119 / 344
【テイラー】ミリオン王国6
しおりを挟む
一般的に考えれば、平民のテイラーが同席することはないのだが、ギリシスにとっては既にデリア侯爵家の養女にして、嫁がせる予定の番でしかなかった。
「止めろ!もう彼女に会うことはない」
「それは…まさか、お側に置く気はないということですか」
皇帝の正妃になる条件は変わっていないために、ギリシスはすぐに正妃にと言いたいところだが、まずは妃になることは了承し、さすがに口にする気はなかったが、番なのだからアイルーンのように、すぐに妊娠するだろうとまで考えていた。
「間違えるな、逆だ!彼女が二度と竜帝国には来たくもないということだ!」
「そのようなことはございません。番なのですから、妃になることが当然で、彼女も望んでいることでございます」
「陛下っ」
シュアリアはディオエルが、テイラーを妃にする気はない口振りに反して、ギリシスの方が問題であった。
あの夜会以来、テイラーに会ってもいないのに、自分勝手な言い草に小さな強い声で制止をしたが、ギリシスは無視をした。
「自分を死に追いやった相手の記憶があるのに、妃などと…あまりに辛く、不愉快でしかないだろう」
「それでも、番なのですから、彼女も陛下に惹かれているはずです。記憶のせいで意固地になっているだけでございます」
ギリシスに賛同し、深く頷いていたのは、今日は一切口を開くなと言われているイオリクだけであった。
その記憶が問題であるのに、どうして些細なことだと扱えることが疑問であるくらいで、シュアリアとエレサーレは頭を抱えたくなった。
「陛下、いい加減にしてください」
「そうです!」
「私は間違っていない!私は、竜帝国のことを考えて言っておるのだ、お前はたちが黙っていろ」
ギリシスは下心満載ではあったが、ディオエルのためだと言えば、問題ないと信じていた。
「ならば、そなたは自分を死に追いやった人間と結婚が出来るか?自分が殺された場所で暮らせるのだな?」
「番なのですから、勿論でございます」
ギリシスの言葉にディオエルだけでなく、シュアリアもエレサーレも呆れるしかなかった。
小心者のギリシスは、絶対に自分を死に追いやった者を、側に置くことはないと分かっているからであった。
「彼女が望むことはない。私も望んではいない。いや、私には選択肢すらないのだ。そうあるべきだと考えている」
ギリシスは自分のこととして考えることは出来ず、ディオエルの言葉を信じられないと声を上げたかったが、皇帝相手にそのようなことは出来なかった。
番を殺された責任を感じていても、犯人も罰されて、番と同じ天秤にのるようなものはない。
あの娘が何か言ったのだろうか、こんなことなら呼び出して、きちんと了承するように言いくるめておくべきだったとすら思った。
「ですが、お子様は…」
「純血種は他にもいる、そちらに変わればいいだけだ。アイルーン・デリアが亡くなってからは、そのつもりであった」
アイルーンが亡くなって、ディオエルは子どもは諦め、公爵家にも話をしていた。
公爵家はまだ分かりませんからと言っていたが、その後にローズミーが妊娠したが、結果は疑似番の子どもであったために、臣下もそのつもりで考えている。
イオリクの生家ではない公爵家には純血種は生まれており、血筋を大事にする竜帝国では皇帝家でなくとも問題がないように、公爵家を置いている。
ゆえにイオリクの生家が異例であり、意味のない存在と化している。
「ですが、彼女がいれば、後継は生まれるのではありませんか。簡単なことではありませんか」
「ギリシス国王陛下は、アイルーン・デリアの死を、何も感じていないことはよく分かった」
さすがのディオエルも、ギリシスだけがテイラーを妃にしようと考えていることが分かった。
「止めろ!もう彼女に会うことはない」
「それは…まさか、お側に置く気はないということですか」
皇帝の正妃になる条件は変わっていないために、ギリシスはすぐに正妃にと言いたいところだが、まずは妃になることは了承し、さすがに口にする気はなかったが、番なのだからアイルーンのように、すぐに妊娠するだろうとまで考えていた。
「間違えるな、逆だ!彼女が二度と竜帝国には来たくもないということだ!」
「そのようなことはございません。番なのですから、妃になることが当然で、彼女も望んでいることでございます」
「陛下っ」
シュアリアはディオエルが、テイラーを妃にする気はない口振りに反して、ギリシスの方が問題であった。
あの夜会以来、テイラーに会ってもいないのに、自分勝手な言い草に小さな強い声で制止をしたが、ギリシスは無視をした。
「自分を死に追いやった相手の記憶があるのに、妃などと…あまりに辛く、不愉快でしかないだろう」
「それでも、番なのですから、彼女も陛下に惹かれているはずです。記憶のせいで意固地になっているだけでございます」
ギリシスに賛同し、深く頷いていたのは、今日は一切口を開くなと言われているイオリクだけであった。
その記憶が問題であるのに、どうして些細なことだと扱えることが疑問であるくらいで、シュアリアとエレサーレは頭を抱えたくなった。
「陛下、いい加減にしてください」
「そうです!」
「私は間違っていない!私は、竜帝国のことを考えて言っておるのだ、お前はたちが黙っていろ」
ギリシスは下心満載ではあったが、ディオエルのためだと言えば、問題ないと信じていた。
「ならば、そなたは自分を死に追いやった人間と結婚が出来るか?自分が殺された場所で暮らせるのだな?」
「番なのですから、勿論でございます」
ギリシスの言葉にディオエルだけでなく、シュアリアもエレサーレも呆れるしかなかった。
小心者のギリシスは、絶対に自分を死に追いやった者を、側に置くことはないと分かっているからであった。
「彼女が望むことはない。私も望んではいない。いや、私には選択肢すらないのだ。そうあるべきだと考えている」
ギリシスは自分のこととして考えることは出来ず、ディオエルの言葉を信じられないと声を上げたかったが、皇帝相手にそのようなことは出来なかった。
番を殺された責任を感じていても、犯人も罰されて、番と同じ天秤にのるようなものはない。
あの娘が何か言ったのだろうか、こんなことなら呼び出して、きちんと了承するように言いくるめておくべきだったとすら思った。
「ですが、お子様は…」
「純血種は他にもいる、そちらに変わればいいだけだ。アイルーン・デリアが亡くなってからは、そのつもりであった」
アイルーンが亡くなって、ディオエルは子どもは諦め、公爵家にも話をしていた。
公爵家はまだ分かりませんからと言っていたが、その後にローズミーが妊娠したが、結果は疑似番の子どもであったために、臣下もそのつもりで考えている。
イオリクの生家ではない公爵家には純血種は生まれており、血筋を大事にする竜帝国では皇帝家でなくとも問題がないように、公爵家を置いている。
ゆえにイオリクの生家が異例であり、意味のない存在と化している。
「ですが、彼女がいれば、後継は生まれるのではありませんか。簡単なことではありませんか」
「ギリシス国王陛下は、アイルーン・デリアの死を、何も感じていないことはよく分かった」
さすがのディオエルも、ギリシスだけがテイラーを妃にしようと考えていることが分かった。
4,916
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
間違えられた番様は、消えました。
夕立悠理
恋愛
※小説家になろう様でも投稿を始めました!お好きなサイトでお読みください※
竜王の治める国ソフームには、運命の番という存在がある。
運命の番――前世で深く愛しあい、来世も恋人になろうと誓い合った相手のことをさす。特に竜王にとっての「運命の番」は特別で、国に繁栄を与える存在でもある。
「ロイゼ、君は私の運命の番じゃない。だから、選べない」
ずっと慕っていた竜王にそう告げられた、ロイゼ・イーデン。しかし、ロイゼは、知っていた。
ロイゼこそが、竜王の『運命の番』だと。
「エルマ、私の愛しい番」
けれどそれを知らない竜王は、今日もロイゼの親友に愛を囁く。
いつの間にか、ロイゼの呼び名は、ロイゼから番の親友、そして最後は嘘つきに変わっていた。
名前を失くしたロイゼは、消えることにした。
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる