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【テイラー】彼女だけの毒
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「イオリクに自白剤を使えば、どうせ分かることだから、もういいとおっしゃられて。私もこんなに無駄な時間はないと思ったわ」
「はあ……無駄だと思われて当然です」
「ええ、あの人も必要なら、自白剤を使われればいいのよ」
シュアリアは自白剤をギリシスが抵抗しても、証人を得てでも、得なくとも、竜帝国の命令ならば回避される可能性は低いだろうとまで考えていた。
それほどのことを、あの人はしてしまった。
もちろん、シュアリアも責任を取ることは覚悟している。だが、それまでにやるべきことがある。
「そうですね……本人はそんなこと考えていないのではないですか」
「でしょうね。それで、聞き取りは?証言は得られたの?」
ギリシスなどどうにでもなればいい、そんなことよりもという口振りで、シュアリアは問い掛けた。
「ええ、報告書をまとめてもらっていたら、時間が掛かってしまいました。随分、声は洩れており、心配でスタッフが聞いていたそうです」
「部屋には入らなかったの?」
誰かが助けに入ってくれればと、シュアリアは安易に考えてしまった。
「テイラー嬢に言われていたそうです。イオリクは竜帝国の公爵家の人間だから、何を言われるか分からない。私が出て来るまでは、何か聞こえても絶対に入って来ないで欲しいと。何かあれば叫びますと」
「叫んだの?」
「いいえ。叫ばなかったのか、頭を打ったのですから、叫べなかったのか」
エレサーレは何か起こっても、テイラーは願いが叶うなら、自身が別にどうなってもいいと考えていることを、払拭できなかった。
死にたいわけではない。でも生きたいわけでもない。
アイルーンと子どものこと、そして平民として生きていくと決めたこと、番、いや皇帝の妃にはならないこと。本来は強要されてもおかしくない状況になった可能性もあったが、彼女は受け入れさせた。
いや、受け入れなければ、彼女はどのような手を取ったかは分からない。
しかし、彼女の希望は通り、勝ったと言ってもいいだろう。
イオリクに、害されたかったわけではないだろう。だが、起こってしまった。だから、目に血を、毒を塗り付けた。
彼女だけの毒。
これで死んでも、やり返すことが出来た。アイルーンの時は出来なかったことを、テイラーはアイルーンを殺した者に、自分を害した者に今回はやり遂げたと思っている方が、彼女の気持ちに近い気がする。
「そうね……」
シュアリアもホテル、スタッフに万が一のことを考えて、叫ぶのもこらえたのかもしれないと考えた。貴族令嬢であった彼女は、貴族の恐ろしさを知っている。
イオリクがいくら愚かでも、今のテイラーには守る術がない。
彼女が助けを求めることは、意に反することだったのだろう。だから、守るために遠ざけた。
「そこへデリア侯爵がいらしたようで、確かにスタッフだけでは、イオリクを止められたかどうか分かりませんから」
「ええ、スタッフでイオリクよりも爵位の高い人なんていないものね」
「はい……無理もないことだと思います」
評判のいいホテルであるためにスタッフも、どうなるか想像が出来ないわけではない。叫び声が聞こえていたら、駆け付けただろうが、聞こえることはなかった。
「彼女も、イオリクに害されるようなことはないと思っていたでしょうしね」
「ええ、大事な存在なのですから、普通はそう考えます」
「話している場合ではないわね。皇帝陛下に、報告に行きましょう」
「はい!」
シュアリアとエレサーレは、報告書を持って、ディオエルの元へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
「はあ……無駄だと思われて当然です」
「ええ、あの人も必要なら、自白剤を使われればいいのよ」
シュアリアは自白剤をギリシスが抵抗しても、証人を得てでも、得なくとも、竜帝国の命令ならば回避される可能性は低いだろうとまで考えていた。
それほどのことを、あの人はしてしまった。
もちろん、シュアリアも責任を取ることは覚悟している。だが、それまでにやるべきことがある。
「そうですね……本人はそんなこと考えていないのではないですか」
「でしょうね。それで、聞き取りは?証言は得られたの?」
ギリシスなどどうにでもなればいい、そんなことよりもという口振りで、シュアリアは問い掛けた。
「ええ、報告書をまとめてもらっていたら、時間が掛かってしまいました。随分、声は洩れており、心配でスタッフが聞いていたそうです」
「部屋には入らなかったの?」
誰かが助けに入ってくれればと、シュアリアは安易に考えてしまった。
「テイラー嬢に言われていたそうです。イオリクは竜帝国の公爵家の人間だから、何を言われるか分からない。私が出て来るまでは、何か聞こえても絶対に入って来ないで欲しいと。何かあれば叫びますと」
「叫んだの?」
「いいえ。叫ばなかったのか、頭を打ったのですから、叫べなかったのか」
エレサーレは何か起こっても、テイラーは願いが叶うなら、自身が別にどうなってもいいと考えていることを、払拭できなかった。
死にたいわけではない。でも生きたいわけでもない。
アイルーンと子どものこと、そして平民として生きていくと決めたこと、番、いや皇帝の妃にはならないこと。本来は強要されてもおかしくない状況になった可能性もあったが、彼女は受け入れさせた。
いや、受け入れなければ、彼女はどのような手を取ったかは分からない。
しかし、彼女の希望は通り、勝ったと言ってもいいだろう。
イオリクに、害されたかったわけではないだろう。だが、起こってしまった。だから、目に血を、毒を塗り付けた。
彼女だけの毒。
これで死んでも、やり返すことが出来た。アイルーンの時は出来なかったことを、テイラーはアイルーンを殺した者に、自分を害した者に今回はやり遂げたと思っている方が、彼女の気持ちに近い気がする。
「そうね……」
シュアリアもホテル、スタッフに万が一のことを考えて、叫ぶのもこらえたのかもしれないと考えた。貴族令嬢であった彼女は、貴族の恐ろしさを知っている。
イオリクがいくら愚かでも、今のテイラーには守る術がない。
彼女が助けを求めることは、意に反することだったのだろう。だから、守るために遠ざけた。
「そこへデリア侯爵がいらしたようで、確かにスタッフだけでは、イオリクを止められたかどうか分かりませんから」
「ええ、スタッフでイオリクよりも爵位の高い人なんていないものね」
「はい……無理もないことだと思います」
評判のいいホテルであるためにスタッフも、どうなるか想像が出来ないわけではない。叫び声が聞こえていたら、駆け付けただろうが、聞こえることはなかった。
「彼女も、イオリクに害されるようなことはないと思っていたでしょうしね」
「ええ、大事な存在なのですから、普通はそう考えます」
「話している場合ではないわね。皇帝陛下に、報告に行きましょう」
「はい!」
シュアリアとエレサーレは、報告書を持って、ディオエルの元へ向かった。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
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