【完結】ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません

野村にれ

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浮かれる男爵令嬢

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 オドリレットではなく、正しくオールエドリレットと発表したが、本名がエリーという名前であることは発表しておらず、家族についても同様である。

 そして、オールエドリレットの姿は艶めかしく、派手であるとされていたが、作者のオールエドリレットもエリーも変わらないという思いを汲んで、ありのままの絵を見て貰う方がいいと、その辺りも公表はしないと判断した。

 『振り返る女』だけを見れば、派手な印象は持たない。どこか幼さを持ち、何か言いたそうな、微笑んでいるような姿こそがあの絵だろう。

「もしも、エルドールにトドック男爵令嬢が手伝ったのかと聞く者がいれば、事実通りに否定すればいいわ」
「分かりました」

 ありがとうございましたと、エルドールは部屋に戻り、ダズベルトとオーバンはその姿を何とも言えない気持ちで、じっと見送った。

「今更、成長するとはな」
「ええ、これまでのエルドールだったら問い詰めていたでしょうからね」
「ヨルレアン嬢にしたようにな」
「まさにそうね」

 オーバンはあの時のことを思い出して、顔を歪ませた。

「ヨルレアン嬢を不愉快にさせたことは今でも許せないし、申し訳ないけど、あの子にはいいきっかけだったのかもしれないわ」
「ふん、情けないことだ…」
「まあ、相談に来ただけでもいい傾向だわ。しかし、不愉快な娘ね」
「本当にな!どれだけ大変かも知らずに!ヴァイオリンの資料だけで手伝ったと思っているのなら、片腹痛いわ」

 ダズベルトもオーバンも、事実ならば怒りを感じずにはいられなかった。

 エルドールもカイロスとローズマリーだけには、もしも私に聞いて来る者がいたら、きちんと訂正することになったと伝え、二人もそれに同意した。

 だが、オマリーは浮かれていた。

 オマリーは父親、そして周りに大きな瞳で幼い顔立ちを、可愛い顔をしていると言われて、育って来た。だが、母親だけは容姿を褒められるだけでは生きて行けない、しっかり勉強をするように言われていた。

 そんなことはないとは考えず、オマリーは母親の教え通りに勉強も頑張り、字頭が良かったのか、学園では成績優秀者にも選ばれ、生徒会の一員にもなれた。それからは、自分が特別な存在なのだと思うようになっていた。

 所詮は男爵令嬢であることは変わりなく、どこか軽んじられていることも気付いていた。それでも、偉そうにすることは絶対にしなかった。

 学園でやはり高位貴族令嬢は、持ち物も扱われ方も、全く違った。

『まあ、新作ですの?』
『ええ、お父様が買ってくれましたの』
『羨ましい』
『本当に』

 そんな様子をオマリーは羨ましいとは思わず、中身のない話しか出来ないのかと、クラスメイトのことも馬鹿にしていた。

 家族のことは好きだが、私も生まれを選べるのなら高位貴族として生まれたかったと、燻り続けていた。

 生徒会で始めはトドック嬢と呼ばれていたが、ローズマリーだけが王太子殿下とディンジャー様に名前で呼ばれることに、嫉妬した。

 私もオマリーと呼んでくださいと思い切って言ってみると、皆がオマリー嬢と呼んでくれることになった。希望が通り、特別な気持ちになった。

 同時に嫉妬を受けることも多くなり、今までそのような目に遭ったことがなかった、オマリーは辛かった。でもそのことで、今までは距離のあった王太子殿下とディンジャー様に目を掛けて貰うことが出来た。

 しかも、婚約者であるオズラール公爵令嬢とは、同じクラスになってから、いつも机でいつも何かしており、陰気な印象を受けていた。

 ジャスミン・シックス侯爵令嬢に詰め寄られた際は、怖かった。

 それなのに、オズラール公爵令嬢は助けてくれるとは思っていなかったが、うるさいと怒鳴られて、涙が零れそうになった。

 だから、ついオズラール公爵令嬢のことも話してしまったが、王太子殿下がオズラール公爵令嬢を叱る姿は、とても気持ちが良かった。
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