173 / 344
【テイラー】エイク子爵3
しおりを挟む
「もしや、アイルーン・デリアのことで、娘が妃になることへ不安に思っているのか?」
「私がですか?」
「ああ、違うのか?」
「テイラーが思っているのではないのですか?」
「ああ……」
そこでようやくギリシスは、エイク子爵家の者たちは、アイルーンの記憶のことを知っているのかという疑問が生じた。
だがすぐに、確信はないが、知らないのではないかと思った。
記憶のことを言った方がいいのか、言えばどうなるか。ギリシスの頭では、分からなかった。伝えるべきか、どうしようか考えていると、ソラードが口を開いた。
「身分のこともですが、前の番の方が殺されたとなれば、そう考えるのも無理はないのではないでしょうか……」
せめてテイラーに不利益にならないようにと思い、ドキドキしながらも伝えた。
「子爵はアイルーン・デリアとは関わりはなかったのか?」
「ございません」
「そうか」
その様子にやはり知らなかったと、確信を持った。
エイク子爵にとって、アイルーンは格上の繋がりのある侯爵家のお嬢様である。知ったところで、親も子も混乱しかないだろう。
しかも、テイラーの性格であれば、言わないという選択をするのではないかと、珍しく冷静に判断ができていた。
だが、ここからどうしたらいいのか。どうにかして、妃にさせなければ、このままでは共犯者のままになってしまう。
「難しいとしても話をして貰えるか。あちらは妃にと望んでいるんだ」
「命令にはならないのでしょうか」
ソラードはやはりなぜ自分に言って来るのかが、分からなかった。ギリシスなり、皇帝陛下なりが命令すれば妃になどいくらでもできるのではないか。
「それでは竜帝国に失礼だろう」
「さようでございますか、では連絡を取ってみます」
「働いている場所は知っているのか?」
「はい、存じております」
連絡を取っていないということから、働いている場所も知らないのではないかと思ったが、そこは知っていたらしい。
「いや、こちらで席を設けるようにしようではないか」
大怪我のことを伝えていないために、今、連絡を取れば、さすがに知られてしまう。そんなことになれば、皇帝陛下の耳に入ることになる。
テイラーの怪我や、怪我をした娘のことを知らない両親の気持ちなどを考えることはなく、自分のことしか考えていなかった。
「承知いたしました」
「また連絡をするから、それまで待っていてくれ」
「承知いたしました」
ギリシスは帰ることになり、フアナとラオナが待つ部屋に行くことになった。
「お父様、やっぱり間違いだったんでしょう!」
部屋に案内されると、ラオナはソラードが現れると、立ち上がって勢いよく詰め寄った。
「黙りなさい」
「黙らないわ!間違いだったんでしょって聞いてるの!」
「改めて話をすることになっただけだ」
「だから!間違いだったんじゃないの?本当にあの女が皇帝の妃になるって言うの?はあ?そんなのあり得ないでしょう?」
ラオナは目を吊り上げており、ソラードはテイラーへの嫉妬心から来ているのだろうと思ったが、王宮で話すようなことではない。
「そうだな」
「ああ!もうやっぱりそうじゃない!わざわざ付いて来たのに、無駄足だったわね!だから、絶対違うって言っていたのよ!はあ、馬鹿馬鹿しい」
その様子を黙ってギリシスとソラードの話を聞き、案内して来たマフスは、まさか娘が姉が命の危機にさらされているとも知らないことに多少胸を痛めていた。
だが、こんな妹がいたのならば、テイラーがエイク子爵家を出たいと思っても仕方ないなと感じていた。
そして、ようやくエイク子爵夫妻とラオナは帰って行った。
「すべて、聞かせてもらった」
「っえ」
部屋に残っていたギリシスの前に現れたのは、ディオエルであった。
「私がですか?」
「ああ、違うのか?」
「テイラーが思っているのではないのですか?」
「ああ……」
そこでようやくギリシスは、エイク子爵家の者たちは、アイルーンの記憶のことを知っているのかという疑問が生じた。
だがすぐに、確信はないが、知らないのではないかと思った。
記憶のことを言った方がいいのか、言えばどうなるか。ギリシスの頭では、分からなかった。伝えるべきか、どうしようか考えていると、ソラードが口を開いた。
「身分のこともですが、前の番の方が殺されたとなれば、そう考えるのも無理はないのではないでしょうか……」
せめてテイラーに不利益にならないようにと思い、ドキドキしながらも伝えた。
「子爵はアイルーン・デリアとは関わりはなかったのか?」
「ございません」
「そうか」
その様子にやはり知らなかったと、確信を持った。
エイク子爵にとって、アイルーンは格上の繋がりのある侯爵家のお嬢様である。知ったところで、親も子も混乱しかないだろう。
しかも、テイラーの性格であれば、言わないという選択をするのではないかと、珍しく冷静に判断ができていた。
だが、ここからどうしたらいいのか。どうにかして、妃にさせなければ、このままでは共犯者のままになってしまう。
「難しいとしても話をして貰えるか。あちらは妃にと望んでいるんだ」
「命令にはならないのでしょうか」
ソラードはやはりなぜ自分に言って来るのかが、分からなかった。ギリシスなり、皇帝陛下なりが命令すれば妃になどいくらでもできるのではないか。
「それでは竜帝国に失礼だろう」
「さようでございますか、では連絡を取ってみます」
「働いている場所は知っているのか?」
「はい、存じております」
連絡を取っていないということから、働いている場所も知らないのではないかと思ったが、そこは知っていたらしい。
「いや、こちらで席を設けるようにしようではないか」
大怪我のことを伝えていないために、今、連絡を取れば、さすがに知られてしまう。そんなことになれば、皇帝陛下の耳に入ることになる。
テイラーの怪我や、怪我をした娘のことを知らない両親の気持ちなどを考えることはなく、自分のことしか考えていなかった。
「承知いたしました」
「また連絡をするから、それまで待っていてくれ」
「承知いたしました」
ギリシスは帰ることになり、フアナとラオナが待つ部屋に行くことになった。
「お父様、やっぱり間違いだったんでしょう!」
部屋に案内されると、ラオナはソラードが現れると、立ち上がって勢いよく詰め寄った。
「黙りなさい」
「黙らないわ!間違いだったんでしょって聞いてるの!」
「改めて話をすることになっただけだ」
「だから!間違いだったんじゃないの?本当にあの女が皇帝の妃になるって言うの?はあ?そんなのあり得ないでしょう?」
ラオナは目を吊り上げており、ソラードはテイラーへの嫉妬心から来ているのだろうと思ったが、王宮で話すようなことではない。
「そうだな」
「ああ!もうやっぱりそうじゃない!わざわざ付いて来たのに、無駄足だったわね!だから、絶対違うって言っていたのよ!はあ、馬鹿馬鹿しい」
その様子を黙ってギリシスとソラードの話を聞き、案内して来たマフスは、まさか娘が姉が命の危機にさらされているとも知らないことに多少胸を痛めていた。
だが、こんな妹がいたのならば、テイラーがエイク子爵家を出たいと思っても仕方ないなと感じていた。
そして、ようやくエイク子爵夫妻とラオナは帰って行った。
「すべて、聞かせてもらった」
「っえ」
部屋に残っていたギリシスの前に現れたのは、ディオエルであった。
4,547
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
間違えられた番様は、消えました。
夕立悠理
恋愛
※小説家になろう様でも投稿を始めました!お好きなサイトでお読みください※
竜王の治める国ソフームには、運命の番という存在がある。
運命の番――前世で深く愛しあい、来世も恋人になろうと誓い合った相手のことをさす。特に竜王にとっての「運命の番」は特別で、国に繁栄を与える存在でもある。
「ロイゼ、君は私の運命の番じゃない。だから、選べない」
ずっと慕っていた竜王にそう告げられた、ロイゼ・イーデン。しかし、ロイゼは、知っていた。
ロイゼこそが、竜王の『運命の番』だと。
「エルマ、私の愛しい番」
けれどそれを知らない竜王は、今日もロイゼの親友に愛を囁く。
いつの間にか、ロイゼの呼び名は、ロイゼから番の親友、そして最後は嘘つきに変わっていた。
名前を失くしたロイゼは、消えることにした。
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる