4 / 34
婚約3
しおりを挟む
「エンバー様もお久し振りでございます」
「ああ、久し振りだね。勉強が忙しいって聞いたけど、大丈夫なの?」
「覚えが悪いものですから、時間が掛かってしまうのです」
「そうなの?」
「ええ、付いていけないのです…」
しょんぼりとしてしまったメリーナに、エンバーはきっと侯爵家ともなると大変なのだろうなと、心配になった。
「減らして貰うとかは出来ないの?」
「エンバー、それは私たちが言うことではない」
「だけど」
「お兄様たちも行っていたことですから」
そう言われては、誰も何も言えなくなった。所作やマナーなどは完璧に見えるが、だからと言って勉強が出来るとは限らないと思い、黙るしかなかった。
それからは他愛のない話をし、リークスとフィアナの婚約の話になり、リークスは訊ねることにした。
「メリーナ嬢は婚約者はどんな方を考えているの?」
「侯爵家に利のある方になるでしょう」
「そうなのかい?」
「ええ、そのように教えられて来ましたから」
「好きな方はいらっしゃらないのですか?」
フィアナは侯爵家とはいえ、自分より年下の令嬢があまりに達観した様子に、思わず問い掛けてしまった。
「ええ、おりません。もし、いたとしても叶うことは難しいのではないでしょうか」
「では、ご両親が決めた方と婚約されるのですか?」
「両親は私が決めたらいいと言ってくれておりますが、一番利がある方を選ぼうと思っております」
リークスはその言葉に、エンバーが一番利があるという状況は厳しいことに気付き、エンバーも少なからず分かっているのか、ショックを受けた顔をしている。
「でも、夫婦として歩んでいく人を選んだ方がいいのではないかい?」
「私は出来が良い方ではありませんから、せめて侯爵家の利益になる方を選ぶべきだと考えております」
「だけど、まだ学園にも入学前なのだから、そこまで厳しくしなくてもいいのではないかい?」
メリーナはその言葉には答えず、首を振り、悲しい顔をした。
それ以上は聞けず、茶会は終わったが、リークスもエンバーもメリーナが追い詰められているように感じてしまった。
リークスとエンバーは、両親にそのことを伝えたが、貴族としてそう教えられることは当然であり、否定することは出来なかった。
「侯爵様に伝えては貰えませんか?」
「他家の者が、教育方針に口を出すことは出来ない」
「メリーナが可哀想です」
「勉強に躓いているだけかもしれないじゃないか」
「でも」
「侯爵家に教育について言うことは出来ない。失礼なことだよ」
メリーナがそのように考えていることは、カールスとバイラはエンバーを選ぶことはないと言っているようなものだと受け取ってしまうが、メリーナの言うことも間違ってはいない。
だが、エンバーの想いが届かないのではないかという現実は、実感していた。
「エンバーは選んでもらえるように、自分を磨きなさい」
「そうよ!勉強も、訓練もしっかりして、侯爵家の利益になることがあればいいのよ」
「うん、そうだね!分かった、頑張るよ」
何が出来るか分からないが、エンバーはまっすぐだから、しっかり頑張って、侯爵家に認めて貰えれば、メリーナも受け入れてくれるかもしれない。
スペンサ侯爵も、それならばと任せてくれる可能性も高いのではないかと考えた。
リークスもエンバーの想いが届けばいいと、自分も頑張ろうと思えた。
「私も伯爵家と縁付いたら、利益があると思って貰わないといけないね」
「そうだな、リークスもよろしく頼む」
「ああ、久し振りだね。勉強が忙しいって聞いたけど、大丈夫なの?」
「覚えが悪いものですから、時間が掛かってしまうのです」
「そうなの?」
「ええ、付いていけないのです…」
しょんぼりとしてしまったメリーナに、エンバーはきっと侯爵家ともなると大変なのだろうなと、心配になった。
「減らして貰うとかは出来ないの?」
「エンバー、それは私たちが言うことではない」
「だけど」
「お兄様たちも行っていたことですから」
そう言われては、誰も何も言えなくなった。所作やマナーなどは完璧に見えるが、だからと言って勉強が出来るとは限らないと思い、黙るしかなかった。
それからは他愛のない話をし、リークスとフィアナの婚約の話になり、リークスは訊ねることにした。
「メリーナ嬢は婚約者はどんな方を考えているの?」
「侯爵家に利のある方になるでしょう」
「そうなのかい?」
「ええ、そのように教えられて来ましたから」
「好きな方はいらっしゃらないのですか?」
フィアナは侯爵家とはいえ、自分より年下の令嬢があまりに達観した様子に、思わず問い掛けてしまった。
「ええ、おりません。もし、いたとしても叶うことは難しいのではないでしょうか」
「では、ご両親が決めた方と婚約されるのですか?」
「両親は私が決めたらいいと言ってくれておりますが、一番利がある方を選ぼうと思っております」
リークスはその言葉に、エンバーが一番利があるという状況は厳しいことに気付き、エンバーも少なからず分かっているのか、ショックを受けた顔をしている。
「でも、夫婦として歩んでいく人を選んだ方がいいのではないかい?」
「私は出来が良い方ではありませんから、せめて侯爵家の利益になる方を選ぶべきだと考えております」
「だけど、まだ学園にも入学前なのだから、そこまで厳しくしなくてもいいのではないかい?」
メリーナはその言葉には答えず、首を振り、悲しい顔をした。
それ以上は聞けず、茶会は終わったが、リークスもエンバーもメリーナが追い詰められているように感じてしまった。
リークスとエンバーは、両親にそのことを伝えたが、貴族としてそう教えられることは当然であり、否定することは出来なかった。
「侯爵様に伝えては貰えませんか?」
「他家の者が、教育方針に口を出すことは出来ない」
「メリーナが可哀想です」
「勉強に躓いているだけかもしれないじゃないか」
「でも」
「侯爵家に教育について言うことは出来ない。失礼なことだよ」
メリーナがそのように考えていることは、カールスとバイラはエンバーを選ぶことはないと言っているようなものだと受け取ってしまうが、メリーナの言うことも間違ってはいない。
だが、エンバーの想いが届かないのではないかという現実は、実感していた。
「エンバーは選んでもらえるように、自分を磨きなさい」
「そうよ!勉強も、訓練もしっかりして、侯爵家の利益になることがあればいいのよ」
「うん、そうだね!分かった、頑張るよ」
何が出来るか分からないが、エンバーはまっすぐだから、しっかり頑張って、侯爵家に認めて貰えれば、メリーナも受け入れてくれるかもしれない。
スペンサ侯爵も、それならばと任せてくれる可能性も高いのではないかと考えた。
リークスもエンバーの想いが届けばいいと、自分も頑張ろうと思えた。
「私も伯爵家と縁付いたら、利益があると思って貰わないといけないね」
「そうだな、リークスもよろしく頼む」
1,468
あなたにおすすめの小説
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする
夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、
……つもりだった。
夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。
「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」
そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。
「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」
女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。
※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。
ヘンリック(王太子)が主役となります。
また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
貴方なんて大嫌い
ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と
いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている
それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる