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【テイラー】手紙(シュアリア王妃陛下)1
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「デリア侯爵邸では、こらえたのですが……申し訳ございません」
エレサーレは口にすると、苦しさが限界だった。
「誰も望んでいない結末よ……どうして……」
シュアリアもギリシスの妻である以上、無理もない、仕方ないという言葉をエレサーレに使うわけにはいかなかった。
「ひとりで死なせなかっただけでも……」
医師も付いていただろうが、デリア侯爵家の方たちが、そばにいただろう。
良かったという言葉は続けられなかったが、小刻みにそう言いながら、頷くしかなかった。
「デリア侯爵に何かあれば、王家で対応すると伝えてあります」
「ええ、もちろんよ」
「ホテル側やエイク子爵も、こちらで対応した方がいいのではないかと思いまして」
「そうね、デリア侯爵がどう考えるかにも寄りますが、その方がいいのであれば、そのようにしましょう」
「はい」
ホテル側も、エイク子爵もデリア侯爵が話を付けても納得するだろう。だが、王家から話すことも可能である。
「テイラー嬢の母上宛ての手紙をデリア侯爵が取りに行かせて、預かって来ました」
「分かりました」
エレサーレが手紙を差し出すと、シュアリアはエレサーレが大事そうに抱えていることには気付いていたために、こんな形で読みたくなかったと思いながらも、両手でしっかりと受け取った。
辛そうな顔をしているエレサーレも座らせて、その前で読むことにした。
―シュアリア王妃陛下
私に何かあった時にのために、恐れながら、気持ちを残させてください。
私は今、どのような状況でしょうか。
もしかしたら、ミリオン王国にはいないかもしれませんが、頼らせていただくことをお許しください。
犯罪に巻き込まれた、犯罪を犯した、ミリオン王国からいなくなって行方不明など、私の身に何かあった場合は、如何なる場合でも、ありのままの平民のテイラーとして扱ってください。
私は生まれてから、ずっと違和感がありました。そして、物心つく頃にはアイルーンの記憶を理解しました。
それからは、殺されたアイルーンとお腹の子の使者のような気持ちでした。
幸運と言っていいのかは分かりませんが、事件のことを暴くチャンスが巡って来ました。こんな日が来ることは決まっていたのかもしれません。
事件のことが裁かれたことで、どこか成し遂げたような気分でした。
だからと言って、テイラーの人生を歩むことが嫌だったわけではありません。ホテルの仕事も好きでした。ですが、アイルーンの皮を被ったテイラーのような気持ちはいつまで経っても抜けませんでした。
どちらでもある、どちらでもないような、答えが出ないままです。
ですが、不幸だと感じていたわけではありません。
あの子に恥じないように、生きていこうと思っています。
私がどのような状況か分かりませんが、アイルーンの記憶のことも、ディオエル皇帝陛下の番であることも、必要があれば公にしてください。
エイク子爵家のことも、問題になるようなことがあれば、配慮などは希望しません。正しく判断してください。
こんなにも書き記しておいて、気持ちを書いただけで、全て叶えて欲しいということではありません。
私は子爵家から籍を抜いたただの平民です。
ただ、万が一にも再び理不尽な目に遭うことがあれば、アイルーンの時のように、何も言えないまま消えることだけはもうしたくなかったのです。
恨みながら終えることは、二度としたくなかったのです。
ですので、王妃陛下とデリア侯爵へ託させていただきます。
立場も弁えず平民の私が、このようなことを王妃陛下に頼り、大変失礼だと理解しておりますが、どうかよろしくお願いいたします。
エレサーレ王太子殿下にも、ありがとうございましたとお伝えください。
王妃陛下のご健康とご多幸をお祈りいたします。
―テイラー
読み終えると、シュアリアは耐えられず涙を零していた。
エレサーレは口にすると、苦しさが限界だった。
「誰も望んでいない結末よ……どうして……」
シュアリアもギリシスの妻である以上、無理もない、仕方ないという言葉をエレサーレに使うわけにはいかなかった。
「ひとりで死なせなかっただけでも……」
医師も付いていただろうが、デリア侯爵家の方たちが、そばにいただろう。
良かったという言葉は続けられなかったが、小刻みにそう言いながら、頷くしかなかった。
「デリア侯爵に何かあれば、王家で対応すると伝えてあります」
「ええ、もちろんよ」
「ホテル側やエイク子爵も、こちらで対応した方がいいのではないかと思いまして」
「そうね、デリア侯爵がどう考えるかにも寄りますが、その方がいいのであれば、そのようにしましょう」
「はい」
ホテル側も、エイク子爵もデリア侯爵が話を付けても納得するだろう。だが、王家から話すことも可能である。
「テイラー嬢の母上宛ての手紙をデリア侯爵が取りに行かせて、預かって来ました」
「分かりました」
エレサーレが手紙を差し出すと、シュアリアはエレサーレが大事そうに抱えていることには気付いていたために、こんな形で読みたくなかったと思いながらも、両手でしっかりと受け取った。
辛そうな顔をしているエレサーレも座らせて、その前で読むことにした。
―シュアリア王妃陛下
私に何かあった時にのために、恐れながら、気持ちを残させてください。
私は今、どのような状況でしょうか。
もしかしたら、ミリオン王国にはいないかもしれませんが、頼らせていただくことをお許しください。
犯罪に巻き込まれた、犯罪を犯した、ミリオン王国からいなくなって行方不明など、私の身に何かあった場合は、如何なる場合でも、ありのままの平民のテイラーとして扱ってください。
私は生まれてから、ずっと違和感がありました。そして、物心つく頃にはアイルーンの記憶を理解しました。
それからは、殺されたアイルーンとお腹の子の使者のような気持ちでした。
幸運と言っていいのかは分かりませんが、事件のことを暴くチャンスが巡って来ました。こんな日が来ることは決まっていたのかもしれません。
事件のことが裁かれたことで、どこか成し遂げたような気分でした。
だからと言って、テイラーの人生を歩むことが嫌だったわけではありません。ホテルの仕事も好きでした。ですが、アイルーンの皮を被ったテイラーのような気持ちはいつまで経っても抜けませんでした。
どちらでもある、どちらでもないような、答えが出ないままです。
ですが、不幸だと感じていたわけではありません。
あの子に恥じないように、生きていこうと思っています。
私がどのような状況か分かりませんが、アイルーンの記憶のことも、ディオエル皇帝陛下の番であることも、必要があれば公にしてください。
エイク子爵家のことも、問題になるようなことがあれば、配慮などは希望しません。正しく判断してください。
こんなにも書き記しておいて、気持ちを書いただけで、全て叶えて欲しいということではありません。
私は子爵家から籍を抜いたただの平民です。
ただ、万が一にも再び理不尽な目に遭うことがあれば、アイルーンの時のように、何も言えないまま消えることだけはもうしたくなかったのです。
恨みながら終えることは、二度としたくなかったのです。
ですので、王妃陛下とデリア侯爵へ託させていただきます。
立場も弁えず平民の私が、このようなことを王妃陛下に頼り、大変失礼だと理解しておりますが、どうかよろしくお願いいたします。
エレサーレ王太子殿下にも、ありがとうございましたとお伝えください。
王妃陛下のご健康とご多幸をお祈りいたします。
―テイラー
読み終えると、シュアリアは耐えられず涙を零していた。
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