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【テイラー】手紙
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ルーベンスは驚きはしたが、それよりもテイラーの字はアイルーンの字にそっくりで、また目頭が熱くなった。そして、ディオエルへ手紙を差し出した。
「皇帝陛下、こちらを」
ディオエルは咳ばらいをしながら、ルーベンスを見つめた。
「テイラーの机にあった手紙です」
言っていた手紙かと、力なく頷いた。ルーベンスも受け取りたくはなかっただろうと、心中を察した。いずれ叶うなら読ませてもらいたいと考えた。
「皇帝陛下の名前が書いてあります」
「ん?」
ディオエルは、自分宛てだとは一切思っておらず、慌てて立ち上がった。ディオエルにとって、初めて見るテイラーの書いた自分の名前であった。
言葉にならず、差し出された手紙を受け取る手が震え、触れることができず、思わず伸ばした手を握りしめてしまった。
そして、テイラーの顔を見つめた。
「だが、彼女はそのようなことは言っていなかった」
テイラーが言葉を残さなかったことから、受け取っていいのか、渡すつもりなどなかったのではないかと、ディオエルは躊躇していた。
「ポーラ、机にはどんな風に入っていた?」
ルーベンスは、取りに行かせたメイドであるポーラに訊ねた。
「はい。机の引き出しを開けると、王妃陛下と侯爵様の手紙は手前に並べて入れてあり、皇帝陛下の手紙はその奥に入れてありました」
「だそうです」
「受け取ってもいいのだろうか」
「何が書いてあるかは分かりませんが、これが本当に最後です。読みたいのではありませんか?」
ルーベンスは自分だったら、読まないという選択はできない。
「それはもちろんだが……」
「皇帝陛下には何が書いてあっても、受け止める覚悟がおありではありませんか」
「ああ」
ようやく、ディオエルは手紙を自分の手に納めることができた。
何が書いてあっても、もしも願いが書いてあるならば、必ず叶えようと思った。
ルーベンスはシュアリア宛ての手紙を、エレサーレに渡すことにした。
「王太子殿下、こちらを王妃陛下にお渡しください」
「承知しました。私は王宮に戻らせてもらいます。何かあったら、すぐに知らせてください。王家で対応します」
ギリシスのしたことを考えれば、償いなどにはどう考えても足りないが、ホテルのこと、エイク子爵のことも王家で対応しようと思っており、シュアリアも同じ気持ちだろうと早く届けようと誓った。
「ありがとうございます」
エレサーレは、シュアリア宛ての手紙を大事にそっと握った。
「ライシード様、私は王宮に戻ります。何かあればお知らせください」
「承知いたしました」
さすがに手紙をじっと見つめるディオエルに声を掛けられなかったために、エレサーレはライシードに声を掛けて、王宮に戻った。
シュアリア宛ての手紙を抱えて、王宮に戻ったエレサーレは、シュアリアの元へ急いだ。
「母上!」
「入って」
重たく感じる扉を開けると、シュアリアは立ち上がって、両手を重ねていた。
その手は僅かに震えており、私から一命は取り留めましたという言葉を、願っている顔だった。
だが、エレサーレはシュアリアをじっと見つめ、首を横に振った。
「っう、あ」
言葉にならず、シュアリアは両手で顔を覆い、崩れ落ちた。覚悟はしていたが、その覚悟は間違いだったと思いたかった。
「皇帝陛下は間に合いませんでした。頭の中で出血が起こったのだろうということでした」
「出血……」
「医師も何もできなかったと、悔しそうにしておりました」
「一度も目覚めなかったの?」
「最期に、あの子の隣にと申して、亡くなったそうです」
その言葉を口にすると、エレサーレも、ずっとこらえていた涙が零れてしまった。
「申し訳ございません」
涙を拭いながら、エレサーレは謝った。ギリシスの息子として、泣くことは許されないと思い、苦しかった。
「皇帝陛下、こちらを」
ディオエルは咳ばらいをしながら、ルーベンスを見つめた。
「テイラーの机にあった手紙です」
言っていた手紙かと、力なく頷いた。ルーベンスも受け取りたくはなかっただろうと、心中を察した。いずれ叶うなら読ませてもらいたいと考えた。
「皇帝陛下の名前が書いてあります」
「ん?」
ディオエルは、自分宛てだとは一切思っておらず、慌てて立ち上がった。ディオエルにとって、初めて見るテイラーの書いた自分の名前であった。
言葉にならず、差し出された手紙を受け取る手が震え、触れることができず、思わず伸ばした手を握りしめてしまった。
そして、テイラーの顔を見つめた。
「だが、彼女はそのようなことは言っていなかった」
テイラーが言葉を残さなかったことから、受け取っていいのか、渡すつもりなどなかったのではないかと、ディオエルは躊躇していた。
「ポーラ、机にはどんな風に入っていた?」
ルーベンスは、取りに行かせたメイドであるポーラに訊ねた。
「はい。机の引き出しを開けると、王妃陛下と侯爵様の手紙は手前に並べて入れてあり、皇帝陛下の手紙はその奥に入れてありました」
「だそうです」
「受け取ってもいいのだろうか」
「何が書いてあるかは分かりませんが、これが本当に最後です。読みたいのではありませんか?」
ルーベンスは自分だったら、読まないという選択はできない。
「それはもちろんだが……」
「皇帝陛下には何が書いてあっても、受け止める覚悟がおありではありませんか」
「ああ」
ようやく、ディオエルは手紙を自分の手に納めることができた。
何が書いてあっても、もしも願いが書いてあるならば、必ず叶えようと思った。
ルーベンスはシュアリア宛ての手紙を、エレサーレに渡すことにした。
「王太子殿下、こちらを王妃陛下にお渡しください」
「承知しました。私は王宮に戻らせてもらいます。何かあったら、すぐに知らせてください。王家で対応します」
ギリシスのしたことを考えれば、償いなどにはどう考えても足りないが、ホテルのこと、エイク子爵のことも王家で対応しようと思っており、シュアリアも同じ気持ちだろうと早く届けようと誓った。
「ありがとうございます」
エレサーレは、シュアリア宛ての手紙を大事にそっと握った。
「ライシード様、私は王宮に戻ります。何かあればお知らせください」
「承知いたしました」
さすがに手紙をじっと見つめるディオエルに声を掛けられなかったために、エレサーレはライシードに声を掛けて、王宮に戻った。
シュアリア宛ての手紙を抱えて、王宮に戻ったエレサーレは、シュアリアの元へ急いだ。
「母上!」
「入って」
重たく感じる扉を開けると、シュアリアは立ち上がって、両手を重ねていた。
その手は僅かに震えており、私から一命は取り留めましたという言葉を、願っている顔だった。
だが、エレサーレはシュアリアをじっと見つめ、首を横に振った。
「っう、あ」
言葉にならず、シュアリアは両手で顔を覆い、崩れ落ちた。覚悟はしていたが、その覚悟は間違いだったと思いたかった。
「皇帝陛下は間に合いませんでした。頭の中で出血が起こったのだろうということでした」
「出血……」
「医師も何もできなかったと、悔しそうにしておりました」
「一度も目覚めなかったの?」
「最期に、あの子の隣にと申して、亡くなったそうです」
その言葉を口にすると、エレサーレも、ずっとこらえていた涙が零れてしまった。
「申し訳ございません」
涙を拭いながら、エレサーレは謝った。ギリシスの息子として、泣くことは許されないと思い、苦しかった。
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