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あなたの愛は今どこにありますか
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「カールス、あなたの愛は今どこにありますか?」
「…え」
驚くカールスに、メリーナは寂しそうな目をして、微笑んだ。
「答えられないのね。あなたが口にした言葉を守ってくれていたら、叶うかは別として、私はカールス、あなたと再婚したかった。そう望んだわ」
カールスは目を見開き、メリーナを見た。メリーナはバイラを見たが、目には動揺が見えたが、何も言うことはなかった。
「お引き取りください」
「待っ」
「もう話すことはないでしょう、私も家具の件以外で関わることは控えます」
茫然自失のままカールスは、ハイラード伯爵家に帰ることになった。バイラも掛ける言葉が思いつかず、黙ったまま、邸に着いた。
邸に入って、いつものソファに座っても、カールスは茫然としたままだった。バイラはしばらくはそっとして置いたが、さすがに動かない様に声を掛けた。
「カールス様…」
「ああ…現実なのか」
カールスはメリーナが話していたことが、全て嘘だったのではないかと、夢でも見ていたのではないかと考えていた。
だが、夢ではなかったのなら、リークスにもエンバーにも、話せるはずがない。
「…はい」
「彼女に笑顔をなくさせていたのは、私だったのだな」
「…私が悪いのです」
「いや、悪いのは私だよ。君のせいではない」
「そんなことは…」
そう言いながらも、バイラはホッとしていた。
メリーナがメメリーだったことには勿論驚いたが、カールスと再婚したかったという言葉に一番動揺していた。でも、離縁しますとは言えなかった。
どうしてもこの場所を、奪われたくなかった。
だが、それはメリーナも同じだったことには、バイラは気付かなかった。
カールスとバイラはエンバーに、やはりメリーナことは諦めるように言い、縁談が進んでいるようだと伝えるしかなかった。
「そんな…」
「スペンサ侯爵家の利になる縁談だそうだ、家同士のことだ。私たちは何も言えない…」
だが、メリーナの婚約が公になることはなかった。エンバーが話し掛けようにも、完全に避けられており、話をすることすら出来なかった。
「エンバー、お前も今後について考えなくてはならない。どうしたいと、思っているんだ?」
「騎士になるよ」
エンバーは努力したおかげで、騎士団へも入団できる実力を得ている。文官という手もあるが、体を動かしている方が、気が紛れると判断したからであった。
「そうか……結婚、は、どうする?」
「まだ考えられないよ」
「そうか」
嫡男ではないことから、卒業後すぐに結婚する必要はない。きっと、エンバーにとってはメリーナ以外は、まだどうでもいい存在なのだろう。
あれからも婿養子にと縁談の申し込みはあり、中にはエンバーに声を掛けていた令嬢ではなく、良い縁談もあったが、すべて断っている。
カールスとバイラは家族の前では変わらず過ごしていたが、カールスはメリーナに言われたことを考えないためにも執務室に籠るようになった。
バイラも無理もないと思い、何も言わなかった。離縁したいと言われるのではないかと、怖くて何も言えなかった。
リークスとエンバーには忙しいのだと伝えて、メリーナに指摘された写真も今更、飾ることも出来なかった。
そして、スペンサ侯爵家からメメリーの家具を引き取る日がやって来た。
リークスとエンバーには、前から引き取りたいと言われていたことにし、リークスにも構わないかと問うと、迷う素振りもなくいいと許可をした。
前なら違っただろうが、今のカールスは胸が痛んだ。
「…え」
驚くカールスに、メリーナは寂しそうな目をして、微笑んだ。
「答えられないのね。あなたが口にした言葉を守ってくれていたら、叶うかは別として、私はカールス、あなたと再婚したかった。そう望んだわ」
カールスは目を見開き、メリーナを見た。メリーナはバイラを見たが、目には動揺が見えたが、何も言うことはなかった。
「お引き取りください」
「待っ」
「もう話すことはないでしょう、私も家具の件以外で関わることは控えます」
茫然自失のままカールスは、ハイラード伯爵家に帰ることになった。バイラも掛ける言葉が思いつかず、黙ったまま、邸に着いた。
邸に入って、いつものソファに座っても、カールスは茫然としたままだった。バイラはしばらくはそっとして置いたが、さすがに動かない様に声を掛けた。
「カールス様…」
「ああ…現実なのか」
カールスはメリーナが話していたことが、全て嘘だったのではないかと、夢でも見ていたのではないかと考えていた。
だが、夢ではなかったのなら、リークスにもエンバーにも、話せるはずがない。
「…はい」
「彼女に笑顔をなくさせていたのは、私だったのだな」
「…私が悪いのです」
「いや、悪いのは私だよ。君のせいではない」
「そんなことは…」
そう言いながらも、バイラはホッとしていた。
メリーナがメメリーだったことには勿論驚いたが、カールスと再婚したかったという言葉に一番動揺していた。でも、離縁しますとは言えなかった。
どうしてもこの場所を、奪われたくなかった。
だが、それはメリーナも同じだったことには、バイラは気付かなかった。
カールスとバイラはエンバーに、やはりメリーナことは諦めるように言い、縁談が進んでいるようだと伝えるしかなかった。
「そんな…」
「スペンサ侯爵家の利になる縁談だそうだ、家同士のことだ。私たちは何も言えない…」
だが、メリーナの婚約が公になることはなかった。エンバーが話し掛けようにも、完全に避けられており、話をすることすら出来なかった。
「エンバー、お前も今後について考えなくてはならない。どうしたいと、思っているんだ?」
「騎士になるよ」
エンバーは努力したおかげで、騎士団へも入団できる実力を得ている。文官という手もあるが、体を動かしている方が、気が紛れると判断したからであった。
「そうか……結婚、は、どうする?」
「まだ考えられないよ」
「そうか」
嫡男ではないことから、卒業後すぐに結婚する必要はない。きっと、エンバーにとってはメリーナ以外は、まだどうでもいい存在なのだろう。
あれからも婿養子にと縁談の申し込みはあり、中にはエンバーに声を掛けていた令嬢ではなく、良い縁談もあったが、すべて断っている。
カールスとバイラは家族の前では変わらず過ごしていたが、カールスはメリーナに言われたことを考えないためにも執務室に籠るようになった。
バイラも無理もないと思い、何も言わなかった。離縁したいと言われるのではないかと、怖くて何も言えなかった。
リークスとエンバーには忙しいのだと伝えて、メリーナに指摘された写真も今更、飾ることも出来なかった。
そして、スペンサ侯爵家からメメリーの家具を引き取る日がやって来た。
リークスとエンバーには、前から引き取りたいと言われていたことにし、リークスにも構わないかと問うと、迷う素振りもなくいいと許可をした。
前なら違っただろうが、今のカールスは胸が痛んだ。
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