285 / 344
【テイラー】余波(デリア侯爵家1)
しおりを挟む
「それは、素敵な方だと思って……」
「お姉様の最期のお別れである、葬儀で行うことですか?」
そう言われると、ラオナは何も言えなかった。上手い答えが思いつかなかったとラオナは思っていたが、実際は反論する答えがあるはずもない。
「そのような方と話をしたいと思いますか?」
「でも、お姉様の話を……」
「同じことを何度言わせる気ですか?」
お前から話など聞く気はないと、ずっと言っているのが伝わっていないのかと語気を強くした。
ベルサートとナナリーは、もしかしたら、ラオナが押し掛けてくるかもしれないと、門番にも執事にも話をしてあった。
そして、テイラーのことをラオナからは聞きたくもない。話もする価値もないと判断していた。
「でも、聞かなくていいのですか?」
「そう言っているのが、ご理解いただけませんか?」
そこへ馬車が門へやって来て、確認をして通されていった。
「こちらも予定がございますので、お帰りください」
馬車は本日の客人であり、これから楽しい話にはならないと思うが、彼がこの邸に来るのも、約二十年振りとなる。
「待ってください!話をすれば分かると思うんです」
「騎士団に連行してもらいますか?」
「っえ、どうして……」
「あなたが行っていることは、デリア侯爵家への迷惑行為です。帰らないのなら、騎士団を呼びます」
当然だが、エイク子爵夫妻からラオナが、もしかしたら手紙や押し掛けたりすることがあるかもしれないこと。面倒をお掛けしますが、追い返してください。帰らないようなら、騎士団を呼んでくださいと連絡をもらっていた。
執事が門番に話をしに行こうかと動こうとすると、ラオナは焦った。
「か、帰ります」
「そうですか、二度と来ないでください。次は即、騎士団を呼びます。そうなれば、学園にも通えなくなりますよ」
「は、い」
ラオナは不満そうな顔ではあったが、そのまま何も言わずに去って行った。
だが、そんなことはどうでもいい。
それよりも客人の案内をしなければならないと、馬車留めに急いだ。
「お待ちしておりました、ファドット伯爵」
「いえ、こちらこそ本日はありがとうございます」
訊ねて来たのは、マーク・ファドットであった。
ルーベンスがお会いしたいという手紙をもらい、許可をして、今日という日を迎えていた。そこへ、よりにもよって、ラオナがやって来たというわけである。
マーク・ファドットは執事が、二十年以上前は何度も、案内をした相手であった。
応接室に案内すると、待っていたのはルーベンスとベルサート、そして眉間に皺を寄せたナナリーだった。
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
マークは三人に向かって、深く頭を下げたまま、相手の答えを待った。
「頭を上げなさい、座ってくれ」
「はい」
ルーベンスが声を掛けると、マークはベルサートとナナリーと向き合う形で座り、ルーベンスが左側に座っていた。
「久し振りだな」
「はい、ご無沙汰しております」
ルーベンスやベルサートから声を掛けない限りは、双方が話をすることはなかった。ベルサートは、二人きりではないが、周りと一緒に時折話すことがあったが、ルーベンスは話し掛けることもなかった。
「ナビナ夫人に会ったそうだな」
「はい、お話をさせていただきました」
ルーベンスにナビナからマークと会ったことや、どのような話をしたかという手紙をもらっていた。
「墓参りか?」
「はい、行かせていただけないかとお願いに参りました」
「私は許可しよう、ベルサートとナナリーはどうだ?」
「私は構わないと思っておりますが、ナナリーどうだ?」
「ええ……」
ナナリーは視界入れないようにしていたマークを何年振りかに、じっと見つめた。
「当然ですけど、悼む気持ちがあるのですよね?」
「はい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
昨日、予約時間を間違えておりました。
申し訳ございませんでした。
「お姉様の最期のお別れである、葬儀で行うことですか?」
そう言われると、ラオナは何も言えなかった。上手い答えが思いつかなかったとラオナは思っていたが、実際は反論する答えがあるはずもない。
「そのような方と話をしたいと思いますか?」
「でも、お姉様の話を……」
「同じことを何度言わせる気ですか?」
お前から話など聞く気はないと、ずっと言っているのが伝わっていないのかと語気を強くした。
ベルサートとナナリーは、もしかしたら、ラオナが押し掛けてくるかもしれないと、門番にも執事にも話をしてあった。
そして、テイラーのことをラオナからは聞きたくもない。話もする価値もないと判断していた。
「でも、聞かなくていいのですか?」
「そう言っているのが、ご理解いただけませんか?」
そこへ馬車が門へやって来て、確認をして通されていった。
「こちらも予定がございますので、お帰りください」
馬車は本日の客人であり、これから楽しい話にはならないと思うが、彼がこの邸に来るのも、約二十年振りとなる。
「待ってください!話をすれば分かると思うんです」
「騎士団に連行してもらいますか?」
「っえ、どうして……」
「あなたが行っていることは、デリア侯爵家への迷惑行為です。帰らないのなら、騎士団を呼びます」
当然だが、エイク子爵夫妻からラオナが、もしかしたら手紙や押し掛けたりすることがあるかもしれないこと。面倒をお掛けしますが、追い返してください。帰らないようなら、騎士団を呼んでくださいと連絡をもらっていた。
執事が門番に話をしに行こうかと動こうとすると、ラオナは焦った。
「か、帰ります」
「そうですか、二度と来ないでください。次は即、騎士団を呼びます。そうなれば、学園にも通えなくなりますよ」
「は、い」
ラオナは不満そうな顔ではあったが、そのまま何も言わずに去って行った。
だが、そんなことはどうでもいい。
それよりも客人の案内をしなければならないと、馬車留めに急いだ。
「お待ちしておりました、ファドット伯爵」
「いえ、こちらこそ本日はありがとうございます」
訊ねて来たのは、マーク・ファドットであった。
ルーベンスがお会いしたいという手紙をもらい、許可をして、今日という日を迎えていた。そこへ、よりにもよって、ラオナがやって来たというわけである。
マーク・ファドットは執事が、二十年以上前は何度も、案内をした相手であった。
応接室に案内すると、待っていたのはルーベンスとベルサート、そして眉間に皺を寄せたナナリーだった。
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
マークは三人に向かって、深く頭を下げたまま、相手の答えを待った。
「頭を上げなさい、座ってくれ」
「はい」
ルーベンスが声を掛けると、マークはベルサートとナナリーと向き合う形で座り、ルーベンスが左側に座っていた。
「久し振りだな」
「はい、ご無沙汰しております」
ルーベンスやベルサートから声を掛けない限りは、双方が話をすることはなかった。ベルサートは、二人きりではないが、周りと一緒に時折話すことがあったが、ルーベンスは話し掛けることもなかった。
「ナビナ夫人に会ったそうだな」
「はい、お話をさせていただきました」
ルーベンスにナビナからマークと会ったことや、どのような話をしたかという手紙をもらっていた。
「墓参りか?」
「はい、行かせていただけないかとお願いに参りました」
「私は許可しよう、ベルサートとナナリーはどうだ?」
「私は構わないと思っておりますが、ナナリーどうだ?」
「ええ……」
ナナリーは視界入れないようにしていたマークを何年振りかに、じっと見つめた。
「当然ですけど、悼む気持ちがあるのですよね?」
「はい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
昨日、予約時間を間違えておりました。
申し訳ございませんでした。
3,663
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
間違えられた番様は、消えました。
夕立悠理
恋愛
※小説家になろう様でも投稿を始めました!お好きなサイトでお読みください※
竜王の治める国ソフームには、運命の番という存在がある。
運命の番――前世で深く愛しあい、来世も恋人になろうと誓い合った相手のことをさす。特に竜王にとっての「運命の番」は特別で、国に繁栄を与える存在でもある。
「ロイゼ、君は私の運命の番じゃない。だから、選べない」
ずっと慕っていた竜王にそう告げられた、ロイゼ・イーデン。しかし、ロイゼは、知っていた。
ロイゼこそが、竜王の『運命の番』だと。
「エルマ、私の愛しい番」
けれどそれを知らない竜王は、今日もロイゼの親友に愛を囁く。
いつの間にか、ロイゼの呼び名は、ロイゼから番の親友、そして最後は嘘つきに変わっていた。
名前を失くしたロイゼは、消えることにした。
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる