージ
消費MP7
◆中級技-皇殺斬/消費LP75
内容:敵1体に物理攻撃(中)を与える
威力410ダメージ
消費MP21
◆上級技-セイクリッドエクスカリバー/消費LP120
内容:敵1体に物理攻撃(大)を与える
威力1,310ダメージ
消費MP63
◆奥義-烈刃滅七閃/消費LP240
内容:敵1体に物理攻撃(特大)を与える
威力2,780ダメージ
消費MP126
(解放条件:初級技~上級技をすべて習得する)
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「そっか。奥義を覚えるには、初級技から上級技まで全部習得する必要があるんだ。じゃ、ここは一気に……――!?」
ドガァァァアアーーーーーンッッ!!
こちらが操作している隙を狙って、ジャッジメントワイバーンが《ファイナルボルケーノ》を撃ち込んでくる。
「ギュゴオオオッ、ギュゴオオオッッ!」
「ッ、さすがシルワ最強の魔獣だけあるね。危ない危ない」
すぐに距離を取って《フルキュア》を唱える。
それから水晶ディスプレイを高速で操作して、<両手剣術>の初級技から上級技まで一気に覚えてしまうと、奥義を解放した。
『《烈刃滅七閃》を習得しました』
「これで準備は整ったかな。そろそろ終わりにさせてもらうよ! 《ディフェンスクラッシュ》!」
「ギュゴオオォォォッ!」
まずは相手の防御力を下げると、攻撃を回避しながら《超集中》と《サードライズ》を詠唱する。
そして、すべてのお膳立てを終えてから、魔法ポーチの中から魔剣デュエルヴァーミリオンを取り出した。
「ギュゴオオオオオオオッッ~~~!!」
真っ黒な翼を揺らしながら、ものすごい勢いで突進をしてくるジャッジメントワイバーンに、大剣を振りかざす。
むき出しの牙の奥から、燃え盛る炎が吐き出されるその瞬間、<両手剣術>奥義を繰り出した。
「その身に流れる漆黒の力ですべてを討滅せよッ! 両手剣術奥義――《烈刃滅七閃》!!」
ジュバァァァァアアァァンンンッッーーーー!!!
魔剣デュエルヴァーミリオンを力の限り振り抜くと、炸裂した衝撃波が巨大竜の体躯を真っ二つに斬り裂く。
「ギュゴオオオオオォォッッ~~~!?」
大爆発の轟音とともに、ジャッジメントワイバーンは一瞬のうちにして闇の彼方へと消え去った。
すべてが終わった後。
大剣を下ろして、その場に転がったA級魔光石に目を落とす。
そして、すべてが消え去ったフロアに目を向けると、言葉がぽつりとこぼれ落ちた。
「さよなら。僕の初恋の人」
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