【完結】あなたの愛は今どこにありますか

野村にれ

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手紙

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 カールス・ハーライド様

 まず、申し訳ありませんでした

 あれだけのことを告げて置いてと、お思いでしょう

 本当は言わないことが、正しかったと分かっています

 後悔も沢山しました

 それでも、私はあのまま生きて行くことは難しかった…あなたの心変わりが悲しく、虚しく、悔しかった

 生まれて来たくはなかった

 せめて記憶がなければ、あなたと微笑み合えたかもしれない

 そんなことをずっと考えていました

 どうして生まれたのか、どうして記憶があるのか

 あなたの言うことが事実なら、生まれてきた意味すら分からなかった

 ですが、私と同じように生まれて来ただけのエンバー様にも申し訳ないことをしました

 こんな歪んでしまった私を想っていただきましたが、ぶつけてはならない怒りが勝ってしまいました

 メメリーの思いを抱えたまま、メリーナとして、あなたの息子と結婚することはどうしても出来なかった

 気持ち的にも、体的にも

 エンバー様にはエンバー様の幸せがあると、信じたいと思っております

 おそらく病気のことも、聞いたことでしょう

 医師に雑音があるが、気にするほどではない、だが何か気になればすぐに診て貰うようにと言われていました

 実はメメリーの時も、同じことを言われたことがあったのです

 出産するまで、不調はありませんでした

 その日から、もしかしたらという思いを抱えていました

 ですので、結婚が避けられないのなら、カールスが再婚したように、私も同じつもりで考えようと思うようになりました

 子どもはリークスがいるので、出来れば産みたくないと思っておりましたので、嫡男がおり、スペンサ侯爵家の利益になる方とと思っておりました

 デートライ公爵様は、全ての望みを叶えてくれる方でした

 女性関係は褒められたものではありませんでしたが、家の中には持ち込むことはなく、私にはとてもいい夫でした

 ルージスとは姉と弟のような、楽しい関係を持たせていただきました

 再婚して良かったと思っています

 あなたの気持ちが全てではないと思いますが、分かったように思いました

 あなたは、本当の、本物の幸せを見付けたのでしょう

 再度、酷いことを言ったことを謝罪させてください

 申し訳ございませんでした

 奥様のバイラ様にも、申し訳ないことをしました

 私は今回は少しでも長く生きていたかった我儘を通しました、カールスは無理でもリークスを見ていたかった

 いくら産みの母という存在だけでも、あの子の成長した姿を見れたことだけが、生まれ変わって良かったことでした

 リークスを立派に育ててくれて、ありがとうございました

 メメリーのことも、メリーナのことも、忘れて過去のことにしてください

 もしまた生まれ変わったとしても、あなたの前には現れないことを誓います

 カールスとご家族のご健康とご多幸をお祈りしています

 本当にさようなら

 この手紙は誰にも見せずに処分してください

 メメリー・ハーライド メリーナ・デートライ


 記憶よりも、何よりも証拠になるメリーナの字とメメリーの字は、左に下がって書き始める。全く同じであることにようやく気付いた。メリーナの字を見る機会がなかったが、動かない証拠はずっと近くにあったのだ。

「メメリーの字じゃないか…私が間違えるはずがない…君は…君は…忘れられるはずがないだろう…ううううう…」

 カールスは、メメリーとメリーナ二人のために声を殺して泣いた。

 一つ良いことと言っていいかは分からないが、リークスとファイナは離縁間近な状況に陥っていた。現在、両家で話し合っている最中であった。
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