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2. まんざらでもない
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――――タラリラッタリタラタラッタッター♪♪――――
――――タラリラッタリタラタラッタッター♪♪――――
これはうちの学園の予鈴。
リボンのマーチというそうだ。
軽やかな感じがして、とてもいいと思う。
これは何期か前の生徒会が、頑張って改革したということだ。
その時の生徒会長はギャルだったらしいけど、
さすがにNIGHT OF FIREのようなユーロビにはできなかったみたい。
まあ、授業の合間にパラパラ踊られても困ってしまうよな。
ちなみに本鈴は、ちゃんとキンコンカンのチャイムがなる。
――入学当初――
僕も高校生になったからには、ぜひとも友達を作りたい。
ここはイメチェンを図り、ふつうの高校生として話しかけてみよう。
まずは出身校を尋ねるのが基本だよな。
ちょっとイキった感じを出していこう。
「なあ、おまえってどこ中?」
「はっ? てめえこそなにいってんだ、キモ!」
「…………」
あれ、なんでだ? 今のどこがいけなかった?
イキり過ぎちゃったのかな?
まあいい、よし次だ。
相手の容姿を褒めるというのも基本だよな。
「ねえ、キミの髪型ってなかなかいけてるよねぇ」
「はっ? 素行が悪いからって親父の怒りを買い、反省しろと坊主にされたのに……。おまえ殺すぞ!」
「…………」
い、いや、まだだ。めげるな僕。
次だ、次がある。
「ねえねえ、僕は犬が好きなんだけど、キミって動物は好き?」
「俺に構うな。俺は二次元に生きる人間なんだ」
「…………」
「んっ……、てかおまえ吉十じゃね?」
「…………」
「俺だよ俺、最上だよ。なんだ忘れちまったのか~、小学校のとき一緒だったじゃねーか」
「ええっ? あっ! もなかじゃん。久しぶりー!」
「おうおう、思い出してくれたか。そのもなかだよ。ちなみに俺の名前は最上 中(もがみ あたる)だからな」
偶然声を掛けたそいつは、小学校の時に仲がよかったもなかだった。
彼の名前が最上 中ということから、その名前を縮めて最中というニックネームがついていた。
たしか5年生の時に、親の都合とかで隣町へ引っ越していったんだったよな。
もなかもこの学園に来てたのか。
まあ、こいつは生粋のオタクだったからな。
夏冬のコミケはもれなく参加。
休みの日にはほとんどアキバに通っていたから、勉強する時間なんてなかったのだろう。
「いや~、ほんとに何年ぶりだ?」
そんなもなかと旧交を温めていたところ、
「ぷっ……。ぷはははははは、うけるぅ~。坊主頭をほめてるヤツなんてはじめて見たし~。それになに、初対面なのに、いきなりどこ中かだってぇ。おめえは喧嘩を売ってんのかっつーの!」
「えっ…………」
突然女子から話しかけられた僕は、その場で萎縮してしまい満足に受け答えができない。
「あーた林っていったよねぇ。おもしろいギャグ聞かせてもらったし、あーしの友だち候補にしといてあげる」
「ううっ…………」
真っ赤な顔して俯いてしまう僕。
話は聞こえてるんだけど、なんて返していいのかがわからない。
「林ってコミュ障? いや、これは女に免疫がねー感じか? まあ人生なげーし、ちょっとずつ慣れていけばよくね? とりまこれからよろー」
そんな感じで一方的に話し終えた彼女は、後ろ肩ごしにバイバイと手を振って数人集まるギャル友のところへ行ってしまった。
「…………」
それをポカンとした顔で見送った僕。
『あれって確か、隣の席の佐々木さんだよね。友だちじゃなく、友だち候補って、いったいどういうこと?』
すると、そのやり取りを隣で見ていたもなかが、
「あ~あ吉十、いきなりスゴイのに目を付けられたな。こりゃ間違いなくパシリにされるわ」
『南無~』と手を合わせながら目を閉じるもなか。
「えっ……、僕これからパシリに使われちゃうの?」
「まあ林、元気出せよ。考えようによっちゃ、これってご褒美なんじゃね?」
えっ、ご褒美?
そうか……ご褒美かぁ。
『それもまあ、良いかもしんない』
などと、心のどこかで、まんざらでもない自分がいたりもする。
だって、佐々木さんってギャルだから怖いけど、めっちゃ美人なんだよね。
そんなわけで、再会を果たした友人もいたし、
パシリにされる可能性はあるけれど、ギャルの友だち候補にもなれた。
これでようやく、ぼっち生活とおさらばした僕は、胸が膨らむような学園生活をスタートさせたのだった。
あれから数日が過ぎ、
もなかこと最上 中は、僕が座る席のまえの席に堂々と座っていた。
いったいどうやって席を変えたのか? 本人に問いただすも、
「そこは大人の事情だな」と煙に巻かれ、詳しくは教えてくれなかった。
まあ、先生も周りの生徒も何も言ってこないところをみると、なにやらうまく立ち回ったのだろう。
もなかは小さい頃からオタクだったけど、人心掌握術にも長けてたりするのだ。
とにかく人をよく観察しているし、
言質がとれるように誘導する巧みな話術は大人顔負けだったりするのだ。
小学生の頃から、ビッグサイトには夏冬子供たちだけで通っていたし、お台場にある某テレビ局にはほとんど顔パス状態で入れたんだ。
なんでそんなことを知っているのか?
それはもう、もなかに振り回されて、僕も一緒に付き合わされていたからさ。
もなかの家は母子家庭で鍵っ子だったし、僕も両親がいなくて同じようなものだったからね。
「なあなあ、吉十」
「なんだよもなか」
「イラスト描いてるんだけど、ラムちゃんにピンクの縞パンって似合うと思うか?」
「ピンクか……。ボーダーなのかトラ柄なのかにもよるんじゃね」
「やっぱボーダーじゃきついかな」
「まあ、ブラとセットアップすればあるいは……。あ、やっぱナシで」
「弁天ならいけっかな?」
「赤ならいけるんじゃね」
「そっかサンキュー!」
「おう」
そして数分後。
「なあなあ吉十」
「なんだよもなか」
「縞パンの前ってやっぱシマになってるのか?」
「はー? そりゃ当然シマだろう…………。いや、ちょっと待て。まじまじと観察したことなんかないぞ」
「じゃあ、無地という可能性もあるのか?」
「いや、ちょっと待ってろ。さすがにいま教室でパンティを検索するのは拙いだろう」
………………
その後昼休みに僕たちは、しっかりとスマホで確認を取ったのだった。う~んスッキリした。
――――タラリラッタリタラタラッタッター♪♪――――
これはうちの学園の予鈴。
リボンのマーチというそうだ。
軽やかな感じがして、とてもいいと思う。
これは何期か前の生徒会が、頑張って改革したということだ。
その時の生徒会長はギャルだったらしいけど、
さすがにNIGHT OF FIREのようなユーロビにはできなかったみたい。
まあ、授業の合間にパラパラ踊られても困ってしまうよな。
ちなみに本鈴は、ちゃんとキンコンカンのチャイムがなる。
――入学当初――
僕も高校生になったからには、ぜひとも友達を作りたい。
ここはイメチェンを図り、ふつうの高校生として話しかけてみよう。
まずは出身校を尋ねるのが基本だよな。
ちょっとイキった感じを出していこう。
「なあ、おまえってどこ中?」
「はっ? てめえこそなにいってんだ、キモ!」
「…………」
あれ、なんでだ? 今のどこがいけなかった?
イキり過ぎちゃったのかな?
まあいい、よし次だ。
相手の容姿を褒めるというのも基本だよな。
「ねえ、キミの髪型ってなかなかいけてるよねぇ」
「はっ? 素行が悪いからって親父の怒りを買い、反省しろと坊主にされたのに……。おまえ殺すぞ!」
「…………」
い、いや、まだだ。めげるな僕。
次だ、次がある。
「ねえねえ、僕は犬が好きなんだけど、キミって動物は好き?」
「俺に構うな。俺は二次元に生きる人間なんだ」
「…………」
「んっ……、てかおまえ吉十じゃね?」
「…………」
「俺だよ俺、最上だよ。なんだ忘れちまったのか~、小学校のとき一緒だったじゃねーか」
「ええっ? あっ! もなかじゃん。久しぶりー!」
「おうおう、思い出してくれたか。そのもなかだよ。ちなみに俺の名前は最上 中(もがみ あたる)だからな」
偶然声を掛けたそいつは、小学校の時に仲がよかったもなかだった。
彼の名前が最上 中ということから、その名前を縮めて最中というニックネームがついていた。
たしか5年生の時に、親の都合とかで隣町へ引っ越していったんだったよな。
もなかもこの学園に来てたのか。
まあ、こいつは生粋のオタクだったからな。
夏冬のコミケはもれなく参加。
休みの日にはほとんどアキバに通っていたから、勉強する時間なんてなかったのだろう。
「いや~、ほんとに何年ぶりだ?」
そんなもなかと旧交を温めていたところ、
「ぷっ……。ぷはははははは、うけるぅ~。坊主頭をほめてるヤツなんてはじめて見たし~。それになに、初対面なのに、いきなりどこ中かだってぇ。おめえは喧嘩を売ってんのかっつーの!」
「えっ…………」
突然女子から話しかけられた僕は、その場で萎縮してしまい満足に受け答えができない。
「あーた林っていったよねぇ。おもしろいギャグ聞かせてもらったし、あーしの友だち候補にしといてあげる」
「ううっ…………」
真っ赤な顔して俯いてしまう僕。
話は聞こえてるんだけど、なんて返していいのかがわからない。
「林ってコミュ障? いや、これは女に免疫がねー感じか? まあ人生なげーし、ちょっとずつ慣れていけばよくね? とりまこれからよろー」
そんな感じで一方的に話し終えた彼女は、後ろ肩ごしにバイバイと手を振って数人集まるギャル友のところへ行ってしまった。
「…………」
それをポカンとした顔で見送った僕。
『あれって確か、隣の席の佐々木さんだよね。友だちじゃなく、友だち候補って、いったいどういうこと?』
すると、そのやり取りを隣で見ていたもなかが、
「あ~あ吉十、いきなりスゴイのに目を付けられたな。こりゃ間違いなくパシリにされるわ」
『南無~』と手を合わせながら目を閉じるもなか。
「えっ……、僕これからパシリに使われちゃうの?」
「まあ林、元気出せよ。考えようによっちゃ、これってご褒美なんじゃね?」
えっ、ご褒美?
そうか……ご褒美かぁ。
『それもまあ、良いかもしんない』
などと、心のどこかで、まんざらでもない自分がいたりもする。
だって、佐々木さんってギャルだから怖いけど、めっちゃ美人なんだよね。
そんなわけで、再会を果たした友人もいたし、
パシリにされる可能性はあるけれど、ギャルの友だち候補にもなれた。
これでようやく、ぼっち生活とおさらばした僕は、胸が膨らむような学園生活をスタートさせたのだった。
あれから数日が過ぎ、
もなかこと最上 中は、僕が座る席のまえの席に堂々と座っていた。
いったいどうやって席を変えたのか? 本人に問いただすも、
「そこは大人の事情だな」と煙に巻かれ、詳しくは教えてくれなかった。
まあ、先生も周りの生徒も何も言ってこないところをみると、なにやらうまく立ち回ったのだろう。
もなかは小さい頃からオタクだったけど、人心掌握術にも長けてたりするのだ。
とにかく人をよく観察しているし、
言質がとれるように誘導する巧みな話術は大人顔負けだったりするのだ。
小学生の頃から、ビッグサイトには夏冬子供たちだけで通っていたし、お台場にある某テレビ局にはほとんど顔パス状態で入れたんだ。
なんでそんなことを知っているのか?
それはもう、もなかに振り回されて、僕も一緒に付き合わされていたからさ。
もなかの家は母子家庭で鍵っ子だったし、僕も両親がいなくて同じようなものだったからね。
「なあなあ、吉十」
「なんだよもなか」
「イラスト描いてるんだけど、ラムちゃんにピンクの縞パンって似合うと思うか?」
「ピンクか……。ボーダーなのかトラ柄なのかにもよるんじゃね」
「やっぱボーダーじゃきついかな」
「まあ、ブラとセットアップすればあるいは……。あ、やっぱナシで」
「弁天ならいけっかな?」
「赤ならいけるんじゃね」
「そっかサンキュー!」
「おう」
そして数分後。
「なあなあ吉十」
「なんだよもなか」
「縞パンの前ってやっぱシマになってるのか?」
「はー? そりゃ当然シマだろう…………。いや、ちょっと待て。まじまじと観察したことなんかないぞ」
「じゃあ、無地という可能性もあるのか?」
「いや、ちょっと待ってろ。さすがにいま教室でパンティを検索するのは拙いだろう」
………………
その後昼休みに僕たちは、しっかりとスマホで確認を取ったのだった。う~んスッキリした。
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